宝塚歌劇宙組公演「HiGH & LOW -THE PREQUEL-」と「Capricciosa(カプリチョーザ)!!」の通し舞台稽古が、8月26日に兵庫県宝塚市・宝塚大劇場で開催。それに先立ち、主演の真風涼帆をはじめ、EXILE HIRO、原作脚本・平沼紀久、宝塚歌劇団の演出家・野口幸作が囲み取材に出席した。
「HiGH & LOW」はこれまでドラマシリーズ5作、映画シリーズは7作が制作され、累計興行収入78億円、累計観客動員556万人を突破。音楽・コミック・ゲーム・SNS・テーマパークなどあらゆるメディアを融合させた「総合エンタテインメントプロジェクト」だ。
本作「HiGH & LOW -THE PREQUEL-」では壮大なシリーズの作品群の隠された前日譚を新たに構想し、宝塚歌劇の世界観での舞台化に挑戦。時代はシリーズを通して物語の中心となる5つのグループ「SWORD」誕生前夜の物語となる。
一方で、同時上演の「Capricciosa(カプリチョーザ)!!」は放浪の伊達男・カプリチョーザが、イタリア各地を巡る中で遭遇するさまざまな出来事をつづった大人の雰囲気漂うショー作品。トップスター・真風涼帆と宙組のさまざまな魅力を感じられる2作品と言えるだろう。
待望の上演前日、今回の通し舞台稽古はこれまでのリハーサルの集大成となる。そんな緊張感のなかで囲み取材が開催され、真風、EXILE HIRO、平沼紀久、野口幸作が登壇。
まず、HIROは「まさか宝塚さんとコラボさせていただけるとは思いませんでした。『HiGH & LOW』の世界がどうなってるのか、ただただ楽しみです」と。平沼も「シリーズでは観られない、宝塚さんの『ロマンス』という部分が存分に入っていると思うので、ワクワクが止まりません」と観劇前の心境を語る。
今年6月に開催されたコンサート「FLY WITH ME」以来2度目のLDHとのコラボとなる真風は、「コンサートの時はHIROさんからとても温かいお言葉をいただき、また今回のお稽古では、平沼さんにもたくさんのアドバイスをいただきました。そして『HiGH & LOW』をこよなく愛する野口先生の指導のもと、宙組が一丸となって舞台を作って参ります」とコメント。
通し稽古を前に緊張気味だという野口は、「約1年間の構想、HIROさん、平沼さんをはじめLDHさんのさまざまな方々に協力していただいています」と感謝を。さらに「LDHさんのモットーであるLoveとDreamに宝塚独自のRomanceを加え、みなさんにHappinessをシェアする『LDRH』を目標に掲げ頑張ってきました。宝塚的な演出をどう『HiGH & LOW』と融合していくのかを楽しみにしていただけたら」とアピールした。
最後に、HIROは真風を「ここに登場する瞬間からエネルギーがすごかったので、相当素晴らしい作品になるだろうなと感じました。楽しんでください」と激励。通し稽古の舞台に送り出した。
そして、通し舞台稽古終了後の囲み取材にはHIROと平沼、野口の3名が参加。見終えた感想をHIROは「刺激になりましたね。野口さんと真風さん、宙組の世界観が『HiGH & LOW』としっかりミックスしていて、作品の解釈の幅を改めて感じました」と振り返る。
また、出演者たちの体力にも驚いたそうで「パワーやテクニックだけじゃなくて、精神力も必要だなと改めて感じました」と。主人公・コブラ(山王連合会)を演じた真風の演技については「真風さんのコブラだなと。前のコブラを忘れるほどでした」と話した。
続く平沼は「受け入れられるかと心配もありましたが、いろいろな方に『面白い作品だ』と言っていただけて安心しました。宝塚さんのフィルタを通した、新しいエンタテインメントだったと感じています」と作品に太鼓判を。
野口は「明日の初日、そして千秋楽に向けて日々ブラッシュアップできるような舞台にしていきたいと思っています。LDHさんの1年間のご協力、そしてスタッフやキャストの尽力にも感謝です。これから素晴らしい舞台を作っていきたい」と意気込んだ。
そして、記者からも作品について質問が飛ぶ。そもそも本コラボは、平沼が宝塚歌劇団の衣装デザイナー・有村淳と“買い物友達”だったことがきっかけだったという。これについて平沼は「プライベートで長らくお付き合いさせてもらっていて、HIROさんに宝塚さんとのコラボを相談したら『ぜひ』と。そこから有村先生にたくさんの方を紹介していただきました」と説明する。
またコラボの企画を知って「令和の宝塚、攻めてるな」と感じたという野口は、オーケストラと打ち込み音源が並存した劇伴音楽についての質問に「オリジナルのサウンドトラックのよさを損なわずに、宝塚歌劇のフルオーケストラが演奏するということで、今回は打ち込みの音に合わせながら生演奏する『同期演奏』の形を取りました」と回答。LDHサウンドをどう宝塚ファンに届けるか、という試行錯誤があったようだ。
さらに、達磨一家の楽曲「VOICE OF RED」(DJ DARUMA from PKCZ® feat.GS)ではオリジナルの日本っぽい質感を残しつつ、宝塚おなじみの番傘や花魁による演出を「ダルマ(宝塚用語:レオタードのような足が見える衣装)」を使って表現したり、太鼓を使ったり、KEN THE 390監修のラップを披露したりと新たな試みにチャレンジしている。
そして、舞台の熱気が冷めやらぬまま、質問の飛び交った囲み取材は終了。いよいよ「HiGH & LOW -THE PREQUEL-」の幕が開く。千秋楽まで、作品がどのように変化していくのか、期待が高まらずにはいられない。
公演情報
宙組公演 《主演》 真風涼帆、潤 花
TAKARAZUKA MUSICAL ROMANCE
「HiGH & LOW -THE PREQUEL-」
宝塚大劇場:2022年8月27日(土)〜 9月26日(月)
東京宝塚劇場:2022年10月15日(土)〜 11月20日(日)
原作・著作:HI-AX
構想:平沼紀久(LDH JAPAN)渡辺啓(LDH JAPAN)
脚本・演出:野口幸作
※上記作品は、3時間の公演のうちの前半1時間35分で上演され、後半に55分の宝塚オリジナルショー、ファッシーノ・モストラーレ「Capricciosa!!(カプリチョーザ)」が上演される。
公式ホームページ:https://kageki.hankyu.co.jp/