『情熱大陸』(MBS/TBS系 午後11時25分~11時55分)の放送25年を記念し、かつて番組で取材した人たちの“今”を3週連続で届ける特別シリーズ「不屈」。3週目となる4月16日(日)の放送には、狂言師・野村萬斎と息子の裕基が登場する。
伝統芸能の役者の中でも群を抜く存在感を放ち、能・狂言の枠を軽快に乗り越え、演劇・映画・テレビと幅広く活躍してきた野村萬斎。『情熱大陸』が始まった25年前、当時32歳だった萬斎は第8回に登場。「狂言は呼吸し…笑う」と、狂言を今に生きるものにする努力の日々を見せてくれた。
当時は、伝統を「受け継ぐ側」だった萬斎だが、翌年には息子・裕基が誕生。今や伝統を明日へと「つなぐ側」となった。
2023年、萬斎と裕基は舞台「ハムレット」に挑む。「ハムレット」は、これまで多くのシェイクスピア作品を演出し、演じてきた萬斎にとって、特に思い入れの深い作品。24歳と37歳の時に主役・ハムレットを演じ、かの有名なせりふ「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」に、狂言師としてのアイデンティティを問う姿を重ねていた。
今回はハムレット役を裕基が演じ、萬斎は演出・構成を担いつつ、舞台でも父親・叔父の2役を務める。3歳から狂言の舞台に立ってきた裕基にとって、今回の「ハムレット」は初めて挑む現代劇。しかも膨大で難解なせりふが多く、「法律を犯すような気分…」と言うほど、狂言とは勝手が違うことばかり。戸惑いと葛藤の日々が続く。
かつて同じ道を歩んできた父・萬斎は、「現代劇では狂言にない動きを求められるから難しい」と、息子の苦悩を見守る。厳しい演出の奥にあるのは「芸の世界を広げることで、狂言を今に生きるものにする」こと。自分がつかみ取ってきた感覚を、息子へとつなぎたい。狂言の「歴史」と今に生きる「芸」を、どう次世代につないでいくのか。父と息子の3カ月の格闘を見つめた。
[プロフィール]
野村萬斎(のむら・まんさい)
1966年4月5日生 東京都出身。「狂言ござる乃座」主宰。東京藝術大学客員教授。
野村万作の長男。祖父・故六世野村万蔵および父に師事。東京藝術大学音楽学部卒業。
3歳の時に「靱猿」で初舞台。重要無形文化財総合指定保持者。
94年に文化庁芸術家在外研修制度により渡英、シェイクスピアを学ぶ。
国内外で多数の狂言・能公演に参加、普及に貢献する一方、現代劇や映画・テレビドラマの主演、古典の技法を駆使した作品の演出などで幅広く活躍。数々の賞に輝く。
2002~2022年3月 世田谷パブリックシアター芸術監督を務めた。
野村裕基(のむら・ゆうき)
1999年10月9日生 東京都出身。
野村萬斎の長男。祖父野村万作及び父に師事。慶應義塾大学法学部卒業。
03年、3歳の時に「靱猿」で初舞台。
21年、『ソロモンの偽証』でドラマ初出演。Netflix制作のアニメーション映画「ブライト:サムライソウル」では主人公・イゾウの声を勤めた。
22年 狂言修業過程の卒業論文とも言える「釣狐」を披く。
番組情報
『情熱大陸』
MBS/TBS系
2023年4月16日(日)午後11時25分~11時55分
番組HP:https://www.mbs.jp/jounetsu/
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