11月よりBunkamuraシアターコクーンで上演される、松尾スズキが作・演出を務めるCOCOON PRODUCTION 2022「ツダマンの世界」から、キャストの阿部サダヲ、間宮祥太朗、吉田羊のコメントと扮装ビジュアル、さらに松尾直筆イラストビジュアルが解禁された。
作・演出を務めるのは、シアターコクーン芸術監督の松尾スズキ。2年ぶりとなる新作「ツダマンの世界」では、日本の昭和初期から戦後を舞台に、「ツダマン」を中心とした小説家たちの濃密な愛憎劇を描く。今回は、劇中に登場するオリジナル楽曲の作曲も松尾自らが手掛ける。これまでの公演でも作詞や作曲を行ってきたが、全編にわたる作曲を手掛けるのは初の試みとなる。また、松尾直筆の業火に佇むような登場人物たちが描き加えられたイラストビジュアルも公開された。
物語の主人公“ツダマン”こと、弟子に翻弄される小説家・津田万治を演じるのは、阿部サダヲ。自己愛と名声欲の強い弟子・長谷川葉蔵には間宮祥太朗。この物語の語り部となる女中・オシダホキには江口のりこ。
そして葉蔵の世話係・強張一三には村杉蝉之介。劇団員で歌手志望の津田の愛人・神林房枝には笠松はる。葉蔵と関係を持とうとする謎の文学少女・兼持栄恵には見上愛。ツダマンの友人の小説家・大名狂児には皆川猿時。そして津田万治の妻・津田数には吉田羊。さらに町田水城、井上尚、青山祥子、中井千聖、八木光太郎、橋本隆佑、河井克夫らが集結する。
阿部サダヲ コメント
昭和初期の小説家の役を演じるのは、たぶん初めてです。だから、特に引き出しはないんですけど…、なんだか怪しいイメージがあるので、そういうところは松尾さんの世界に合っている気がしますね。ここ最近のシアターコクーンでの松尾さんの作品は、音楽や踊りがあったり、楽器の生演奏が入ったりしていましたけど、今回はどういう演出になるんだろう? すごく楽しみです。小説家の話でこのタイトルだとちょっと暗めな印象ですけど、きっとそこを裏切ってくるんでしょうね。それにしても、松尾さんが描いたチラシの絵。「この人、松尾さんじゃん!」って思ったんですけど、違うんですか?(笑) ツダマンは軸を自分で持たずに、人から振り回されている感じがあるけれど、出演者の顔触れを見るとそれはそれで楽しそうにも思えます。吉田さんや間宮さん、江口さんたちが松尾さんのセリフをしゃべる姿も早く見たい。松尾さんの舞台が初めての方が多いから、僕、きっと参考にされるんだろうな……だけど「そうはいかないぞ!」と思ってもいます。だって、僕だってこの作品に取り組むのは初めてなんですから。毎回、新作は緊張するしプレッシャーはあるんです。どんな世界観になるのか、まだ僕らは分かりませんが、おそらくいろいろな新しい挑戦が盛り込まれているのではないかと思います。どうぞ期待していてください。
間宮祥太朗 コメント
僕、松尾さんが監督された映画「恋の門」が以前からすごく好きなので、そういう意味でも今回はお声がけいただいて純粋にうれしかったです。松尾さんの演出に、どんどん乗っかっていくような気持ちで挑んでいきたいと思っています。物語としては、登場人物たちのそれぞれのナルシシズムと思惑が複雑に交差してこんがらがっているような、今はそんな印象です。混沌としているんだけれど、それを引きで見た時に人間の滑稽な部分が現れて、すごく面白くなるというか。その中で自分が演じる葉蔵は、現金な人間にしていければいいのかな、と。思うこと、行動すること、やることなすことがとても罰当たりな人に思えるんですよね。まだ自分の想像の範囲を出ない話ではありますけど。状況とか、人に対しては甘えながら生きている感覚もある。だけど、小説家になりたいと思う気持ちはわからなくもないんです。自分は葉蔵みたいにお坊ちゃんではなく、裕福でも貧乏でもない一般家庭の出ですけど。ただ、自分が進んでいくレールみたいなものが見えちゃうと、そこから「逸脱したい!」と思う気持ちは、僕にも理解できますから。とにかく今回の舞台に立った時にどんな景色が観られるか、本当に楽しみで仕方がないですし、とてもワクワクしています。「ツダマンの世界」、皆さま楽しみに待っていてください。舞台でお会いしましょう!
