公開中の映画「人と仕事」の公開記念舞台あいさつが行われ、志尊淳と森ガキ侑大監督が登壇した。
本作は、コロナに打ちひしがれた日本の職場で働く「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる保育士、介護士などの人々、その他、声なき仕事人たちの現状を有村架純、志尊がレポートするドキュメンタリー。「新聞記者」(19)、「パンケーキを毒見する」(21)など、話題作を世に送り出しているスターサンズ・河村光庸プロデューサーが企画し、「さんかく窓の外側は夜」(21)の森ガキ侑大が監督を務める。
10月8日に公開を迎え、映画を鑑賞した観客たちと初めて対面した志尊と森ガキ監督。まずは志尊が「本日はお集まりいただきありがとうございます。僕自身こうやって人前に立たせていただく機会は久しぶりなので少し緊張していますが、今日は最後までよろしくお願いいたします」とあいさつした。
元々は劇映画を制作する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止に。しかし、河村エグゼクティブプロデューサーの「ドキュメンタリー映画として制作しよう!」というアイデアから本作が生まれた。
森ガキ監督はその時の心境を「大学生の時にドキュメンタリーを1本撮ったんですけど、本当に苦しいんですよね。ドキュメンタリーを自分がもう一回、有村さんと志尊君とできるのかなと不安はありました。でも、コロナ禍だからこそ、この映画の企画は今しかできないし、今残さないときっと後悔すると思って、本能的にやらせてくださいと話をしました」と語った。
そして、志尊も出演をオファーされたことについて「予定していた劇映画の制作がなくなってしまうことにショックはありましたけど、そこでもなお作品を届けられる機会を頂いたことが、まずありがたいなと思いました。このドキュメンタリーは人と人とのコミュニケーションで成り立つ映画だと思うので、先が分からない中、人に寄り添えるか不安でしたけど、皆さんで『伝えていこう』とベクトルが同じ方向を向いたので、一生懸命やらせていただきました」と振り返った。
そんな本作では、劇映画とは違いドキュメンタリーならではの段取りをとらない手探りの撮影が行われ、出演した志尊にとってもメガホンを取った森ガキ監督にとっても難しい映画となった。
完成した本作を見た志尊は「普段は役柄を演じているので物語として見れるけど、今回は志尊淳なので、主観で見てしまいました。作品全体っていうことではなく、自分がインタビューさせていただいた方とか、出てくださった方々が、『この作品に出て良かったな』と思えたかなという目線で見させていただいていました」と感想を語った。
そんな志尊に対し、プライベートでも親交のある森ガキ監督は「インタビューをしていく中で志尊君の心境がポロッと出ていて、自分の中でも新たな志尊君を知れてうれしいなと感じました」と明かした。
冒頭シーンは、舞台あいさつが行われた場所でもある渋谷の街を、志尊が歩き回って取材を試みるシーンから始まる。看護学生の話を聞く志尊の姿も印象的なシーンだが、この時の撮影について「カメラもあって、森ガキ監督もいたので『ちょっと歩いてみますか』って感じでしたよね?」と振り返る志尊。
森ガキ監督は「マスクもしてるので、志尊君が声かけても『すみません』って無視するんですよ。いやいや、ここに志尊淳いるよ?って(笑)。でもやっぱりカメラがあるとなかなか心を開いてくれなかったです」と笑いを交えつつ明かした。
志尊もあらためて「カメラがあると僕でさえ心を開けないですし、どう声をおかけするのが一番いいのかなと思いながらの撮影はすごく難しかったです」と撮影時の苦労を語った。
続いて話題は、有村と志尊の変化を感じたという本編の中でもひときわ印象的な会議室のシーンについて。カメラを設置してあとは全てを2人に委ねた森ガキ監督は「ドキュメンタリーは本当にナマモノなので、本当に怖かったですよね。カメラを置いたところで2人がどこまで話してしてくれるのか分からないので。でも普段言えないことを話してくれて、感謝したいですね」と述懐。
志尊は「いや、あれは記録用で使わないからって言われて。有村さんとお互いの思いを共有しあったんですよね。全然使わないからって(笑)」と。しかし「でも使わないっていうことだけで荷が下りるんですよ。どうしても見られている自分と見られていない自分とで一枚フィルターがかかるので、使わないって言われたからこそしゃべれた内容だし、かといって『使わないで』っていう訳でもなかったです」と語った。
最後に志尊は、満席の観客に向けて「本日はありがとうございます。この作品を通して何かを伝えたいというよりも、僕自身いろいろな方とお会いしないと分からなかったこと、知らなかったことがたくさんあって、それを作品を見ていただいて共有できたことが一番幸せなことです。コロナや地震など、まだまだいろいろありますが、皆さんどうか、どうか生きてください」と熱い言葉であいさつ。
そして森ガキ監督が「この映画は本当に、いま制作できたことを誇りに思える作品になりましたし、これが本当に今しかできなかった映画だなと思っています。この映画を見て、どうやって生きていけばいいか悩んでいる人たちがもう一度立ち止まって、何か考えてもらえる作品になってもらえればうれしいなと思っているので、ちょっとでも多くの人に見ていただければと思います。今日は皆さんこの映画を選んでくださり、ありがとうございました」と感謝の言葉でイベントを締めくくった。
イベント概要
映画「人と仕事」公開記念舞台あいさつ
2021年10月9日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷
登壇者:志尊淳、森ガキ侑大監督
作品情報
「人と仕事」
全国公開中
出演:有村架純、志尊淳
監督:森ガキ侑大
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
配給:スターサンズ/KADOKAWA
製作:『人と仕事』製作委員会
公式サイト:hitotoshigoto.com
©2021『人と仕事』製作委員会