1月29日(日)に開催される「第42回 大阪国際女子マラソン」(『奥村組スポーツスペシャル 第42回大阪国際女子マラソン』として1月29日(日)カンテレ・フジテレビ系で正午~午後2時55分 生中継)で解説を担当する野口みずきが、大会の見どころを語った。
本大会は、1年半後の「2024年パリ五輪」に向け、2023年10月に行われる「パリ五輪」代表選考会(MGC)で勝つために、そして世界に近づくためのレベルアップを図る「MGC前哨戦」のような位置づけとなる。また、MGC出場権をまだ持たないランナーにとっては、出場切符を獲得する大会だ。さらに、ブダペスト世界選手権(2023年8月)の代表選考レースでもあり、「2時間23分18秒」の派遣設定記録を突破したランナーが代表候補に。
まず第30回大会(2011年)以来12年ぶりに変更される新しいコースについて、野口は「今までよりもスムーズに走れるコースになっているので、好記録が続出するのではないかと期待しています。2003年の『大阪国際女子マラソン』のように、大会新記録が多数出るといいなと思っています」とコメント。
続けて「中間点を過ぎてから続く下り坂がコースのポイントです。一気に流れを変えて、どんどんスピードを上げていくような展開になるのではないかと思っています。もともとスピードコースと言われていて走りやすかったのですが、折り返しでスピードを緩める際に足に負担がかかり、ひねる選手もいました。ただ、今回は急な折り返しがなくなったので、選手もスピードを緩めることなく、グングン走っていけると思います。長堀通を走るというのは、大阪に住んでいる私にとって、なかなか斬新で面白いことだと感じています」と語った。
また、「『大阪国際女子マラソン』に何回か出場している選手も多いと思いますが、新しいコースを新鮮な気持ちで走ってリフレッシュできるので、それも好記録が出る要因になるのかなと思います。記録記録ばかり言うと、選手にとってはプレッシャーになるかもしれませんが(笑)。それぞれの目標に向かって闘っていただきたいです」と期待を寄せた。
自身が持つ日本記録については「(記録樹立から)もう18年もたちますから。やはり、日本と海外の選手の記録では差がどんどん広がっているので、先日の『ヒューストンマラソン』の新谷仁美選手(積水化学)に続いて、どんどん2時間20分を切って風穴を開けないと置いていかれると思います。なので、今大会のようなコースを用意していただけることは選手にとってモチベーションになりますし、テンションも上がると思うので、ぜひこのコースで好記録がたくさん出てほしいと願っています」と。
次に、注目選手については「やはり安藤友香選手(ワコール)や、佐藤早也伽選手(積水化学)など、自己ベストが上位の選手が積極的にレースを進めていくと思います。そして私は、母親になって4年ぶりに帰ってきた前田彩里選手(ダイハツ)にも注目しています。彼女は幼い頃から走ることが大好きだったからこそ、今はチームと離れて一人で練習していますが、逆に止めないといけないくらいトレーニングをガンガン積んでいます。出産を経てまた精神的な強さがついたのではないかと、成長した彼女の走りをとても楽しみにしています」と明かした。
優勝候補にも触れ、「今の段階では分かりませんが、安藤選手や佐藤選手あたりがくるのかなとは思います。そこに前田選手がどこまで食い込めるか、というところです。そして、初マラソンの?川侑美選手(ユニクロ)と筒井咲帆選手(ヤマダホールディングス)も、トラック種目での記録が非常に良く目標も高いので、上位に入ってくると思います。今までの『大阪国際女子マラソン』でも、初マラソン世界最高記録を達成している選手もいるくらい、初マラソンでドラマを生み出すこともあります。フルマラソンで優勝経験のある選手がいないからこそ1位は予想できませんが、皆さんに優勝を目指してほしいです」と笑顔を見せた。
3年ぶりに招集する外国人選手に関しては「パリ五輪やブダペスト世界選手権が間近に迫ってきている中、国内で外国人選手と走るというのは、良いシミュレーションになると思います。世界の舞台で闘うイメージトレーニングになるので、外国人選手に食らいついていってほしいですし、(外国人選手を)置いていくような気持ちで走ってほしいと思います」と。
