内野聖陽が変わり者の春画研究者を熱演!北香那と異色の師弟コンビに「春画先生」10・13公開【コメントあり】

映画
2023年05月25日
「春画先生」左から)内野聖陽、北香那 ©2023「春画先生」製作委員会

主演・内野聖陽、ヒロインを北香那が務める映画「春画先生」が、10月13日(金)より全国公開。内野、北、塩田明彦監督よりコメントが到着した。

本作は「黄泉がえり」「どろろ」といったメジャー作品を手掛ける一方、「月光の囁き」「害虫」といった意欲作でファンをうならせてきた塩田明彦の原作・脚本・監督による異色コメディ。変わり者の研究者・芳賀一郎こと“春画先生”(内野)としっかり者の弟子・春野弓子(北)の姿を通して、“好きなものにのめり込んでいく者たちの喜びと情熱”、そして究極の“推し活”を描く。

春画とは、肉筆や木版画で描かれ、平安時代から始まり江戸時代の木版画技術の発達で全盛期を迎えた人間の性的な交わりを描いた画。当時は単に好色な男性のためのものではなく,身分を問わず多くの老若男女が愛好していた。その根底には明治時代以降、西洋のキリスト教文化が入る以前の日本人が持っていたとされる、性をおおらかに肯定する精神にあふれている。

鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国貞など、著名な浮世絵師のほとんどは春画も手がけており、超一流から三流まで多くの絵師、彫師、刷師たちが持てる全画力と全精力を注ぎ、とことん真面目に人の性を笑い、春画として表現。幕府から禁止された禁制品だからこそとどまることを知らぬ芸術の域に達し、庶民から大名までをとりこにした真のエンターテイメントだった。

長らく日本美術史のタブーとされつつも、世界に誇るべき江戸の文化の裏の華である春画の奥深い魅力を、春画先生が真面目におかしく教えてくれる本作。これまで春画は映画でもタブーとされ、性器部分の描写は映倫審査でボカシ加工が必要だったが、本作は劇場映画初のR15+で認証され、日本映画史上初、無修正で浮世絵春画がスクリーンに映し出されることとなる。

物語は、将来への夢もないまま無為な日々を過ごしていたウェイトレスの弓子の「私の人生にこの先、面白いことなど何ひとつ起こらないだろうと感じていたあの日…」というモノローグから始まる。

“あの日”、いつものように老舗喫茶店で働いていた弓子は、人目をはばからず春画をじっと見つめるシブい中年男性と出会う。男は突然、春画とは何かを弓子に説き出し、詳しく知りたければ訪ねてこいと去っていく。

男は芳賀一郎という高名な春画研究家で、妻に先立たれ世捨て人のように春画の研究に没頭していることから、”春画先生”と呼ばれていた。春画への興味と芳賀に一目ぼれしてしまった弓子は芳賀宅を訪ね、美と興奮のるつぼの春画講座を受け始める。

芳賀に導かれながら、いつしか愛の冒険に飛び込んでいく弓子。やがて芳賀が執筆する春画大全の編集者・辻村や芳賀の亡き妻・伊都の姉である一葉も登場し、波乱の予感が。春画研究家と弟子のコンビの物語が始まる。

主演の内野聖陽は“春画先生”を見事に怪演、新境地を開いた。高名な研究者でありながらも社会性があるとは言いがたく、好きなことに没頭するオタク的なこじらせ中年男性。春画を語り合う弓子という弟子ができたことで、春画大全の執筆への意欲を取り戻していく。癖のある性格がどこかかわいらしくほっとけない魅力を生み出してはいるものの、特異な性癖の持ち主でもある。

“春画先生”を演じることになった内野は今回、「性愛についての奥深さを感じさせるちょっと笑える、ほほ笑ましい『おとぎ話』のような感覚を持ちました」と本作の世界観に感銘を受けつつ、「春画先生という役は普通の人にはない距離感の人で、大きな喪失感を持ってますけど、とても愛すべき研究者だと思いました」と語った。

