世界最大級のゲーム展示会「東京ゲームショウ2023」(以下、TGS2023)が、9月21日~24日に幕張メッセにて開催。1日目のビジネスデイに、メタバースプラットフォームを提供するclusterが事業戦略発表会を行った。
発表会ではまず、clusterの加藤直人CEOが登壇。clusterのここまでの歩みと今後の展望を語った。clusterはこれまでもバーチャルイベントを数多く開催してきたが、2022年から2023年にかけて、その数は大幅に増加。cluster上でのイベント開催数は1万件を超え、企業によるビジネスイベントも200社が展開するなど、バーチャル空間での活動が広がったと加藤CEOは語った。
また、今後の取り組みについては、経済活動の展開をより進めたいと発表。実例として、バーチャル空間でのアイテムやアクセサリーの販売が、開始から既に3万件以上に拡大したことを紹介した。さらに、ことし7月からスタートしたclusterのクリエイターとクライアントの案件をマッチングし、制作を行って報酬を得られるシステム「Cluster Creatrorjobs」も既に動きがあり、複数の案件が現在進行中だという。
clusterの具体的な戦略については、「どこよりも手軽で安心安全」「圧倒的なクリエイター体験」「攻めのグローバル展開」の「3つの柱」を挙げる。
「どこよりも手軽で安心安全」という面については「圧倒的に軽量で治安がよくハードルが低いメタバースであり続ける」とコメント。また、「圧倒的なクリエイター体験」については、「作りたい世界を誰でも作れるよう、AIへの積極投資を行っている」と述べた。「攻めのグローバル展開」については、例として2022年にアニプレックスと開催したバーチャルイベント「Fate/Grand Order 5th Anniversary Special VR World」を挙げ、IPとのコラボレーションを中心とした海外向け施策を積極的に行う方針であると語った。
なお、メタバースの将来については「2030年までに人口10億人を超えるメタバースが登場するのでは」と予言し、ゲーム・アニメIPとアバター文化とクリエイター文化を掛け合わせることができるメタバース産業は「日本における最後の砦」と続けた。
発表会には、ソニーの小型モーションキャプチャー「mocopi」を手掛けるソニーモーション事業担当部長の相見猛氏も登壇。「mocopi」は小型で、どこでも簡単に自分の動きをデータ化できるモーションキャプチャー。clusterでもことしの5月から利用できるようになった。今後はVTuberの方々に利用してもらうことに加えて、クラスターとのサービス連携などによって一般の方々もメタバースの空間に気軽に入って楽しめるようにしていきたいと、同氏は言葉にした。
その後、加藤CEO・相見氏にメディアアーティストの落合陽一氏を加えたトークショーを実施。落合氏は「西暦3000年は全員がデジタルヒューマンを持って生活している」と明言。また、メタバースについては「正直、時期尚早だなとずっと思っていた。なぜかというと実装コストが高すぎるから」と言葉にしつつ、「ただ、AIが出てきて、誰でも実装できるようになる。これで潮目が変わる」と続ける。落合氏は、生成AIとメタバースの相性の良さについて言及し、「自然空間に著作権はないから生成AIを使う上で何の問題もない。著作物じゃないものはこの世界に死ぬほどある。今後は右クリックするだけでワールドを作れるようになるのでは」とコメントした。
WEB
「東京ゲームショウ2023」cluster特設サイト:https://tgs2023.cluster.mu/