10月16日(金)に全国公開となる映画「スパイの妻」が、第77回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞。それを受けて、出演の蒼井優と高橋一生、黒沢清監督よりコメントが到着した。
ヴェネチア国際映画祭は、カンヌ・ベルリンと並ぶ世界3大映画祭のひとつであり、世界最古と呼ばれる歴史深い映画祭だ。そのメインであるコンペティション部門に、唯一の日本映画として選出された本作。
9月9日(水)に開催されたワールドプレミアは早々に完売となり、世界の黒沢ファンが駆けつけ、監督・キャスト不在にもかかわらず、上映後はあたたかな拍手の音が響いたという。
上映後の評価も上々で「近年の黒沢作品の最高傑作!」(Indiewire)、「純粋に楽しむことができ、国際的にも受け入れられるエンタテインメント」(Variety)、「黒沢監督はこの作品で、新たな野心的出発を遂げる」(Screendaily)といったメディアからの賛辞が並んだ。
ヴェネチア国際映画祭の最優秀監督賞にあたる銀獅子賞の受賞は、日本映画としては2003年の北野武監督「座頭市」以来、17年ぶりの快挙。溝口健二監督が「雨月物語」「山椒大夫」で2度、黒澤明監督が「七人の侍」、熊井啓監督が「千利休 本覺坊遺文」で受賞に続き、日本では5人目の受賞者となった。
審査員のひとりであるクリスティアン・ペッツォルト監督は「大好きな作品です。オペラ的なリズムと画作りで政治ドラマを描く。このような作品には久しく出会っていませんでした。30〜40年代の伝統的な世界を現代のスタイルで表現しています」と本作を絶賛している。
受賞にあたり、黒沢監督は「スタッフと俳優の力が最高のかたちで組み合わさった結果だと思っています。映画の可能性は無限なのだと、この歳になって実感しました」と述べた。
蒼井は「ケイト・ブランシェットさんから監督のお名前が呼ばれた瞬間、現場の片隅でモニターを静かに並んで見つめられていた、監督と奥様の後ろ姿を思い出しました。たくさんの映画仲間から連絡が入り、みんなとても興奮し、感動し、喜んでいます」と喜びのコメント。
高橋は「この作品が世界で評価されることを嬉しく思います。黒沢監督のもと、あの空間、あのスタッフ、キャストと共に作品を作り上げていく時間は、最高の体験でした」と撮影を感慨深く振り返っていた。
そんな世界各国から称賛を浴びた「スパイの妻」は、いよいよ日本でも10月16日(金)に全国公開となる。
<作品情報>
「スパイの妻」
2020年10月16日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショー
キャスト:蒼井優 高橋一生
東出昌大 坂東龍汰 恒松祐里 笹野高史
監督:黒沢清
脚本:濱口竜介 野原位 黒沢清
音楽:長岡亮介
配給:ビターズ・エンド
配給協力:『スパイの妻』プロモーションパートナーズ
<ストーリー>
1940年、神戸で貿易商を営む優作は、赴いた満州で偶然恐ろしい国家機密を知り、正義のため、事の顛末を世に知らしめようとする。聡子は反逆者と疑われる夫を信じ、スパイの妻と罵られようとも、その身が破滅することも厭わず、ただ愛する夫とともに生きることを心に誓う。太平洋戦争開戦間近の日本で、夫婦の運命は時代の荒波に飲まれていく……。
<WEB>
公式サイト:http://wos.bitters.co.jp/
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