湊かなえの累計発行部数90万部を超えるミステリー小説「母性」が映画化されることが決定。廣木隆一監督がメガホンをとる。
2012年に発表された小説「母性」は、ある女子高校生の遺体が見つかったことに端を発した、「母と娘」をめぐるミステリー小説。数々の作品を世に送り出してきた湊が「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説です」と言うほどに心血を注いで上梓した物語だ。
これまでの湊作品といえば、初の映像化作品でありながら興行収入38.5億円を突破した「告白」をはじめ、吉永小百合主演で話題を呼んだ「北のカナリアたち」(原作:「二十年後の宿題」)、井上真央が第38回日本アカデミー賞主演女優賞を受賞した「白ゆき姫殺人事件」、またドラマ『花の鎖』『夜行観覧車』『Nのために』『リバース』『贖罪』など、多くの作品が映像化され、話題を集めてきた。
本作の映画化について湊は「映画化の話をいただいた際は、限られた時間でどの部分を切り取るのだろうかと、少し不安が生じました」と率直な心境を吐露しながらも、「しかし、脚本を読んで、切り取るのではなく、物語の大切なところをすくい上げ、映画として膨らませていることが分かり、安心しました」と語る。
そして、そんな湊作品の映画化を託されたのは、廣木監督。1982年に映画監督デビューを飾り、国内外40以上の映画祭で数々の賞を受賞した「ヴァイブレーター」(03)をはじめ、「余命1ヶ月の花嫁」(09)、「軽蔑」(11)、「さよなら歌舞伎町」(13)、「ナミヤ雑貨店の奇跡」(17)、「ノイズ」(22)など数多くの映画を手掛けてきた。
廣木監督は「湊さんが書かれた親と子供の関係性は普遍的である一方、さまざまな姿を三人の中に見せてくれました。どうぞ、女性の方ばかりではなく男性の方にも観ていただきたい映画になっているのでぜひスクリーンでお確かめください」とコメントを寄せる。
湊かなえ(原作)コメント
永遠に愛され、庇護される立場(娘)でありたい母親と、その母親から愛されたい娘の物語です。毒親でもなく、虐待でもなく、だけど大切なものが欠けた関係。それを、自分が母親と娘の両方の気持ちを持っているあいだに書きたいと、このテーマに挑みました。ちなみに、今はもうどちらの気持ちも持っていません。
映画化の話をいただいた際は、限られた時間でどの部分を切り取るのだろうかと、少し不安が生じました。
しかし、脚本を読んで、切り取るのではなく、物語の大切なところをすくい上げ、映画として膨らませていることがわかり、安心しました。一つ一つの場面が、役者の方々の演技や表情で、受け止め方が大きく変わってくる繊細な構成において、どのような感情を湧き起こさせてもらえるのか。原作者としてではなく、一観客として楽しみにできるのは、監督やスタッフ、役者の方々を信頼しているからで、そのような映像化になったことを、心からうれしく思います。
廣木隆一(監督)コメント
湊さんが書かれた小説は前から気になっていたので、今回映画化することができてうれしく思いますと同時にプレッシャーでもありました。母親と娘の話なので僕で大丈夫なのか心配でした。半面、どんな親子なのか興味あふれる物でした。でも、湊さんが書かれた親と子供の関係性は普遍的である一方、様々な姿を三人の中に見せてくれました。どうぞ、女性の方ばかりではなく男性の方にも観ていただきたい映画になっているのでぜひスクリーンでお確かめください。
関口大輔(エグゼクティブプロデューサー)コメント
湊かなえさんの小説が大好きで、いつか映像化に挑戦したいという夢を長年抱いていました。そして「母性」と出会い、どうしてもこの小説の映像化を提案してみたいと思いました。
湊さんの小説は、読むと脳内で不思議な化学反応が起き、読者それぞれの世界観が作られるのが魅力です。その世界観を大切に映像化するには、さまざまな才能が結集する必要があると思いました。そして今回、廣木隆一監督にオファーをして快諾をいただいた時、この小説を映像化できるという確信を持てました。
湊さんの素晴らしい原作、廣木監督の才能と独特の演出が合わさって、映画「母性」が完成します。
今まで見たことのないような世界にお客さんを引き込む意欲作です。
ぜひ、映画館でこの世界を体験していただければと思います。
作品情報
「母性」
2022年秋公開
原作:湊かなえ『母性』(新潮文庫刊)
監督:廣木隆一
エグゼクティブプロデューサー:関口大輔
製作:映画「母性」製作委員会
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式HP:bosei-movie.jp
©2022 映画「母性」製作委員会