ジャニーズWESTの神山智洋が昭和の傑作戯曲「幽霊はここにいる」(2022年12月8日(木)より上演)に主演することが分かった。
「幽霊はここにいる」は、演劇集団「安部公房スタジオ」を立ち上げ自ら作・演出を手掛け、俳優の育成など演劇活動にも積極的だった芥川賞作家・安部公房の傑作戯曲。「前衛的」「不条理」「超現実的」といった言葉で表現される安部公房らしいナンセンスに満ちた喜劇的作品で、コーラスなど音楽的要素も効果的に取り入れたエンターテインメント要素の強い作品となっている。
1958年に千田是也演出、田中邦衛主演で俳優座劇場で初演された本作は、同年の岸田演劇賞を受賞。1973年のオープニング記念公演「愛の眼鏡は色ガラス」をはじめ、安部公房の作・演出作を数多く上演して来た東京・PARCO劇場で安部公房作品を上演するのは43年ぶりとなる。
戦後の混乱がまだ残る日本のとある町で、主人公の深川(神山)は大庭という男と出会う。深川が幽霊と会話できると聞き、「死人の写真 高価買います」という怪しげな珍商売を思いついた大庭。当初は全く相手にされなかったこの商売が、やがて町全体を巻き込んだ大事業に発展していく…という物語。
神山が演じるのは、いつも幽霊を連れており会話ができる深川啓介。ジャニーズWESTとしての活動に加え舞台にも定期的に出演し、「LUNGS」(2021)で二人芝居に挑んだ神山にとって、PARCO劇場での公演は初めてのこと。同じくPARCO劇場初登場となる文学座気鋭の若手・稲葉賀恵が演出を手掛ける。
STORY
いつも幽霊を連れているという元・上等兵の深川啓介(神山智洋)は、生きていた頃のことを覚えておらず、自分がどこから来たのかを知りたいという幽霊の身元を探していた。捜索の途中、深川は大庭三吉という胡散臭げな風体の男と出会う。深川から”幽霊と会話できる”と聞き出した大庭はいい商売になると考え、自分も一緒に身許を探す手伝いをすると言いだす。深川は大庭と共に「死人の写真 高価買います」というビラを町中に貼り、幽霊の身許捜しを始めるが…。
コメント
神山智洋(深川啓介役)
新しくなる前も含めて、有名で伝統のあるPARCO劇場から、お話を頂いたことは率直にうれしかったですし、新鮮な気持ちです。
メンバーに「次の舞台PARCOでやんねん」って話すと、みんなから「えー!」「いいなー。すごいね」って言われました(笑)。
先日、2年ぶりくらいに髪の毛を暗くしたらファンの方たちがざわついたんですけど、答えはこれです!(笑)襟足を伸ばしていたのも、どんな役にも対応できるように準備をしていました!
僕が演じる深川という人物はなんか不思議やなぁ、何か気になるなぁという感じの人。僕は結構ハキハキしているタイプなので、違ったタイプの人間かな、深川はすごくピュアなんやなぁと思いながら、演出の稲葉さんともお話をさせていただきました。
僕自身は、戦争のない平和な時代に生まれていて、戦後の日本の状況は分からないけれど、決して遠い話ではないなと。
本当に大切な人や仲間を失った時に、「幽霊になっても出てきてくれへんかな」と、今の時代でも思うはず。深川は、親友の死を負い目に感じているし、人間の弱い部分を受け入れられなかったんだろうなと思います。
僕は稽古をやりながら考えていくタイプで、周りの人たちの動きやその時自分の気持ちがどう動いたか、ということを大事にしてやっていきたいので、演出の稲葉さんや共演者の方や、いろいろな方たちにご協力、助けていただきながら創っていきたいなと思っています。個人的に演出家さんに厳しいイメージがありましたが、稲葉さんはまったくそんなこともなく、年齢も近いですし、「やってみよー!」というタイプとおっしゃっていたので、お互いパルコ初挑戦ですし、一緒に何度も何度も試して壁にぶち当たっては、よじ登るのかぶち壊すのかを共に考えてもらい、力を合わせて頑張っていきたいです。
僕は目に見えないものもめちゃくちゃ信じるタイプやし、幽霊もいるやろな。とは思ってますけど、この作品の中の深川の周りの人たちは、疑う人も信じる人もいる。観に来てくださるお客様にも、深川を信じたり、疑ったりしてみてほしいな。本当にその日その日で感じ方は全然違うと思うし、今生きていることの幸せを感じられる舞台になると思うので、機会があれば、何度か観に来ていただきたいです。
稲葉賀恵(演出)
赤い絨毯とシートが広がる旧PARCO劇場に初めて足を踏み入れた時のことを今でも鮮明に覚えています。私にとってあの空間は、夢の製造所のような特別な場所でした。幼い自分が興奮したあの空間で作品を描くことができるなんて、お声がけ頂いた時はうれしさと緊張で武者震いしました。
以前からこの戯曲の、シュールだけれど夢夢しい、安部公房の人間に対しての鋭いまなざしとエンターテイメントとしての面白さの絶妙な色合いに魅了されておりました。そして、死者と生者が同じ舞台に立ち記憶と現実の境目をカーニバルのように練り歩く光景を自分の目で見てみたいと強く思ったのです。あのPARCO劇場に幼き日抱いた夢夢しさとこの作品が合致し、ぜひこの劇場でこの作品を立ち上げたいと思いました。
深川という役は、長い時間親友のことを忘れずに思いつづける、純粋で澄んだ心の持ち主です。この純粋な心に周りが動かされ、利用したり、振り回されたりする訳なのですが、それと同時に愛嬌と放っておけなさを持ち合わせた、言うなればとても魅力的な役。神山さんに先日お会いして、そのたおやかさと芯の強さに、さっそく、魅力的な深川をたくさん見つけた気がして、とても楽しみです。一緒に試行錯誤、意見交換しながら作り上げていけたらと思います。
この作品は60年以上前に書かれた作品ですが、奇想天外なコーラスや、ユーモアあふれた言葉たちの数々は全く色褪せずに私たちの心を揺すぶります。誰かや何かを忘れずに思い続ける強かな姿、見えないものを見えると信じたり、過去の記憶にとらわれながら現実を生きる弱くて儚い姿、たくさんの人間の標本がカーニバルのように連なる景色をこの魅力的なキャスト、スタッフと作り上げていこうと思います。冬の劇場で、一つのサーカスのような珍妙で愛すべき人間模様をご披露いたします。どうぞご期待くださいませ。
作品情報
パルコ・プロデュース2022「幽霊はここにいる」
2022年12月8日(木)~12月26日(月)東京・PARCO劇場
2023年1月11日(水)~1月16日(月)大阪・森ノ宮ピロティホール
チケット料金:\12,000(全席指定・税込)※未就学児入場不可
チケット発売日:2022年11月5日(土)(東京)/2022年12月11日(日)(大阪)
主演:神山智洋(ジャニーズWEST)
作:安倍公房
演出:稲葉賀恵
※詳細は後日発表。
公式サイト:https://stage.parco.jp/program/yuurei
#幽霊はここにいる