『情熱大陸』書体設計士・鳥海修に密着 スティーブ・ジョブズを「クール!」とうならせた男が70歳でたどり着いたフォントデザインとは

エンタメ総合
2025年03月23日
『情熱大陸』
『情熱大陸』

3月23日(日)放送の『情熱大陸』(MBS/TBS系 午後11時25分~11時55分)は、書体設計士・鳥海修に密着する。

この男がデザインした「文字」を、誰もが目にしたことがあるだろう。手がけた書体は、ゆうに100を超える。代表作はヒラギノフォント、游書体シリーズ。2000年に発表したヒラギノ明朝体の「愛」の字は、あのアップル創業者スティーブ・ジョブズを「クール!」とうならせ、「Mac OS X」への搭載が決まった。生み出される文字の数々は、今では私たちが毎日使うスマホやPC、書籍、街の看板…あらゆる場所に息づいている。

長野の自宅兼作業場は、山々の麓にある。だが窓から眺めることができる北アルプスの威容には目もくれず、熱い視線をむけるのはひらがなにカタカナ、漢字…数万に及ぶ文字、文字、そして文字。専用ソフトを使い、陽が暮れるまで「あ」の曲線を太くしたり、「国」の縦線を細くしたり。我々が目を皿のようにしても分からない文字のわずかな違和感を、鳥海は見つける。そして、うれしそうにニヤリと笑って修正を重ねる。

目指すのは「水のような、空気のような」書体。デザインそのものを主張するのではなく、個性を抑制して自然に目に入る文字を目指しているという。この道40年、今年古希を迎えるその歩みは止まることがない。次世代育成のための私塾「文字塾」は11年目を迎え、企業からはコーポレートフォントの制作依頼が舞い込むなど、仕事は年々増している。

そんな鳥海が、取材中にこっそりと見せてくれた書体の下書き。70歳を機に新たな書体作りを始めるという。誕生日にひとまず基本となる文字が出来上がる。果たしてその姿とは。

<プロフィール>
1955年3月山形県生まれ、70歳。多摩美術大学卒業後、大手フォントベンダーに入社。
1989年に有限会社字游工房を設立する。「ヒラギノシリーズ」などを委託制作する一方、自社ブランドとして游明朝体、游ゴシック体など、ベーシック書体を中心に100書体以上の書体開発に携わる。2012年から「文字塾」を主宰し、現在は「松本文字塾」で明朝体の仮名の作り方を指導している。2024年長年の日本語文字文化への貢献が認められ、第58回吉川英治文化賞を受賞。

©MBS

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