河瀨直美監督最新作「朝が来る」が、カンヌ国際映画祭公式作品「CANNES 2020」に正式選出が決定。河瀨監督にとってカンヌ国際映画祭で8度目の公式選出作品となった。
新型コロナウィルスの影響で通常開催を断念したカンヌ国際映画祭が、従来の部門別公式選出リストではなく、来年春までの劇場公開が予定されている作品の中から部門の区別をせず「CANNES 2020」として56作品を選出。これらは今後秋以降に開催される各国の映画祭と連携し、順次上映される。
「朝が来る」は直木賞・本屋大賞受賞のベストセラー作家・辻村深月の同名ヒューマンミステリーが原作。実の子を持てなかった夫婦と、実の子を育てることができなかった14歳の少女をつなぐ「特別養子縁組」によって、新たに芽生える家族の美しい絆と胸を揺さぶる葛藤を描く。
本作に出演する永作博美は、発表を受けて「目の前の悶々とした空気をかき分け存在を示したカンヌ映画祭…前に進めと軽やかな風を流し込んでもらったような知らせでした」と喜びをコメント。
河瀨監督は「正直に言えば、カンヌという、あの夢のような場所に『朝が来る』に参加した日本を代表する俳優やスタッフと共に行きたかった。そして、分かち合いたかった」と悔やみつつも、「【CANNES 2020】のレーベルという称号をいただけたことを誇りにして、これを機に、より多くの人々へこの映画を贈ります。皆んなに早く逢いたいよ。登場人物たちも、そう願っている。明けない夜はないのだから」と胸の内を語っている。
「朝が来る」
2020年10月23日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督・脚本・撮影:河瀨直美
原作:辻村深月 『朝が来る』(文春文庫)
共同脚本:髙橋泉
出演:永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子、中島ひろ子、平原テツ、駒井蓮、田中偉登、佐藤令旺、利重剛
製作:キノフィルムズ・組画
配給:キノフィルムズ
<STORY>
一度は子供を持つことを諦めた栗原夫婦は、特別養子縁組という制度を知り、男の子を迎えいれる。それから6年、息子の成長を見守る幸せな日々を送っていた。ところが突然、産みの母親“片倉ひかり”を名乗る女性から、「子供を返してほしいんです。それがダメならお金をください」という電話がかかってくる。当時14歳だったひかりとは一度だけ会ったが、生まれた子供への手紙を託す、心優しい少女だった。渦巻く疑問の中、訪ねて来た若い女には、あの日のひかりの面影は微塵もなかった。いったい彼女は何者なのか、何が目的なのか。
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