三島由紀夫の異色のSF小説を現代設定に大胆に脚色した、映画「美しい星」の公開記念舞台あいさつが行われ、リリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介、吉田大八監督が登壇した。
舞台を現代に大胆アップデートした本作では、ある日突然覚醒した“宇宙人”の姿を通して現代を生きる“人間”を鮮やかに映す。“当たらない”お天気キャスターの父・重一郎(リリー)が火星人、野心あふれるフリーターの息子・一雄(亀梨)が水星人、美人すぎて周囲から浮いている女子大生の娘・暁子(橋本)が金星人、心の空虚をもて余す主婦の母・伊余子(中嶋)が地球人にそれぞれ覚醒し、“美しい星・地球”を救う使命が託される、新感覚【覚醒】エンターテインメント。
30年以上前に原作を読んで以来、映画化を熱望していたという吉田監督は「ぼんやり映画になったらいいなとイメージしていたことが、原作や企画のもとに何かを感じて集まってくれた素晴らしい人達と、こうやって映画を観たばっかりのお客さんの前に立っていられるのは自分にとって1番の幸せなこと」と感無量の様子だった。
宇宙人一家のお父さんを演じたリリーは「こんな美男美女な息子、娘と気の良いお母さん。普段はホームレスとか、殺人鬼ばっかり演じているから今回は堅気のお父さんっていう役でね(笑)」と自虐的に語り、笑いを誘うと「気象予報士で、火星人で、それで不倫してて末期がんって…。情報が多すぎて、役作りも何もあったもんじゃなかった(笑)。だから逆にフラットに臨めましたね」と演技の苦労を吐露。
フリーターから水星人に覚醒した息子を演じた亀梨は、役柄にかけて自身の“使命”を聞かれると「グループ活動を潤すことが自分の使命なのかなと感じてる」とコメント。最近はドラマ・映画と役者活動も多いが「今は巡り合わせや出会いの中で、自分がどういったものを返せるかっていうところの段階。やったことのない役やジャンルに興味はありますけど、とにかく今は与えられた役に対してしっかりと向き合いたい」と語り、「普段は割りかし“ジャニーズ感強め”で生きているので(笑)、そういうところをお芝居や作品によって自由自在に出したり消したり出来るようになりたいな、とは意識している」と目標を語った。
「愛ちゃんはすごく神秘的な雰囲気を持った女優さんですけど、髪の毛を切ったらさらにUFOを呼べそうになった。帰り迎えにきてくれるんじゃない?」とリリーからイジられた橋本は「はい。UFOは呼べると思います(笑)」と苦笑い。すると、今度は亀梨が「今回は(劇中で)牛が出てくるじゃないですか、現場で牛にびっくりするくらい反応してて。わりかし現場ではキャラクターもあって大人しいというか、イメージ通りのスッとした女優さんだなと思っていたら、牛と出会ったときのはしゃぎっぷりっていったら。ロケバスを誰よりの先に降りて走っていくっていう。“牛~!”みたいな(笑)」と橋本の意外な一面を告白。「牛大好きで。人間より大きな動物が大好きなんです!」と橋本は満面の笑みを浮かべた。
そのまま話題の中心は劇中に登場する牛になり、リリーは「あの牛は本当にきっちり芝居をする牛でしたね。お父さんを牛の背中に乗っけて家族が押すって言うから、“そんなに牛は言うことを聞きませんよ~監督”って言ってたら、ちゃんと何回もやるんだよね!」と牛の芝居を称賛。亀梨も「2頭いたんですけど、本番に選ばれなかった牛がちょっと端のほうでふてくされてるっていう(笑)」と明かすと、リリーは「あの選ばれたほうの牛はこれから絶対仕事増えますよ」と最後まで褒め称えた。
映画「美しい星」は全国公開中。
公式サイト:http://gaga.ne.jp/hoshi/