映画「すずめの戸締まり」の完成披露試写会舞台あいさつに、主人公・すずめ役の声優を務めた原菜乃華をはじめ、松村北斗、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、劇中の音楽を担当した野田洋次郎（RADWIMPS）、そして新海誠監督が登壇した。
「君の名は。」（2016年公開）、「天気の子」（2019年公開）に続く、新海監督の3年ぶりの最新作となる本作は、日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる“扉”を閉めていく少女・すずめの解放と成長を描く現代の冒険物語。
すずめの声に命を吹き込むのは、1700人を超えるオーディションから探し出した原菜乃華。あふれ出る感情を声にのせるみずみずしい原石に、物語のヒロインを託された。扉を閉める旅を続ける“閉じ師”の青年・草太役には、新海監督が「内面の豊かさ」をオーディションで見いだした松村北斗。そして2人を支える、すずめの叔母・岩戸環役で深津絵里、草太の祖父・宗像羊朗役で松本白鸚が出演する。
また、漁協に勤めている環の同僚・岡部稔を染谷将太、すずめが出会う神戸のスナックのママで、女手一つで幼い双子を育てている二ノ宮ルミを伊藤沙莉、すずめが愛媛で出会う同い年の活発な少女・海部千果を花瀬琴音、すずめの母親・岩戸椿芽を花澤香菜が演じる。
さらに音楽には、新海作品3度目のタッグとなるRADWIMPS。共作として日米の映画やアニメシリーズで活躍する映画音楽作曲家・陣内一真が参加し、本作でしか成しえない最強の布陣で、壮大かつ繊細な冒険映画の機微を表現した。また、主題歌「すずめ」を歌うのは次世代の逸材・十明。唯一無二の歌声で物語の昂ぶりを奏でる。
観客のスタンディングオベーションが止まない中、登場した原は「私自身、昨日完成したものを見させていただいて、余韻の中今ここに立っています。今、こうしてたくさんの方に見ていただけて本当にうれしいですし、この場所に立てていることが本当に感謝しかないです」と涙ぐみながら感謝を述べた。
すずめ役を務めた原に対し、新海監督は「僕にとってはすごく自信のあるすずめになりました」と絶賛。「皆さん、すずめいかがでしたか？」と聞くと、客席からは大きな拍手が送られた。あらためてアフレコの感想を聞かれた原は「すずめちゃんの自分で人生を切り開いていく強さだったり、そういうところには私自身アフレコ中にたくさん助けてもらっていました。自分が憧れるような女の子の声を当てさせていただくのはプレッシャーでもあり、すごく光栄でうれしくもあって夢のような時間でした」と振り返った。
また、椅子に姿を変えられてしまうという役柄を演じた松村は、「見ていたよりもやったほうがほとんど椅子だったなって実感が強かったです（笑）。でも、椅子になってからのほうが草太の人間らしさがより出ていると感じました。だから椅子になってからのほうが実は好きです」とコメント。原は、そんな役柄だったからこそ緊張せずに芝居ができたといい、「椅子になってからは草太さんの表情が見えないのでやりにくかったりするのかなと思いきや、椅子のほうが草太さんの表情が見えるような気がするっていう不思議な現象が起きていて（笑）。椅子になってからのシーンはコミカルなシーンが多いですし、お気に入りのシーンがたくさんあります」と笑顔で語った。
そして今回、草太の親友・芹沢朋也役を神木隆之介が演じていることが発表された。新海監督は「芹沢は草太と友達ということで、僕は北斗君と神木君が一緒に並んで出ている姿とかもよく見たりしていたので（芹沢役に）ぴったりなんじゃないかなと思って、神木君にオファーを出したら『僕は芹沢じゃないと思います』って1回断られたんですよ」とまさかの事実を告白。
「主役じゃないとやってくれないのかな…って思ったんですけど（笑）、そんなことはなくて電話で聞いたら、『このキャラクターは自分ではないような気がするし、自分は瀧をやったから芹沢で上書きしてしまったら良くないんじゃないか』って言ってくれて。でも僕は、聞いた人が一見神木君じゃないんじゃないかっていうようなキャラクターになれば、それが芹沢にとって一番いいんじゃないかと思ってもう一度お願いしました。今振り返れば、芹沢は神木君以外あり得なかったかなと思います」と神木へのオファーの経緯を語った。松村は、オーディション前に神木に相談したといい「『コツとなるヒントありませんか？』みたいなことを聞きました」と話すと、新海監督は「神木君に聞くっていうのは、結構答えを知ることに近いですよね」と答えていた。
さらに十明が歌う「すずめ」に加え、もう一つの主題歌「カナタハルカ」が解禁。楽曲の制作について野田は「もう一曲この映画には必要なんじゃないかということを新海さんと2年かけて話していました。おそらく僕は結構な曲数を作ってお渡ししていました」と語り、「今年の頭くらいに『もう、いよいよ何も出てこない気がします』というようなことを言いながら、最後の最後を振り絞り送らせてもらったのがこの曲だったと思います」と、新海監督とのこだわりが詰まった楽曲であることを明かした。
最後に、登壇者を代表してあいさつを求められた原は「作品を初めて見たときに涙がとまらなかったです。きっとそれはたくさんの方がひたむきに制作してくださったものの積み重ねでこの作品が出来上がったことに対して胸にくるものがあったんだと思います。大画面で大音量で見れば見るほど肌で感じてもらえるような素晴らしい作品です。この作品が皆さんにとって明日を生きる糧になるような作品になると心から信じています」と伝え、イベントを締めくくった。
作品情報
「すずめの戸締まり」
2022年11月11日（金）全国東宝系にて公開
声の出演：原菜乃華、松村北斗、深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、花澤香菜、松本白鸚 ほか
原作・脚本・監督：新海誠
キャラクターデザイン：田中将賀
作画監督：土屋賢一
美術監督：丹治匠
音楽：RADWIMPS、陣内一真
製作：「すずめの戸締まり」製作委員会
製作プロデュース：STORY inc.
制作：コミックス・ウェーブ・フィルム
配給：東宝
©2022「すずめの戸締まり」製作委員会
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