全国公開中の映画「ソワレ」の大ヒット御礼舞台挨拶が、9月13日(日)に開催。村上虹郎と共にW主演を務めた芋生悠と、外山文治監督が登壇した。以下、オフィシャルレポートを掲載する。
豊原功補、小泉今日子、外山文治監督らで立ち上げた映画製作会社「新世界合同会社」の第1回目のプロデュース作品「ソワレ」。本作は、センシティブな感性で唯一無二の世界観を作り出す新鋭・外山文治がオリジナル脚本で挑んだ長編映画だ。
主人公・翔太役に、類稀なる吸引力で日本映画の台風の目になりつつある実力派俳優の村上。タカラ役には100人以上のオーディションから抜擢された芋生の2人をW主演に迎え、若い男女の切ない逃避行を映し出した。
公開から約2週間を経ての周囲の反響について、芋生は「同業者の女優さん、俳優さんからLINEで『見たよ』と連絡をいただきます。みんな長文で感想を送ってくれて、ご自身と照らし合わせて『ソワレ』を見てくれていて、最後に決まって、『ありがとう』と締め括られています。『自分にとっても大切な作品になった』と言っていただけることが多くて嬉しいです」と喜びを口にする。
外山監督の周囲でも反響は大きいようで、「おかげさまで評判が良いです。セリフも少ない映画ですし、お客さまにゆだねる部分が多い作品なので、もう少し賛否あるんじゃないか?受け入れられるかわからないなと思ってたのですが、気に入ってくださる方が多くて、嬉しいですし、芋生悠の評判がとっても良いので、本当に選んでよかったなと」と嬉しそうにうなずいた。
撮影から1年以上を経ても、インタビューやプロモーションの場、また日常のふとした瞬間に、自身が演じたタカラの気持ちがよみがえり、「過呼吸になる瞬間もある」という芋生。
壮絶なトラウマを持つ彼女とどう向き合ったのかを尋ねると、「自分がこの役を演じるにあたって、タカラと共倒れになったらいけないなと、できるだけタカラという役と一緒に歩く。横に並んで、一番近くで私がタカラを見ていたいなと思っていました。憑依するのではなく、彼女が感じたものを素直に私が(横で)感じたいという思いで、一緒にいました」と振り返る。
外山監督は、オーディションで芋生を選んだ理由について、「お仕事を一緒にしたことはなかったけど18歳の頃から知ってはいたんです。渋谷で行われた写真展を見て、印象的だなと思ったんですが、家に帰ると『どんな子だっけ?』と記憶から抜けていたんですね。それは、彼女が未成年でまだ人間の核や形が出来上がっていなかったからフワッとしたものを感じたんですが、それが(村上演じる)翔太の高校時代に気づかなかったというところにマッチするんじゃないかと感じました」と明かす。
続けて「オーディションの時は20歳で、もう大人の女性としての核ができていて、生命力をどの参加者よりも感じました。記憶からすっと抜け落ちてしまうような未成年の時期を経て、いま、タカラのトラウマを乗り越えようとするさまを表現するには、芋生さんが一番適していると感じました」と熱く語った。
この日はそんな芋生の貴重な最終オーディションの映像をはじめ、撮影現場でのメイキング映像、クランクアップを迎えた瞬間の映像などが特別に上映。外山監督によると、何名かの候補者に絞られた最終オーディションの段階で、村上から「参加します」という申し出があり、参加者たちは実際に村上を相手に芝居をすることになったという。
「恥ずかしいですね…」と芋生は照れていたが、外山監督は「山口百恵のようですね」とにっこり。村上と女優のマッチングを確かめていたそうだが、「W主演なので、ひとりひとりの個性が大事で、決して交わらなくていい。全然違う2人を見たいと思っていた」と、その意図・選考基準を説明。
「(村上と芋生は)お互いに全然染まらず、染められず、キャラクターの違う2人が画面に共存してるのが素敵だなと思いました。ベストカップルというと、『お似合い』というイメージがあるけど、必ずしもそうじゃなくて、ひとりひとりとして互いを刺激し合える並びだなと思った」と、異なる個性でぶつかり合う村上と芋生こそがベストの組み合わせだったと振り返った。