映画「すずめの戸締まり」の大ヒット舞台あいさつが11月18日(金)に行われ、原菜乃華、松村北斗、新海誠監督が登壇した。
「君の名は。」(2016年公開)、「天気の子」(2019年公開)に続く、新海監督の3年ぶりの最新作となる本作は、日本各地の廃虚を舞台に、災いの元となる“扉”を閉めていく少女・鈴芽の解放と成長を描く現代の冒険物語。
鈴芽の声に命を吹き込むのは、1700人を超えるオーディションから探し出した原菜乃華。あふれ出る感情を声にのせるみずみずしい原石に、物語のヒロインを託された。扉を閉める旅を続ける“閉じ師”の青年・草太役には、新海監督が「内面の豊かさ」をオーディションで見いだした松村北斗。そして2人を支える、鈴芽の叔母・岩戸環役で深津絵里、草太の祖父・宗像羊朗役で松本白鸚が出演する。
また、漁協に勤めている環の同僚・岡部稔を染谷将太、鈴芽が出会う神戸のスナックのママで、女手一つで幼い双子を育てている二ノ宮ルミを伊藤沙莉、鈴芽が愛媛で出会う同い年の活発な少女・海部千果を花瀬琴音、鈴芽の母親・岩戸椿芽を花澤香菜、草太の友人・芹澤朋也を神木隆之介が演じる。
イベントは全国343のスクリーンでも同時中継され、原は「今、全国343のスクリーンで本当にたくさんの方が『すずめの戸締まり』を楽しみに見に来てくださっているということがすごくうれしいです」とあいさつ。松村は「地元の静岡でも見られていると思うとうれしい気持ちもありますし、もちろん343全ての皆さんのために、楽しくワクワクする時間にしたいと思います」とコメントした。
映画は公開から7日間で200万人を動員。新海監督は「200万というのは信じられない数字。僕が昔、アニメーション映画を作り始めたときは、最初の映画館が50人で満員になる箱だったんですよね。50人の方に拍手をいただいただけで人生が変わるような感激でした。200万というのは言葉にならないですね」と感慨深げな様子を見せた。
また松村は、先着300万人に配布される入場者プレゼントについて触れ、「皆さんが今手元に持たれている“新海誠本”が300万人限定ですので、いよいよ在庫切れが見えてきてますね」と切り出すと、原も「“新海誠本”はすごく濃い内容なので、皆さんに手に取ってもらいたいから、早めにたくさんの方に来ていただきたいです」とアピールした。
そして、イベントでは映画を見た観客からの感想が書かれたメッセージボードが登場。3人はじっくりと読みながら、それぞれ気になるメッセージをピックアップする場面も。松村は“エンドロールの時に、この映画を作ってくれてありがとうって本当に思った”という感想を見つけ、自分も同じことを思ったと共感していた。
また、映画の反響について聞かれると、原は「お世話になってきた先輩方や友達、そして普段アニメーションを見ない方にも『本当に面白かったし、もう一回見たくなる作品だった』と言ってもらえて、みんなにとってすごく特別な作品になっていってるんだなというのを肌で感じてうれしい瞬間でした」と松村は「客席を見渡してみると、いろんな世代や性別の方がいて、きっとほかの会場もそうなんじゃないかと思うんです。昨日と一昨日で神戸と大阪をキャンペーンで回らせてもらって、自分でも劇場に足を運んで感じたのは、いろんな世代でいろんな育ち方をしてきた方が映画を見終わった後にみんな同じような顔をされているんです。それが、何よりも言葉を超えた反響かなと感じています」と幅広い客層に愛されていることを実感していた。
話題は、先日行われた神戸と大阪でのキャンペーンについてにも及び、新海監督は「劇中の鈴芽と同じルートで行ったんですけど、新神戸駅にスタンディがあって3人で写真を撮りましたね」と振り返った。原は、「お客さんで、なかなか言いたいことが緊張して言い出せない小さいお子さんがいて、松村さんがすてきなフォローをされていたので、監督と一緒に『すてきだったね』と話してました」と言うと、松村は「それは、新海さんの紳士ぶりを受け継いで真似しようと思ったところが大きいです(笑)」と照れくさそうに語った。
