8月28日(金)に公開される映画「ソワレ」の完成報告会が、7月29日(水)にテアトル新宿で開催された。村上虹郎、芋生悠、外山文治、豊原功補が登壇した完成会のオフィシャルレポートを以下に掲載する。
豊原功補と小泉今日子らが立ち上げた映画制作会社「新世界合同会社」の初プロデュース作品となった本作。主演を務めた村上虹郎と芋生悠、オリジナル脚本も手掛けた新鋭・外山文治監督、豊原功補プロデューサーが出席し、完成した映画への思いを語った。
本作で演じた翔太という主人公の役作りについて村上は「作ろうとしても作りこめず、理解しようとしても肩透かしを食らう感じで、悩みに悩んで現場に行くしかなかったし、行かないとわからなかった」とその難しさを吐露する。
父親から暴力を受け、トラウマを背負うタカラを演じた芋生は「脚本を読んだ段階で、かなり覚悟を決めないといけないなと思いました」と振り返った。そして「本当に強い子で、すごく美しい子だと思いました。そんな子でも、ひとりでは戦えないので、そばに寄り添って一緒に歩めたらいいなと思いました」と明かす。
外山監督は、主演の2人を絶賛。まず村上について「現在の若者を重ねるには、彼しかいないという確信の下で選んだ」と語る。オーディションで抜擢した芋生についても「出会った時に、タカラという役には彼女が必要だと思った。ベストマッチだったんです。素敵な2人と巡り合えました」と力強く語った。
豊原プロデューサーは「新世界合同会社」の設立、そして本作の制作について、外山監督の短編「此の岸のこと」を観て感銘を受け、その外山監督から「手伝ってほしい」と声を掛けられたことがきっかけだったという。ただ「どうせやるなら本腰を入れて、テキトーにやっていると思われたくなかったので、会社を作って乗り込もうと思った」と、その強い思いを明かす。
撮影現場には豊原と小泉も駆けつけ、プロデューサーとして俳優、スタッフのために尽力していたそう。村上は、早朝撮影の際のエピソードとして「朝、ホテルの玄関に行くと、小泉さんが車をつけて、助手席を開けて『おはようございます!』って専用ドライバー状態で待っていてくださいました(笑)」とあの小泉を“アシ”として使っていたと告白。
豊原プロデューサーは「予算が潤沢と言える作品ではないので、我々も働かないと(笑)」と照れくさそうに語ったが、芋生も「大先輩で、“天下の”と言ってもいいお2人が、汗水たらして動いてくださって、私たちがのびのびとやれる環境を作ってくださいました。寝る時間もなかったと思うんですけど、それでも生き生きとされていて、それが活力になりました」と感謝の気持ちを口にしていた。
最後に、本作について「いまだからこそ見てほしい映画になっています」と語った芋生。「ソワレ」というタイトルが“夜明け前”という意味を持つことに触れ「真っ暗な同じ景色ばかり続いて、この夜は終わらないんじゃないかと思うことがあるけど、これを見たら『朝を迎えてやるぞ!』と思える、そんな作品になっていて、少しの希望を持ち帰っていただくことができると思います」と、まさに映画に関わったすべてのキャスト、スタッフの思いを代弁するかのような力強いメッセージで映画をアピールし、舞台挨拶は幕を閉じた。
<イベント概要>
「ソワレ」完成報告会
2020年7月29日(水)テアトル新宿
登壇者:村上虹郎、芋生悠、外山文治、豊原功補
<作品情報>
「ソワレ」
2020年8月28日(金)より全国公開
監督・脚本:外山文治
出演:村上虹郎 芋生 悠
岡部たかし 康 すおん 塚原大助 花王おさむ 田川可奈美
江口のりこ 石橋けい 山本浩司
後援:和歌山県、(公社)和歌山県観光連盟
協力:御坊日高映画プロジェクト、和歌山市
配給・宣伝:東京テアトル
<あらすじ>
俳優を目指して上京するも結果が出ず、今ではオレオレ詐欺に加担して食い扶持を稼いでいる翔太。ある夏の日、故郷・和歌山の海辺にある高齢者施設で演劇を教えることになった翔太は、そこで働くタカラと出会う。
数日後、祭りに誘うためにタカラの家を訪れた翔太は、刑務所帰りの父親から激しい暴行を受けるタカラを目撃する。咄嗟に止めに入る翔太。それを庇うタカラの手が血に染まる。
逃げ場のない現実に絶望し佇むタカラを見つめる翔太は、やがてその手を取って夏のざわめきの中に駆け出していく。こうして、2人の「かけおち」とも呼べる逃避行の旅が始まった−−。
<WEB>
公式サイト:https://soiree-movie.jp/
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