映画「アイスクリームフィーバー」(7月14日(金)TOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほかにて全国ロードショー)の記者会見と完成披露試写会が6月20日(火)に開催され、吉岡里帆、モトーラ世理奈、詩羽(水曜日のカンパネラ)、松本まりか、千原徹也監督が登壇した。
原案は川上未映⼦の短編集「愛の夢とか」(講談社⽂庫)内収録の「アイスクリーム熱」。監督は、本作で初めてメガホンをとった千原徹也監督が務めている。主演で、アイスクリーム店のアルバイト・常⽥菜摘役は吉岡⾥帆。常連客の作家・橋本佐保役にはモトーラ世理奈。菜摘のアルバイトの後輩・桑島貴⼦役には⽔曜⽇のカンパネラのボーカル・詩⽻。そして、近所の銭湯に通う、仕事が⽣きがいの⾼嶋優役を松本まりかが演じる。
美大を卒業してデザイン会社に就職するもうまくいかず、いまはアイスクリーム店「SHIBUYA MILLION ICE CREAM」のバイト長として日々を送る常田菜摘(吉岡)。ある日、店にやってきた作家・橋本佐保(モトーラ)に運命的なものを感じ、その存在が頭から離れなくなっていく。バイト仲間で後輩の桑島貴子(詩羽)は、変わりゆく菜摘をどこか複雑な想いで見つめていて…。
一方、アイスクリーム店のご近所さんの高嶋優(松本)は、疎遠になっていた姉の高嶋愛(安達祐実)の娘・美和(南琴奈)が、何年も前に出ていった父親を捜すため、突然訪問してきて戸惑っていた。いきなり始まった共同生活。優の内心を占める不安はそれだけではなかった…。熱(フィーバー)に似た、心を捉えて離さない衝動。それぞれの色をまとった4人の想いは交錯し、切なくも確かに疾走していく。
公開を前に、記者会見と完成披露試写会に吉岡、モトーラ、詩羽、松本、千原監督が登壇。まず、記者会見で吉岡が「本日はお集まりいただきありがとうございます。『アイスクリームフィーバー』という映画がいよいよ公開間近となりました。皆さんの言葉のお力添えのほど、よろしくお願いいたします」とあいさつ。
続いて、松本が「この映画は作品自体もそうですが、制作過程において全てが規格外で破天荒なんです。でも、私はそれに本当に感動していて。監督がこの作品を立ち上げてからここに至るまでの過程にただただ驚いてきましたし、こんなにも大きな映画になってしまったなと。いわゆる普通や常識を打ち破ってできた作品なので、ぜひ楽しみにしていただきたいです」と本作のバックグラウンドを明かした。
本作は「映画制作をデザインする」と題し、千原監督のアートディレクターの視点から構築され、従来の映画製作のやり⽅にとらわれない⼿法で挑んだ意欲作。企画のきっかけについて、千原監督は「この映画をやろうと決めたのは2019年のお正月。その前の年に大きな仕事をやらせてもらい、ある意味、デザインを通して到達したいところに行けたなという感じがありまして。もともと子供の頃から映画を作りたかったので、これからは本当の夢に向かっていこうかと。それがスタートでした」と。
続けて「“映画制作をデザインする”に当たり、お金の集め方から作り方まで新しい方法でやっていけたらいいなと思っていたので、今までクライアントでお仕事をしていた皆さんに“一緒に面白いものを作らないか”と相談をさせてもらって。広告を作りながら映画も一緒に作っていくやり方で進めました。映画作る前から皆さんに関わってもらっていましたね」と明かした。
そんな“異例”ともいえる本作に出演することを決意した瞬間について、吉岡は「声をかけていただいたのが3年前ぐらいで、その瞬間に千原さんから新しいことを始めるワクワク感みたいなものを感じました。『映画をやろうと思っているので、出てください』と。本当にその一言だったので、“千原さん、映画撮るんだ”ということに初めはびっくりしたんですよね」と。
そう感じた理由として「映画を撮りたいという方にたくさん出会ってきているんですけれども、それを具現化することがどれだけ難しいのかを(感じていました)。特に今回はインディペンデント作品でしたが、千原さんはパワフルなエネルギーを持っていますし、関わる人たちみんなを大事にされてきたのを私自身も感じていたので、自然と『ぜひ!』というふうになって」と説明。