また2人をオーディションで選んだことについて新海監督は「メディアの方に“原菜乃華、松村北斗、アニメーション声優初挑戦!”みたいに書かれることが多いんですけど、僕としては“初挑戦”が欲しかったんじゃなくて、2人が欲しかったんですよね」とコメント。「原さんと北斗君に鈴芽と草太をやってもらうことがこの映画にとって重要で。技術がうまいとか、芝居ができるっていうことは大事なことではあるんですけど、うまいだけじゃ面白い映画にならないんですよ。一緒に鈴芽や草太と同じように不安を抱えて『自分で良いんだろうか?』って悩みながら、映画をなんとか完成まで導いて、作り終わった後も一緒に届けてくれる。そういう人たちがこの2人なんだなというのをオーディションをして確信しました」と2人への信頼を言葉にした。
そんな中、実際にアフレコしたときの立ち位置で公開生アフレコを行うことに。松村は「一昨日の夜に突然台本が送られてきたので焦りましたよ!」と緊張した様子。アフレコを行うときはそれぞれ立ち位置が決まっているそうで、その理由を聞かれると松村は「同じ日にクランクインしてなんとなくお互いに直感で並んだんです」と回答。さらに松村が驚いたというのが、アフレコ期間中に解禁されたポスタービジュアルの鈴芽と草太の並びが同じだったということ。それに対し、新海監督は「もしかしたらそのイメージが僕の中であったのかな?」と明かした。
生アフレコしたのは、閉じ師である草太が扉からあるものが出てくるところを力を入れて止めていて、それを助けるために鈴芽が遠くから駆け込んでくるというシーン。2人の迫力のある生アフレコを聞いた客席からは大きな拍手が送られた。生アフレコの感想を聞かれると、松村は「これだけの方に見てもらうと全然上手にできませんね(笑)」と話し、原も「そうですね(笑)。どんな高さだったっけ?って分からなくなりますね」と照れながら語っていた。生アフレコを終えた2人に、新海監督は「とってもすてきでしたよ」と優しい言葉をかけていた。
イベント終盤では、メッセージボードに神木隆之介演じる芹澤についての感想が多いことに触れ、初めて共演したという原が「神木さんは本当にお優しくて、『君の名は。』が大好きです、とお伝えしました。緊張したんですけど、お芝居のアドバイスだったりすごくたくさん勉強させていただきましたし、好きなアニメーションの話とかも教えてもらったりしました(笑)」と振り返ると、新海監督は「神木君は結構重度なオタクだもんね(笑)」と続けた。
松村は先日、同じスタジオで偶然神木と会ったといい「忙しくてまだ本編は見に行けていないらしいんですけど、自分の芹澤のことを心配してました。『大丈夫かな…』って」と話すと、新海監督も「僕もこの間1人で居酒屋のカウンターで飲んでいたら神木君から『何してるんですか?』って連絡がきて、深夜だったので『この時間に1人なんですか?僕行きますよ!』って会いに来てくれて映画の話をしました」とお互いの交流を明かした。
最後のあいさつでは、松村が「映画『すずめの戸締まり』がこのスクリーンから皆さんの元へと旅立ちます。では行こう、すずめさん!」と草太の声で呼びかけると、続けて原がすずめの声で「行ってきます!」と元気よくイベントを締めくくった。
作品情報
「すずめの戸締まり」
全国東宝系にて公開中
声の出演:原菜乃華、松村北斗、深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、花澤香菜、神木隆之介、松本白鸚 ほか
原作・脚本・監督:新海誠
キャラクターデザイン:田中将賀
作画監督:土屋賢一
美術監督:丹治匠
音楽:RADWIMPS、陣内一真
製作:「すずめの戸締まり」製作委員会
製作プロデュース:STORY inc.
制作:コミックス・ウェーブ・フィルム
配給:東宝
©2022「すずめの戸締まり」製作委員会