10月1日(金)より全国公開される映画「護られなかった者たちへ」のトークイベントが行われ、佐藤健、阿部寛、林遣都、瀬々敬久監督が登壇した。
本作は、東日本大震災から 10年目の仙台で起きた不可解な連続殺人事件を軸に、その裏に隠された切なくも衝撃の真実を描く、感動のヒューマン・ミステリー。佐藤、阿部、清原果耶、倍賞美津子、吉岡秀隆、林、永山瑛太、緒形直人という、豪華演技派キャストの競演も話題となっている。
佐藤は「本作は宮城でロケを行ったのですが、協力していただき、受け入れてくださった宮城の方々には非常に感謝しております。今の世の中に投げかける意義のある作品になったと思っております。ぜひ皆さんに見ていただきたいと思います」とあいさつ。
阿部は「台本を読んだときにミステリーとして濃厚で、身の毛のよだつ思いをしながら台本を読んでハラハラドキドキしました。さまざまな人物が登場しますが、一人一人の出演者が全身全霊を懸けて挑んだ作品です。ぜひ楽しんでください」、林が「本当に今届けるべき、届いてほしいなと思う作品に参加できて幸せでした」とコメントした。
イベントでは、佐藤演じる容疑者と、阿部・林演じる刑事の攻防が描かれる本作の設定になぞらえ、刑事の“取り調べ”さながらに、互いの印象や、聞いてみたかったことをテーマにトークを展開。雨の中の逃走シーンや、利根を取り押さえようとするシーンなど、ハードな場面も多かった本作で、お互いに「この人のここはすごい!」と思った点を尋ねられた佐藤が「本当に阿部さんはタフでいらっしゃいましたよね。逃走シーンではめちゃくちゃ走ったのに、阿部さん全然ピンとされてまして…」と話すと、阿部が「その時は大丈夫だったんですけど、半年間苦しみました」と苦笑い。
阿部は「佐藤君の集中力の凄さが圧巻でした。利根がそこにいるんじゃないかと思うくらい、それを通していらっしゃる。僕、そういうところ好きなんですよね。その集中力を見たときにいろいろなものを感じましたし、僕も役がやりやすくなりました」と佐藤を絶賛。林も「健さんに最初にお会いした時、物語の中の登場人物が生身の姿で存在しているような印象を受けました。利根なんですけど、初めて見る佐藤健だとも思いました。他の人には感じたことのないオーラを感じました。はっきりとその印象を覚えています」と、ここでも褒め尽くされた佐藤は「大変光栄です」と笑顔を見せた。
佐藤は宮城での撮影を「実際の被災地である場所で撮影することができたのは、演じる僕たちからすればとても助けられました。映画の冒頭は被災直後のシーンから始まるのですが、美術のセットではあっても、その場所に立つと怖いし、心細いし、寒いし、震えが実際に起こってきたりしました。心細い気持ちの中で、近くに誰かがいてくれることの安心感が自然と湧き上がってきたので、そういった感情に身を委ねて撮影させていただきました」と実際の現場ならではの撮影体験を振り返った。
“それぞれに聞いてみたかったこと”を質問するコーナーでは、佐藤が阿部へ「阿部さんはLINEとかされるんですか?」と質問。阿部は「LINEするんですよ」とはにかみながら答えた。佐藤が「スタンプとか使うんですか?」とさらに尋ねると、阿部は「ニコニコみたいな、黄色い丸い顔のやつ使います」と意外な答え。阿部は佐藤へ「取材のときに、カメラマンの人に“かっこいいですよ〜、いいOK!”と言われると、逆にテンション下がって困るんですけど(笑)、佐藤さんどうですか?」と質問すると、佐藤は「明らかに仕事で、呼吸をするようにいう人、嫌ですね(笑)。僕もそう思ってました(笑)。でも、阿部さんを撮ってる人のことを考えると漏れちゃうのは仕方のないことなのかなと思います」と答えた。
