第72回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞した「その手に触れるまで」が6月12日(金)公開。各界の著名人からコメントが到着した。
本作は第72回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞したジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督の最新作。尊敬するイスラム指導者に感化され、過激な思想にのめり込んでいく13歳の少年アメッドの揺れ動く感情と成長が描かれる。
今月12日の公開を前に、ひと足先に本作を鑑賞した映画監督の樋口毅宏や劇作家の長塚圭史、モデルの青柳文子らからコメントが届いた。
■濱口竜介(映画監督)
ワンショットごとに生の只中へと放り込まれる。あまりにささやかな奇跡が、全ショットを満たす。その手腕を今はまだ「魔術的」としか形容しようがない。少年のまったく信用ならない、だからこそ最も信用できる改心の瞬間。私たちがダルデンヌ兄弟の偉大さを真に知るのは、「現代社会」から遠く隔たった未来の話だろう。その不幸と、彼らの新作に同時代で立ち会う幸福はどちらが大きいだろう。それがわかる日まで、繰り返し彼らの映画を見るほかはない。
■ブレイディみかこ(ライター「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」)
淡々と、静かに語られる「いま欧州で起きていること」。少年の瞳が最後には光を見ることを願わずにはいられなくなる。
■青柳文子(モデル/女優)
世界中の大人たち、それぞれの正しさや信じる道ってどう見つけてきたんだろう。
子を持つ親として、伝えていかなければならないことへのヒントを得た気がします。
■長塚圭史(劇作家/演出家/俳優)
語り合えばきっと互いに分かり合えるというのは幻想である。分かり合えないという現実から目を離さない激烈な映画である。その現実を前に立ち止まるのか、思考を始めるのか。観客に託されるものは大きい。
■樋口毅宏(作家)
ラスト全面肯定!あのまなざしの優しさはどこからくるのか。ダルデンヌ兄弟、あなたたちが神様だったら良かったのに。
■武田砂鉄(ライター)
思い通りにならないとき、人は人のせいにする。人のせいにすればするほど、思い通りにはならなくなる。戻る道を見失った先にある、わずかな光源を抱きとめた。
■玉本英子(ジャーナリスト「アジアプレス」)
過激主義に「洗脳」されたアメッド。私がシリアやイラクで取材した元IS戦闘員の少年らと重なる。テロや戦争に利用される子供たちと、どう向き合うのか。この物語をフィクションと見るべきではない。
<作品情報>
「その手に触れるまで」
2020年6月12日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
出演:イディル・ベン・アディ、オリヴィエ・ボノー、ミリエム・アケディウ、ヴィクトリア・ブルック、クレール・ボドソン、オスマン・ムーメン
後援:ベルギー大使館
配給:ビターズ・エンド
<WEB>
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