公開中の映画「岬のマヨイガ」の初日舞台あいさつが行われ、芦田愛菜、大竹しのぶ、粟野咲莉、川面真也監督が登壇した。
本作は、『千と千尋の神隠し』に影響を与えた小説「霧のむこうのふしぎな町」など、長年にわたり愛され続けるベストセラーを世に送り出した作家・柏葉幸子による同名小説を長編アニメーション映画化。居るべき場所を見失った17歳の少女と声を失った8歳の女の子がたどり着いた、懐かしくて少し不思議な伝説の家・マヨイガ。血のつながりがない新しい家族たちとの、不思議だけど温かい共同生活を描くノスタルジック・ファンタジー。主題歌には、今音楽業界で最も注目を浴びているオルタナティブロックバンド「羊文学」が本作のために書き下ろした「マヨイガ」が起用されている。
まずは、主人公・ユイを演じる芦田が「この映画をいよいよ皆さんにお届けすることができてとてもうれしいです。この映画に出てくるマヨイガっていうのは、訪れた人をもてなしてくれる不思議な家なんですけど、皆さんにささやかな幸せを届けてくれたらいいな」とあいさつ。
不思議なおばあさん・キワ役の大竹は「今人と触れ合うことができない状況の中でこの映画を見て、こんなふうに人と触れ合えるんだ、信じ合えるんだという優しい気持ちになってくれたらうれしいです」と続いた。
「本作で共感した部分、自身に影響を与えた部分」を聞かれた芦田は「私が好きなシーンはユイとひよりとキワさんの3人で味噌おにぎりを縁側で食べているシーンがあるんですけど、本当にくだらない話で盛り上がって、笑い合っているそんな姿がまさに、小さな幸せなんだな、こういう幸せが身近にある日常ってすてきだな、ってすごく感じました。私自身、学校で友達とたわいもない話をしている時間っていうのがすごく楽しくて、そんな時間があるってすごく幸せなことなんだなってあらためて実感しました」と、自身が日常で感じる幸せと照らし合わせた。
次に大竹は「たくさんあるんですけど…キワさんの何があっても“だいじょぶだあ”“すんぺすんな”っていうドーンと構えているところがとても好きです。こんなふうに頼れるおばあちゃんになれたらいいなって思います」と回答。
粟野は「この作品には、人とのつながりとか自然の美しさとか、すてきだなと思えるところがたくさん描かれているんですけど、その中でも私がとても共感したのは、“食の大切さ”について描かれているところです」とコメント。11歳とは思えない言葉に大竹が思わず「すごいしっかりしてる…(笑)」とすかさず反応した。
川面監督は「制作に当たり、かなりの回数岩手に行きまして、今もすぐにでも行きたいくらい岩手に思い入れが出来まして、なんかそういう思い入れがある場所が増えたっていうのが今回よかったですね」と物語の舞台となっている岩手愛を明かした。
血のつながりはないが“家族”になっていく物語にちなんで「“家族”とはどのような存在ですか?」と聞かれると、芦田は「そうですね、私にとっては、いつもそばにいてくれて、支えてくれて、一緒にいるとすごく安心できる存在ですね。やっぱり家族の存在には感謝していますし、家族が応援してくれるから私も何か新しいことに挑戦しようという気持ちになります」と。
大竹は「難しい質問なんですけど…家族というのは、たまたま家族になったという考え方を私はしていて、子供も自分のものではない、いつかは旅立っていくっていうふうに捉えなければいけないなと思いますけど、こういう時期になった時に、会える人や触れ合える人は家族以外ないので、すごく家族っていうものについて考えさせられる時期だな思いますね。私は3年前に母を失って、家族の形態も変わっていくんですけれども、やっぱり人を思う気持ちを大事に家族も大事にしていきたいなって思います」と語った。
川面監督は「制作するに当たって、スタート地点というのを心掛けました。家族というのは、いろんな形があって、一番キープしなきゃいけない家族との関係というのは僕はスタート地点だというのを僕は考えまして、そのくらいのスタンスで捉え直してみようということで本作を作っているので、それが伝わればいいかな、と思っております」と自身が持っていた家族の考え方を明かした。
話題が変わり、学生はもうすぐ夏休みが終わる時期ということを受け「“夏”についてのエピソード」という質問に。芦田は「浴衣を着て、花火、みたいなイメージなので、線香花火大会?みたいなものをしたいですね」とコメント。
大竹は「海で泳いだり、川に行ったり、キャンプしたりがあると思うんですけれど、娘が小学生くらいのときに夏休みの自由研究があって、何にするの? って聞いたら、心霊スポット巡りをしたいっていうので、一緒に全国を回って、模造紙にまとめました(笑)。もしかしたらそこで“ふしぎっと”たちと会えてたかもですね(笑)」と自身が親だからこそ経験したエピソードを披露した。
粟野は少し考えながら、「社会の授業で東北地方について学習した時、南部鉄器という岩手の伝統工芸品があることを知り、南部鉄器でお湯を沸かすと鉄分が入ってすごくおいしいお湯ができると知って、急須がすごく欲しくなりました」と話すと、またもや大竹が「すごいね、小学生で南部鉄器が欲しいなんて…」と感心した様子を見せた。
最後に芦田が「ユイとひよりとキワさんの3人の間に血のつながりはないんですけど、二人の温かさに触れてユイが少しずつ前向きに生きていけるようになる姿に共感していただけたらうれしいですし、そんな3人の姿を見て、大きな幸せっていうのもすてきだけど、何げない日常に転がっているような小さな幸せを感じていただけたらすごくうれしいです」と作品の見どころを紹介。
そして川面監督は「今日来てもらって、劇場で見てもらえるということが本当に幸せなことだと思いました。見終わって少しでも気楽な気持ちになれればいいなと思って作りました。楽しんでもらえればと思います」と映画に込めた思いを語った。
イベント概要
「岬のマヨイガ」初日舞台あいさつ
2021年8月27日(金) 新宿バルト9 スクリーン9
登壇者:芦田愛菜、大竹しのぶ、粟野咲莉、川面真也監督
作品情報
「岬のマヨイガ」
公開中
公式サイト:https://misakinomayoiga.com/
公式Twitter:https://twitter.com/misakinomayoiga