東は太平洋のイースター島、西はインド洋のマダガスカルに至るまで16の島国に残る伝統的な音楽とパフォーマンスを記録した驚異の音楽ドキュメンタリー「大海原のソングライン」が、8月1日(土)より公開決定。それに先駆け、特別映像が解禁となった。
5000年前、太平洋には海を渡る人々がいた。彼らは数千年に渡って大海原を攻略し、地球の半分を覆う島々にたどり着く。文字が普及する前の時代なので、彼らはその先々で音楽を残しながら交流していった。その勇敢な船乗りたちの子孫は、今や4億人にまで増えている。
音楽プロデューサーでもある監督のティム・コールとプロデューサーのバオバオ・チェンは3年間に渡り、その航路をたどった。台湾から出発してオーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、さらに太平洋の向こう側に位置するマダカスカル、そしてイースター島に至るまで実に16の島国に残る伝統的な音楽やパフォーマンスを記録。
「Small Island Big Song」と名付けられた、この試みは単なる伝統音楽の記録に留まらない。本作は、かつて同じ言葉や音楽で繋がっていた島々の歌をもう一度集結させる壮大な音楽プロジェクトだ。
今回、解禁された特別映像には、それぞれの島々の音楽がやがて壮大なアンサンブルを奏でるまでの、パフォーマンスの一部を観ることができる。
ブーゲンビル島のハク族は、「Monoka」という竹の筒を叩く打楽器で参加。マダガスカルのメリナ族は「Kabosy」と言われる木製のギターやボーカル、台湾のタロコ族は動物の骨と竹製のタロコ口琴、パガグという竹製のフルートで参加している。アメリカ・ハワイ先住民はイプヘケという楽器、パプアニューギニアのモツ族はガムラートで参加した。
驚きなのは、水を打楽器のようにあやつるバヌアツのムウェルラップ族。水の中に草で作った衣装を着た女性たちが並び、水面を叩くことで自在に音楽を作りだす様は現代の誰もが魅了されるはずだ。本作で、このパフォーマンスを記録したことは民俗学的にみても、非常に意義があることだと言えるだろう。
このアンサンブルで中心的な役割を果たすのは、ソロモン諸島のチャールズ・マイマロシアだ。先住民から伝わる歌と「Au Rerepi」というパンパイプ、「Awaa」という葦や竹を束ねた楽器を使用して、アンサンブルをリードしていく。
チャールズは、マルチな楽器奏者であり、自身の伝統文化の要素をモダンなサウンドとスタイルに取り込んだ現代のミュージシャン。ソロモン諸島のピピスビレッジで育ち、自身のルーツであるアレ・アレ族の音楽に深い関心をもち、その文化と音楽の継承に力を注いできた。本作は、そんなチャールズの音楽の魅力も存分に観て聴くことができるものだ。
同じルーツを持つ海洋民族たちの音楽を、現代に新しくよみがえらせる奇跡のプロジェクトを記録した本作。その圧倒的な映像美と音響を、8月1日(土)より映画館で楽しむことができる。
<動画>
「大海原のソングライン」特別映像
<作品情報>
「大海原のソングライン」
2020年8月1日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開。以降、全国順次
監督:ティム・コール
プロデューサー:バオバオ・チェン
出演:クアナ・トレス・カヘレ、タリカ・サミー、ホロモナ・ホロ、アレナ・ムーラン、チャールズ・マイマロシア、ポエモアナ
配給:ムーリンプロダクション
後援:オーストラリア大使館、ソロモン諸島名誉領事館
<WEB>
公式サイト:http://moolin-production.co.jp/songline/
©Small Island Big Song