全国公開中の映画「星の子」より、主人公のちひろ(芦田愛菜)が泣きながら親友に思いを打ち明けるシーンの本編映像が解禁された。
本作で芦田が演じるのは、撮影時の自身と同じ中学3年生の少女ちひろ。“あやしい宗教”を深く信じている両親のもとで多難な青春に翻弄されるちひろの複雑な感情を圧倒的な演技力で表現し、女優としてのあふれんばかりの才能と輝きがほとばしっている。
原作は「むらさきのスカートの女」で第161回芥川賞を受賞した今村夏子。いま最も次作を期待されている気鋭の作家であり、本作が初の映像化作品となる。監督・脚本は「日々是好日」「MOTHERマザー」の大森立嗣。音楽の世武裕子をはじめ、「日々是好日」のスタッフが再集結し、少女の繊細な揺らぎを大切に描き出した。
今回解禁されたのは、一目惚れし、授業中も似顔絵を描き続けていた南先生との間に事件が起き、ちひろが耐え切れず涙を流すシーンだ。親友のなべちゃん(新音)がハンカチを差し出して慰めていると、そこになべちゃんの彼氏・新村(田村飛呂人)もやってきて「どうしたんだよ?」と尋ねる。
すると「公園で見た怪しい人、うちの親なんだ」と打ち明け、謝るちひろ。なべちゃんと新村は、夜の公園で奇妙な儀式をする両親を南先生に見られたときに、一緒に車中にいたのだ。
なべちゃんは怪しい2人が誰だかわかっており、新村も驚きを見せるものの「謝るなよ。オレ、カッパだと思った」と、真面目に声をかける。ちひろが両親はあの儀式をすると風邪をひかないと信じていると説明を始めると、それを否定せず受け止め、「オレも全然風邪ひかない」と天然さを発揮する新村と、「あんたはバカだから」とつっこむなべちゃん。
芦田は、ちひろを演じるにあたり「宗教や両親のことで悩むこともありますが、学校に行けば心許せる友だちがいてつらい思いを打ち明けられたり、そんな多面的な部分を表現したいと思いました」と語る。まさにこのシーンは寄り添ってくれる親友の存在ややさしさに共感し、思わずくすっと笑ってしまいながらも胸が締めつけられる場面のひとつだろう。
ちひろとなべちゃんは、他のシーンでも恋バナや合コン話を繰り広げ、そのバディ感も反響を呼んでいる。「まほろ駅前」シリーズや「セトウツミ」などバディ・ムービーが得意な大森監督ならではのセンスが冴え、ちひろの何気ない学校での日常も印象的に描き出した。
そんな学校での撮影について、「なべちゃんや新村くんと一緒にいるときは本当に学校にいるような感じで、毎日笑いが絶えない楽しい現場でした」 と振り返る芦田。
新村役の田村はオーディションで選ばれ、映画初出演のため、3人でのシーンは大森監督自らワークショップを開き、役と向き合う時間をとったという。ちひろの父親役を演じた永瀬正敏も、新村のシーンを「居がちな感じで(笑)。良かった」と気に入っていたそうだ。
3人の絶妙なやり取りは、本作の温かみやおかしみを感じさせる重要なシーンとなり、学園ドラマとしてもたくさんの見どころを作り上げている。
<動画>
「星の子」本編映像
<作品情報>
「星の子」
全国公開中
キャスト:芦田愛菜 岡田将生 大友康平 高良健吾 黒木華 蒔田彩珠 新音 永瀬正敏 原田知世
監督・脚本:大森立嗣
原作:今村夏子『星の子』(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
配給:東京テアトル、ヨアケ
<WEB>
公式サイト:http://hoshi-no-ko.jp/
©2020「星の子」製作委員会