白石和彌監督によるロマンポルノリブート第3弾『牝猫たち』の初日舞台挨拶が行われ、井端珠里、真上さつき、美知枝、郭智博、白石和彌監督が登壇した。
オーディションで、この役を射止めたときの気持ちを聞かれた井端は「もともとロマンポルノのファンで、白石監督のファンでもありました。決まった時はうれしすぎて小躍りしたぐらいです」と。真上は「実は行定勲監督のロマンポルノのオーディションを受けて落ちてしまっていたんです。そんなとき白石組もあることを知り、受けてみました。素晴らしい作品に仕上げて頂き、白石監督とつないでくれた行定監督に感謝したいです」と語った。
今回リブートプロジェクトで製作された5本の作品のなかで、唯一緊縛シーンがある本作。ロマンポルノの初代女王・白川和子が出演するシーンに関して、白石監督は「日活の金看板である“ロマンポルノ”の監督をやるということでプレッシャーは大きく、今ロマンポルノを撮るということの意味を考えながら、クラシック作品へのリスペクトも表現したいと考えていました。そこで『凶悪』に出演して頂いた経緯もあり、白川和子さんに出て頂くのはどうかと…。でもさすがに今の白川さんは脱がせないので(笑)唯一の緊縛シーンで出てもらいました」と語った。
美知枝は「本物の女王様に来て頂き、私と井端さんが縛られたのですが、すごく痛くて、肩が外れるかと思いました。縛られた状態で井端さんを見たら当初予定していたポーズでない体勢にされていて、しかも泣いているし、ぐるぐる回されていて、思わず笑ってしまいました(笑)」と撮影中のエピソードを披露。また、郭が突然「僕は前張りが今回で初めてだったんです。友達の生田斗真さんにアドバイスをもらおうと思って聞いてみたら、一言“全剃り”と言われたの全剃りしました」とカミングアウトし、一同びっくり。白石監督も思わず「役者さんのそういう苦労のもと映画はできているんだなあ」とつぶやいた。
舞台挨拶では、本作がオランダで行われる「第46回ロッテルダム国際映画祭」に正式招待されることを発表。井端は「現代の日本で起きている問題を取り入れたこの作品が、海外の人の目にどう映るのか気になります。『牝猫たち』は女性に向けて作られた作品なので、この作品を入口に、今後公開する『アンチポルノ』『ホワイトリリー』の2作品もぜひ見てほしいなと思います。あとせっかく脱いだので、男の人にもぜひ見てほしいです」と。
ロッテルダム国際映画祭では、本作のオマージュの基となった田中登監督『牝猫たちの夜』(72)が海外で初めて上映される。それを受けて白石監督は「それを聞くと田中監督に恩返しできたと思えてうれしく思います。1970年代のロマンポルノは3本立てで、当時の人のお話しを聞くと、3本のなかで自分にとって面白かった1本を見つけていたようなんです。今回のリブートプロジェクトでは5本の新作が製作されました。当時の方が3本のなかの1本を見つけていたように、5作品すべて見て頂いて、自分のなかの1本を見つけてくれたらうれしいなと思います。」と語った。
映画『牝猫たち』
新宿武蔵野館ほか大ヒット上映中
監督・脚本:白石和彌
出演:
井端珠里 真上さつき 美知枝
音尾琢真 郭智博 村田秀亮(とろサーモン)・吉澤健 白川和子(特別出演)
松永拓野 吉村界人 米村亮太朗 ウダタカキ 野中隆光 山咲美花 天馬ハル 久保田和靖(とろサーモン)
挿入歌:ミオヤマザキ「Dawn of the Felines」