10月1日(土)より東京・日本青年館ホールで二人芝居「burst!〜危険なふたり〜」を上演する草彅剛&香取慎吾が、作・演出を手掛ける三谷幸喜を交えた囲み会見と公開舞台稽古を披露した。
本作は、2015年に上演され好評を博した舞台「burst!〜危険なふたり〜」の再演。初演時のスタッフジャンパーを着て囲み会見に現れた三谷は、「再演したいという願いを込め、7年前からずっと着ていたんです。夢がようやくかない、感無量の気分です」と思いを述べる。
草彅も「三谷さんにガッツリ演出していただいて、楽しく公演を終えた記憶があります。初演のいいところも生かしつつ、新たな発見もあるかと思うと楽しみです」と初演を振り返る。いっぽう、香取は「面白かったのが、7年前の映像や資料が残っていなくて。思い出しながら新しい要素も入れようとしたら、“7年前もやってましたね”みたいな(笑)。そんな発見もありつつ、楽しい時間を過ごしました」と初日に至るまでの裏話を明かした。
舞台はもちろん、テレビや映画など、何度となくタッグを組んでいる三谷と香取。しかし、三谷は「(香取の連絡先は)今も知らないです。その分、僕と草彅さんの関係はどんどん深まって、稽古場から一緒に帰ったり、プライベートでお酒を飲んだりしてます」とのこと。さらに草彅が「慎吾ちゃんに連絡したいとき、僕に電話かかってくるんです。慎吾ちゃんに連絡取ってくれって(笑)」と、3人の独特な距離感を教えてくれた。
1か月近くに渡る本公演。終えたときのことを想像してもらうと、草彅は「寂しいかな、終わってしまうのは。だから初日がワクワクして、一番楽しいのかも。早く再々演をしたいなと、そんな気持ちで終えるんじゃないでしょうか」と語る。そんな草彅に対し、香取は「この緊張感が1か月も続くと思うと、“終わったー!”という解放感のほうが強いと思う。今からもう“再々演したい”なんて口にできるのが信じられない」と驚きの様子。
香取の口から“緊張してる”と聞いた三谷は、即座にツッコミを。「緊張されているんですか?」「ほかの仕事と違います? どういうところが?」と質問攻めにする。追及に耐えかねたのか、「まだ(台本を)覚えてないんで!(笑)」とカミングアウトする香取。「もうちょっとなんですよ。8割は覚えられたんで」という言い訳を聞き、「天才ですよね、あと2割、どうやって巻き返せるのかな」と草彅は笑顔に。
締めのあいさつで、三谷は「大ファンである2人のために作品を作れたことを光栄に思っています。約1時間40分の舞台、こんなに長くこの2人を見ていられるチャンスはないと思うので、存分に味わっていただきたい」とメッセージを。草彅は「慎吾ちゃんとの30年以上の絆やつながり、2人の人生が交差することで生み出されるものがあるはず。お互いの人生を懸けた舞台にしたいです」と意気込みを語る。
香取もまた「足を運んでもらった皆さんのいい思い出になる、忘れられない楽しい時間にしたい」と話す一方、「僕はこの舞台に人生はかけてないんで(笑)」と、草彅のコメントに対するアンサーも。草彅が「ちゃんちゃん♪」と落とし、会見を締めくくった。
囲み会見に続き、「burst!〜危険なふたり〜」の舞台稽古も公開された。手違いから家に爆弾が仕掛けられた男・青木誠二(香取慎吾)が、警視庁警備部第三機動隊に所属する根上大五郎(草彅剛)からの電話による指示の下、爆弾処理に臨む、というのが本作の大まかなストーリー。
自宅にいる青木役の香取はピンクのパジャマにガウン、警視庁にいる根上役の草彅はワイシャツにネクタイ、背中に“EOD”と書かれたジャンパーという役衣装。遠く離れた場所にいる2人の会話劇という構成のため、ステージ上には青木の部屋と警視庁の一室というセットと、劇中に出てくる固有名詞などを説明するためのモニターのみ。2人はずっと電話でやり取りするため、目を合わせて芝居をすることは一切ない。
以前から、草彅と香取のことを“最強の2人”と評していた三谷。「普通、会話は相手の顔を見て呼吸を合わせるものなのに、『burst!』は2人ともそれぞれ正面を向いて、1人でしゃべるんです。顔を合わせるのは最後のほうにある1回だけ。これって演劇的に高度なことで、それをサラッとやっちゃうのは本当にすごい」と囲み会見で話していた通り、難しい構成を2人は当たり前のようにこなしていく。
草彅演じる根上は爆弾処理のプロフェッショナルだと豪語するものの、感情の浮き沈みのあるエキセントリックなキャラクター。オーバーな動きや室内の同僚に話しかけるなど、会話劇でありながら見る者を飽きさせない。いっぽう、香取演じる青木はどこにでもよくいるような普通の男。おかしな人やシチュエーションに巻き込まれ、振り回されていく役柄が似合う香取らしく、突拍子もない物語を自然に展開していく。
「これ、2人が逆の役だったらどんな感じになるのだろう?」と思っていると会場が暗転し、2人の役柄がチェンジ。香取が演じる根上は、少しトボけた雰囲気が味のあるキャラクターに。草彅が演じる青木は、どこか普通ではない雰囲気を感じさせる役柄となる。
もちろん、当初は違和感もあるものの徐々に慣れ、根上と青木に生まれた関係性の変化が感じられるものに。三谷らしい小ネタやコミカルなやり取りは少しずつ影を潜め、次第にシリアスな色を帯びていく物語。果たしてどんな着地点を迎えるのか、引き込まれずにはいられないだろう。
終演後は草彅と香取によるフリートークも。草彅は「せりふ、覚えたね?」と香取に驚き、「天才だね。やっぱ、合わせてくる。それに感心しちゃって、ドギマギしちゃった」と稽古を振り返る。直前まで香取は手に台本を持ったまま、稽古に臨んでいたらしい。
そのため香取は「35年ぐらいの付き合いで一度もけんかしたことないし、嫌だなと思ったことない。でも今回の稽古中、(草彅から)“なんだコイツ”みたいな空気を感じたし、自分もなんでそんな空気感出してるんだよと思った(笑)」と明かした。
本番の終演後も、2人が台本なしのフリートークを展開。さらに草彅が奏でるギターに乗せて劇中歌を歌うなど、草彅と香取の魅力をたっぷり味わえる構成となっている。
舞台「burst!〜危険なふたり〜」は、10月1日(土)から26日(水)まで東京・日本青年館ホールで上演。
公演情報
「burst!〜危険なふたり〜」
2022年10月1日(土)〜26日(水)東京・日本青年館ホール
チケット料金:S席 12,500円/A席 7,500円(ともに税込)
作・演出:三谷幸喜
出演:草彅剛、香取慎吾
企画・製作:株式会社CULEN
公式サイト:https://burst-2022.com/