林は「真面目な質問なのですが、監督はずっと作品を撮り続けていらっしゃると思うのですが、普段どう過ごされているんですか?」と瀬々監督に質問。「俺もそれ聞きたい!」と阿部からも声が上がり、瀬々監督は「趣味=仕事なので、楽しい毎日を過ごしています。撮影していない時は映画見たりとかしています」と監督ならではの日常を明かした。
一般からの質問コーナーでは「10年前と今のご自身とで異なるところ、変わったところはありますか?」という質問が。佐藤が「根本的なところは変わっていないと思いますが、余裕を持つことができたかなと思います。10年前は今日を生きることに精いっぱいだったので、今はもうちょっと俯瞰していろいろなことを見れるようになったかなと思います。将来のビジョンまではいかないですが、1、2、3年後のことくらいは見据えることができているかなと思います」と回答。
阿部は「10年前、僕の歳でもいりいろなことが変わってきていますよね。いろいろな人との出会いがあったり、生活環境も変わりました。逆に、10年前の時は仕事を絞ろうかなと思っていたのが、そこから果敢にやっていこうと思っていたり、いろいろな変化がありますね」と。林は「両親にちゃんと“ありがとう”と言えるようになりました。学生時代、反抗期が強くて、上京して、反抗期のまま両親と離れたので、久々に地元に帰っても素直になれない、照れ臭い時期が続いていたのですが、“大切にしなきゃな”というところで『ありがとう』って言えるようになりました」と語った。
「『雨男』で名高い健さんですが、撮影中、雨に悩まされたことはありましたか?」という質問に、佐藤は「まず、名高くないとは思っているのですが(笑)、走るシーンは雨の予定ではなかったのに、降ってしまって、撮ったら結果オーライでした。雨の方がよかったのでは? と思いましたよね? あれは僕のおかげなんです(笑)」と会場を沸かせた。
阿部には「撮影現場では⻑く一緒でいろいろ話したという林遣都さんと、何か共通点や似ているところはありましたか?」という質問が。阿部は「似ているところ結構多いんじゃないかなあ。まず、顔が濃い(笑)、共通の知り合いがいるとか、いろいろ話しましたね」と、林との共演を振り返った。林も「おこがましいんですが、昔から顔が誰に似てるかって言われたら阿部さんということが多くて、今回ご一緒できてすごくうれしかったです。待ち時間も本当に多くの話をしてくださって、僕としては、憧れで役者としての理想ということがあって、阿部さんがどう歩んできたかとお話ししてくださったことは、自分の中で財産として残っています」と先輩・阿部との思い出を明かした。
最後に瀬々監督が「東日本大震災から10年という年で、ハードルの高い映画に見えてしまうかもしれませんが、今日のイベントのように、人と人がつながって生きていこうとするヒューマンの部分が浮き彫りにされる映画になっていると思います。エンターテイメントの映画として楽しんでいただければと思っておりますので、劇場にお越しください」と作品への思いを語った。
佐藤も「震災から10年がたちましたが、まだ世界にはさまざまな問題があって、困難に苦しまれている方がたくさんいます。この映画には自分たちの護りたい人を、護れるような社会であってほしいという願いが込められております。受け取っていただけましたら幸いです」と話し、イベントは幕を閉じた。
イベント概要
「護られなかった者たちへ」公開直前トークイベント
2021年9月20日(月・祝)銀座松竹スクエア
登壇者:佐藤健、阿部寛、林遣都、瀬々敬久監督
作品情報
「護られなかった者たちへ」
2021年10月1日(金)公開
出演:佐藤健、阿部寛、清原果耶、林遣都、永山瑛太、緒形直人、吉岡秀隆、倍賞美津子
配給:松竹
公式HP:https://movies.shochiku.co.jp/mamorare/
©2021映画『護られなかった者たちへ』製作委員会