吉田羊 コメント
小劇場出身の私にとって、大人計画というのは雲の上の上の上の存在で、いつか自分もここに立てたらという憧れは、漠然と抱いていました。なので、松尾さんの作・演出で、大人計画の俳優さんたちとも共演できる今回のお話をいただいて夢のようです。松尾さんの作品を拝見するたびに感じるのはそのまなざしの優しさと温かさ。不器用ながら懸命に生きている人々に自分を重ね「不完全でもいいよ」と背中を押された気持ちに、いつもなります。今回の舞台に登場するのは“ドラマティックな人生”に憑りつかれている文士たち。女も愛も憎しみも生も死も悲しみも全て小説の糧としてしまう彼らは非道でどうしようもないですが、魅力的な俳優さんたちが演じられることを想像するとこれがなかなかに憎めないから困ったものです。それに、俳優も似たようなものか、とも。今回私が演じる数さんは、非常に不幸な境遇にある女性です。無学な故にないがしろにされて振り回される人。実は私、松尾さんからいただいたあらすじにあった数の言葉を読んでボロボロと泣いてしまって。あらすじで泣くなんて初めて。思うに、数さんに自分を重ねてしまったのでしょう。今作はドロドロの愛憎劇ではありますが、やはり人間の弱さや痛みに寄り添う、松尾さんらしい優しさが根底に流れる物語です。一生懸命頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
あらすじ
小説家・津田万治(阿部サダヲ)家の女中・オシダホキ(江口のりこ)や、縁ある人々からの視点で振り返る、津田万治=ツダマンの半生。それは昭和初期から戦後にかけての物語。
生まれてすぐ母と離れ離れになり、義母に育てられた万治。十歳で父が他界すると、育ての母からいびられて何かと反省文を書かされたことが彼ののちの文章力につながっていく。万治の小説家人生はそこから始まった。地味に小説を書き続ける中、中年に差しかかった頃、ようやく新作が文壇最高峰の月田川賞の候補作に。それを機に、賞の選考委員でもある万治の幼なじみ、大名狂児(皆川猿時)が薦める戦争未亡人の数(吉田羊)と結婚することとなる。
だが万治には、劇団の女優にしてカフェで歌も歌う神林房枝(笠松はる)という愛人がいた。また、数との結婚話が進む中、弟子になりたいとやってきたのが佐賀の豪商の三男坊、長谷川葉蔵(間宮祥太朗)で、彼のそばには常に世話係で番頭の強張一三(村杉蝉之介)の姿もある。
やがて大名に続き、万治のもとにも徴用令状が。戦地へと向かうことで人間関係は微妙に変貌し始め、そこに葉蔵と関係を持とうとする謎の文学少女・兼持栄恵(見上愛)なども現れ、万治と数と葉蔵を取り巻く人間たちの愛憎関係は、さらに複雑に絡み合っていく…。
公演概要
COCOON PRODUCTION 2022「ツダマンの世界」
作・演出:松尾スズキ
<出演>
阿部サダヲ、間宮祥太朗、江口のりこ、村杉蝉之介、笠松はる、見上愛、町田水城、井上尚、青山祥子、中井千聖、八木光太郎、橋本隆佑、河井克夫、皆川猿時、吉田羊
<スタッフ>
音楽:松尾スズキ/城家菜々
美術:石原敬
照明:大島祐夫
音響:藤田赤目
衣裳:安野ともこ
ヘアメイク:板垣実和
映像:上田大樹
所作指導:藤間貴雅
振付:振付稼業air:man
文芸部:河井克夫
演出助手:大堀光威/溝端理恵子
舞台監督:榎太郎
宣伝イラスト:松尾スズキ
宣伝美術:榎本太郎
宣伝写真:端裕人
宣伝衣裳:安野ともこ
宣伝ヘアメイク:山本絵里子、中野明海(吉田羊)
宣伝広報:る・ひまわり
■東京公演
2022年11月23日(水・祝)~12月18日(日)
※11月28日(月)、12月5日(月)、12月12日(月)休演
会場:Bunkamuraシアターコクーン
主催:Bunkamura
東京公演チケット一般発売:2022年10月1日(土)午前10時~
■京都公演
2022年12月23日(金)~29日(木)
会場:ロームシアター京都メインホール
主催:サンライズプロモーション大阪
共催:ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)
企画・製作:Bunkamura