吉田美月喜と常盤貴子が母娘役でダブル主演する映画「あつい胸さわぎ」の公開記念舞台あいさつがイオンシネマ板橋で行われ、主人公の千夏役の吉田、千夏の母・昭子役の常盤、千夏の幼なじみ・ター坊役の佐藤緋美、ター坊の母を演じ本作のプロデューサーを務めた石原理衣、まつむらしんご監督が登壇した。
本作の映画化について、まつむら監督は「演劇ユニット・iakuの『あつい胸さわぎ』という演目を鑑賞したとき、すごく衝撃を受けたんです。そのとき『あなたの人生はまだ大丈夫だよ。これからも不幸なことだらけじゃないよ』と、客席からどうしても(主人公の)千夏にエールを送りたくなってしまって。僕にできることは、それを映画にして表すことだと思い、これは絶対に映画にしようと決意しました」とコメント。
また常盤に出演オファーをする際、熱い手紙を送ったというまつむら監督。その理由を「舞台を見て真っ先に浮かんだのが、常盤貴子さんの顔だったんです。重く感じるテーマの中に絶対的な希望を描くためには、太陽のような温かい存在感を持った人が中心にいてほしいと思ったので、常盤さんへの熱烈な思いを(手紙に)書かせていただきました」と語った。
これに対し、常盤は「すごくありがたいお話でした。監督は、私が動くであろうポイントを押さえていらっしゃるんです(笑)。大林宣彦監督だったり、安藤紘平先生のお名前を出されていたり。そのお名前を出されると私は断ることができない! うんって言うしかないので(笑)、さすがだな~と思いました」と。
まつむら監督はオーディションで吉田を選んだ理由についても「会った瞬間に『あ、千夏がいた』と思えたんですよ。それと、天真らんまんな子供な部分と、自分の言葉で自分の人生を語れる大人の部分、どちらも持ち合わせた境界線にいて。大人と子供、どっちにも転がりそうなところにいる印象があり、そんな彼女の“今しかない一瞬”をこの物語の中で切り取りたいという思いがありました」と告白。
吉田は「オーディションをしたその日に『千夏をお願いします』と監督が伝えてくださって、『オーディション当日に受かるなんてドラマみたいなことがあるのか?』と実感がなく、撮影が始まるまでずっと、ドキドキそわそわしていました」と当時の心境を明かした。
さらに原作にはいないオリジナルキャラクター「ター坊家族」を描いた経緯は、「原作は家族の物語として完結している印象があったので、その外側、社会を広く描きたいと思って『ター坊家族』をつくりました。そして、千夏にエールを送りたいとか、この映画をつくりたいと思った僕自身のピュアな部分が、そのままター坊というキャラクターとして映画の中に入っているのかなと思います」と説明するまつむら監督。
そんなター坊を演じた佐藤は、自身の役柄について「ター坊は一番千夏に何でも言える人で、大事なときに勇気を与えられる人かな、と思っています」と分析した。
また「母と娘」を演じる上で意識したことを振り返り、「常盤さんが“身近な関西のおかん”でいてくださって、その声を聞いた途端に千夏のことをすっとイメージができたので、(クランクインの日に)撮影の最初を常盤さんとご一緒できたのはすごく大きかったと思います」という吉田に対し、すかさず常盤が「関西のおかんって!! 衝撃です(笑)」とツッコミつつ「でも、普段の私がそんな感じなんだろうなと思います(笑)」とにっこり。
一方で映画初主演となった吉田について「初めての主演作のファーストカットは、彼女にとってはもう二度と帰ってこない一瞬なわけじゃないですか。私、もっとちゃんと話し合いとかしとけばよかったって、本当に後悔してるんです。何がベテランだ! みたいな(笑)」といい、「これからはちゃんと向き合っていきたいと思います! 変わります!(笑)」と先輩俳優としての決意を新たにする場面も見られた。
佐藤が「短い間だったけどあったか~~い現場でした。常盤さんとは一瞬の共演だったのであまり特別な思い出はないんですけどー…」とおどけた表情で話すと、常盤からは「おい!」と劇中の昭子同様、テンポの良いツッコミが。
そんな常盤について、佐藤は「19歳くらいの頃にお会いして以来、久々に常盤さんとお話ができて、常盤さんから『大人になったね~』と声をかけてもらいました」と明かし、「美月喜ちゃんは同世代で、ちゃんと“仲間”でいられました。それと、監督は人をしっかり選ぶ方だなと思っていて、僕も人を見ているタイプなので、監督と一緒に作品をつくることができてよかったです」と共演者、監督の印象を語っていた。
さらに吉田が「撮影最終日に現場近くの市場を歩きながら『しらすが好きなんです』という話をしていたら、後日、家に大きな段ボールが届いたんです。開いたら常盤さんからで、しらすや干物をたくさん送ってくださったんです。撮影が終わった後もこんなふうに優しくしてくださる気持ち、『家族と食べてね』って家族のことまで考えてくださる気持ちがすごくうれしくて思い出に残っています」と常盤とのほっこりエピソードを披露し、「すみません、なんかすごい“おかん”っぽいエピソードですね(笑)」と笑う常盤の姿も。
最後に、まつむら監督は「18歳の女の子の青春の部分、親子の愛の部分、いろいろな愛の形が描かれている映画だと思います」とアピール。
常盤は「美月喜ちゃんが、『千夏が前を向いて頑張っていけたのは、千夏の周りの人が千夏を諦めなかったからだ』と言っていたのが印象的で、『そっか、この映画はそういうことだったのかもしれないな』って思ったんですね。すべての人にとって、その人との関係を諦めないことが、これからの私たちに必要なのかなと思っています。この作品は、そういうことを教えてくれる温かい映画だと思いますので、一人でも多くの方に見ていただきたいです」と。
吉田は「作品が完成して公開を迎えられたことがすごくうれしいですし、私は幼い頃、練馬のほうに住んでいまして、母との思い出の映画館がここ、イオンシネマ板橋なんです。なので、自分が映画を見ていた場所にこうやってこの作品で舞台あいさつに来ることができて、うれしい気持ちでいっぱいです」と喜びを語り、和やかな雰囲気で舞台あいさつは幕を閉じた。
作品情報
「あつい胸さわぎ」
新宿武蔵野館、全国のイオンシネマほか絶賛公開中
出演:吉田美月喜、常盤貴子
前田敦子、奥平大兼、三浦誠己、佐藤緋美、石原理衣 ほか
原作:戯曲『あつい胸さわぎ』横山拓也(iaku)
監督:まつむらしんご
脚本:髙橋泉
配給:イオンエンターテイメント/SDP
公式サイト:あつい胸さわぎ.jp
公式Instagram:https://www.instagram.com/atsuimunasawagi_movie/
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