映画「ばるぼら」公開記念舞台あいさつに、W主演を務めた稲垣吾郎、二階堂ふみ、監督の手塚眞が登壇した。
禁断の愛とミステリー、芸術とエロス、スキャンダル、オカルティズムなど、さまざまなタブーに挑戦した手塚治虫の大人向け漫画を原作に、手塚の実子・手塚眞がメガフォンをとった今作。稲垣は異常性欲に悩まされている耽美派小説家・美倉洋介を、二階堂は芸術家のミューズであり自堕落な生活を送る女・ばるぼらを演じている。
二階堂との共演について問われた稲垣は「デビュー作から映画をずっと観させていただいていて、ご一緒したいとずっと思っていました。美倉の才能が開花したのは“ばるぼら”というミューズとの出会いによって。この作品で僕が最後まで役を全うできたのは二階堂さんのおかげなので、二階堂さんは僕にとってのミューズですね」としみじみ。
二階堂も「稲垣さんは私が物心ついた時からスターというか、トップで活躍されている方。稲垣さんの聡明さや博学な部分がこのキャラクターにとっても魅力になるだろうと現場に入る前から感じていました。現場で学ばせていただけたことがたくさんあり、貴重な経験をさせていただけた。感謝の気持ちでいっぱいです」と語り、難役を演じた者同士の信頼関係を覗かせた。
さらに手塚も「内容的に非常に難しい場面もございましたが、2人ともプロフェッショナルで全く躊躇なくさまざまな場面をこなしていただいた。まさにこの映画の中心を成す2人でしたし、現場で監督させていただけるという幸運に恵まれ、今日のような晴れやかな場所で2人と立てることがうれしいです」と喜びを語った。
続いて司会者から、小説家である美倉と稲垣の「社会的に知名度がある」という共通点にちなんで「もし現在のように世間に名前を知られていなかったらしたいことは?」との質問が。稲垣は「…これが見出しになりそうですね。これまで真面目に話してても、こういうのが見出しに(笑)。長年の経験で分かってます」と笑いを誘うと、「海外とかに行って、自分のことを誰も知らない街で歩いていたりすると開放的な気持ちになります」と回答。「最近はコロナの影響もあり、マスクをして帽子をかぶって歩くのが普通になっている」とし、「今まではそういう格好をしてると『芸能人』だという感じに見られてたんですけど、ちょっと不謹慎かもしれませんけど、今まで行けなかったお店に行けたり、ということはありますよね」と、笑顔を見せた。
最後に稲垣は「2年前に撮影して、そこから世界は激変してしまったけれど、こうして皆さんのおかげで無事に公開を迎えられて本当にうれしい。この作品は、1つの大きな答えが用意された娯楽作品とはちょっと違うところにある作品ですが、映画のテーマでもある愛や幻想、狂気の果てで見えるような美しい景色、美しい芸術をみなさんに堪能いただける作品に仕上がっていると思います」と。
二階堂は「稲垣さんもおっしゃるように、アート性の高い作品ですが、そこからどんどんつながりが出来ていく作品だと感じています。劇場で堪能していただき、ぜひお友達や家族と共有していただけたら」とPRし、全国65劇場に生中継された舞台あいさつは幕を閉じた。
映画「ばるぼら」はシネマート新宿、ユーロスペースほかにて全国公開中。