塩田監督も「なんといっても絶品なのは内野聖陽演じる春画先生。心に詰まった春画への思い、さらには愛する女性たちへの思いがいまにもはち切れそうで、気がつくと全身から不思議な震えと波動を発しているような人物を、えもいわれぬユーモアと、完璧といってもいい役作りで体現してくれました」と語っている。

そんな内野の熱演に対し決して物おじせず、圧巻とも言うべき演技で応えたのがヒロインの北香那。執筆へのエネルギーの元となる弓子は、一途でしっかり者の女性。芳賀への恋心に突っ走っていくその姿は、かれんですがすがしいながらもタフそのもの。滑稽な世界感を大真面目に熱演する師弟コンビの、振り切った演技に注目だ。内野、北、塩田監督のコメントは下記に掲載。

内野聖陽 コメント

初めて脚本を読んだとき、性愛についての奥深さを感じさせるちょっと笑える、
ほほ笑ましい「おとぎ話」のような感覚を持ちました。
春画先生という役は、普通の人にはない距離感の人で、
大きな喪失感を持ってますけど、とても愛すべき研究者だと思いました。
お相手の北香那さんは、とても真っすぐな気持ちのよい方です。
場のシチュエーションに対して、とても勘のいい方だなあといつも感心しておりました。
塩田さんのシナリオと演出は、少し現代にはな懐かしいにおいのするものでしたが、
北さんの演技はど直球で、胸を打つところがありました。とてもすてきな女優さんです。

北香那 コメント

脚本を読んで、まず最初に“弓子の役を何としても私が演じたい”と強く思いました。登場人物は皆、それぞれの幸せをつかむために真っすぐと向かっていくけれど、その姿がどこか異様でほほ笑ましく、じわじわとにじみ出てくるような魅力と面白さがあります。その中で、私が演じる弓子は私自身、完全に心を持っていかれるほど生命力や好奇心に満ちたピュアなキャラクターです。撮影前から本作で内野さんと共演させていただけることをとても楽しみにしていました。

内野さんの役作りの丁寧さを目の当たりにして、衝撃が走ったのと同時に、弓子として内野さん演じる先生を見た時に、その奥深さにどこまでも夢中になってしまうような吸引力と魅力に圧倒されました。私も負けじと内野さんに追いついて行こうと必死でしたが、それが幸せで、刺激的で、充実した日々だったとかみ締めています。

そんなたくさんの思いが詰まった、私の大好きな作品です。多くの方に届きますように。ご覧になった皆さまの反応がとても楽しみです。

塩田明彦監督 コメント

江戸時代、“笑い絵”とも呼ばれた春画の世界は、男性同士はもちろんのこと、致す前の男女、さらには女性同士までが顔つき合わせ、笑い、楽しむものでした。そうした日本の春画の知られざる美しさや艶やかさ、どこまでも陽気な人間賛歌とでもいうべき春画の魅力を少しでも多くの人々に知っていただきたい。その一心で、私たちはこの映画を作り上げました。笑って笑って、ちょっとエロくて、でもやっぱり笑ってしまう、そんな楽しい映画に仕上がったと自負しております。
なんといっても絶品なのは内野聖陽演じる春画先生。心に詰まった春画への思い、さらには愛する女性たちへの思いがいまにもはち切れそうで、気がつくと全身から不思議な震えと波動を発しているような人物を、えもいわれぬユーモアと、完璧といってもいい役作りで体現してくれました。
返す刀の北香那も、本当に胸を打つほど生き生きとして美しい。決して大きくはない体を思いっきり自由に動かして、その一挙手一投足こそが愛にほかならないような見事な演技を披露しています。
そうして完成した映画「春画先生」が、世界中の“人間”を愛する老若男女、戦争や差別を超えて“生きること”を愛する皆さまに届き、愛されることをいまはただ願ってやみません。

作品情報

映画「春画先生」
2023年10月13日(金)全国公開

出演:内野聖陽 北香那
原作・監督・脚本:塩田明彦
製作:『春画先生』製作委員会(カルチュア・エンタテインメント、TCエンタテインメント、ハピネットファントム・スタジオ)
企画・製作幹事:カルチュア・エンタテインメント 制作プロダクション:オフィス・シロウズ
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ

©2023「春画先生」製作委員会

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