さらに「一番良いのは平常心で臨むことです。ド緊張でもいけませんし、かといって緊張しないでいくと集中力も切れてしまうので、難しいとは思いますが…適度な緊張と冷静さをきちんと持って走れば、やってきたことは結果として出るはずです」と出場選手にエールを送った。
いっぽう自身の現役時代を振り返り「2003年の『大阪国際女子マラソン』は、5位の小﨑まり選手(ノーリツ)も2時間23分台という好記録でした。当時は国内で勝つことが難しいとされていた時代だったので、本当に誰が勝ってもおかしくない中で、良い意味でお互いをライバル視し、バチバチしていたからこそ、それぞれが好記録を出せたように思います。選手のコメントも、今のように“笑顔でゴールします”というより“優勝”などの目標をはっきりと言っていました。今は、どのスポーツ界も、そしてスポーツ界に限らず、古き良き汗臭く泥臭いことをやる路線から離れた気がします。ただ、今もトップ選手は案外そういう意識を持っていて、競技者として良い意味で気が強い選手が出てきているようにも思います」と持論を展開。
そして「『大阪国際女子マラソン』は、関西ならではの声が大きい熱い応援も特徴です。今はコロナ禍で大声を出せませんが、前までは本当にサンバでもしているのではないかと思うくらいにぎやかでした(笑)。スティックバルーンや横断幕を見て、自分へのメッセージが書いてあったりすると本当にパワーをもらえます。応援の力というのが、どの大会にも負けないくらいのパワーを持っていたので、私は何回でも出場したいと思っていました。故障での欠場が多く、結局1回しか出ませんでしたが(笑)」と笑った。
2016年に現役を引退し、翌年の2017年以来「大阪国際女子マラソン」で毎年解説を務めている野口だが、「もう嫌だな~と。あの中継車に乗りたくないな~と(笑)。毎年“選手の方がいい!”と思うくらいとても緊張します」という心境も吐露。しかし「アナウンサーの方とうまくやりとりをして解説をするのは、ほんの少しだけ慣れてきたように思います。それでも、まだまだだと思うので、しっかりと選手の動きや目の前で起きたことを見て、分かりやすく視聴者の皆さんに伝えていけたらな、と思っています」と意気込みを語った。
そして今年が「大阪国際女子マラソン」初解説となる福士加代子については「彼女はヤバいです(笑)。前回大会では、優勝した松田瑞生選手(ダイハツ)のインタビュー中に福士さんが入ってきて、自分の聞きたいことが全然聞けず、本当に悩まされました。“現場からは以上です”と早く締めようかなと思ったくらいです(笑)。その分、今年は比較的大人しく、スムーズに進められるかと思います(笑)」と。
最後に「目の前で選手が走っている姿を、視聴者の方に分かりやすく、自分なりに解説できたらなと思っています。今回の大会の見どころは、新しく生まれ変わった、記録が出やすいコースです。後半には下り坂があるので、流れが変わったり、一秒たりとも目が離せない展開になることを期待しています。視聴者の皆さんにも、ぜひ注目して見ていただきたいです」とアピールした。
番組情報
『奥村組スポーツスペシャル 第42回大阪国際女子マラソン』
フジテレビ系
2023年1月29日(日)正午~午後2時55分
TVer Special Live配信
〈出演者〉
解説:有森裕子(バルセロナ五輪銀・アトランタ五輪銅メダリスト)、高橋尚子(シドニー五輪金メダリスト)、千葉真子(パリ世界選手権銅メダリスト)、野口みずき(アテネ五輪金メダリスト)、渋井陽子(前女子マラソン日本記録保持者)、福士加代子(モスクワ世界選手権銅メダリスト)
実況:岡安譲(カンテレアナウンサー)、石田一洋(カンテレアナウンサー)ほか
〈YouTube裏生実況(大阪国際女子マラソン 公式YouTubeチャンネル)〉
SP解説:増田明美(スポーツジャーナリスト)
ゲスト:森脇健児、福本愛菜
解説:森岡芳彦(マラソン博士・城西国際大監督)
特別出演:渋井陽子、福士加代子
進行:橋本和花子(カンテレアナウンサー)
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