また、実際に出演して「面白かったです。新しいものを作る現場って、魔法みたいに自分が見たことのないものを日々見ることになるんだなと、そんな感覚になりました。出来上がった作品を見てそこで分かることもたくさんあったので、映画を見てくださった方がどう思ったのか、率直な感想を本当にいろんな人に教えていただきたいなと思っています」と語った。
続いて、モトーラも「私は千原さんと一緒にドラマを作っているときに『映画を作りたい』というお話を聞きました。原作は以前朗読をさせていただいたことがあって、あの『アイスクリーム熱』を千原監督が映画にするとどうなるんだろうと、そのときからずっと想像をしていました、そしていつ撮るんだろうとも…(笑)」と。
また「最初に脚本を読んだときに佐保がどんな人物なのかあまりよく分からなくて。千原さんにどんな人なのかを聞くこともありましたし、あとは実際に菜摘に会ってみないと佐保がどういう気持ちなのかが分からなかったので、現場の中で“こういう人なのかな”と想像していったり。そうして作っていきました」と振り返った。
詩羽は「⽔曜⽇のカンパネラというアーティスト活動する前に千原監督と初めてお会いしたんです。そこでごあいさつした際に『いつか面白いことができたらいいね』とふわっとした誘いをしてくださって。実際に音楽活動を始めたらお仕事をくださるようになったんですけど、そのときにこれまたゆるく『映画に出てよ』と言われたので、私も『出ます!待ってます』くらいのお答えをして(笑)」と千原監督との関係を紹介。
続けて「でも、本当に映画のお誘いがきて(出演者の)メンバーには“え…?”と(笑)。こんなにすごいメンバーが集まっている中にまさかの自分が立つことになるんですけど、千原さんがどんどんどんどん貴⼦に愛を注いでくださって、実際にこういった場に並ぶキャラクターにまでなって。ゆるいお誘いから始まった話ではありましたが、率直に『やります』と返事をして本当に良かったですし、現場入りするときには自分の中にも自然と(役への)愛が生まれていて、本当に楽しく演じることができました」と語った。
キャスト陣の中で、最後にオファーを受けたのが松本。「ある夜に監督から直接お電話をいただきまして。それが(千原監督が)カンヌ映画祭から帰ってきた飛行場からの電話だったんです。今カンヌに行ってきて、いろいろ見て、自分の中の常識だとか、そういうものを本当にぶち壊された。こういうことをやらなくちゃいけないんだと飛行機の中でずっと考えていたときに、まりかさんの顔が浮かんだ、ぜひこの役に協力してほしい、というふうに言われて、もう“やるな”と感じまして」。
そんな松本の出演の決定打となったのが「台本」だという。「前書きのように台本の最初にご自分の思いを書かれていたんです。紆余曲折あり感じた挫折と絶望感、そしてこういうことが必要なんだ、もう自分で全てをやるしかないという。その文を見たときに台本はまだ読んでいなかったんですけど、やりますとお答えをして。何の後ろ盾もなく、宣伝から脚本、監督、キャスト、スタッフさんを集めるところまで全てを千原監督がやったわけですが、今、こんなに多くの公開が決まって、広告も展開していて。情熱と信念でここまで作品というものが作れるんだということを目の当たりにしました」と。
さらに、「段取りもないので段取りだけは…と思うんですけど、あっ、私がとらわれている、ちゃんと芝居をしたいとかそういうことじゃないんだと。もっともっと自由な感性で、やっちゃったものが映画になっちゃった、というところでもういいんじゃないかと。(本作は)今までの常識を壊した先に生まれる何か、みたいなものの集まりのようです」と力強く語った。
最後に千原監督は「僕は(映画)初監督でド素人として現場に入ったので、皆さんの個性が本当に僕を助けてくれたなと思います」とキャスト陣を称賛。さらに、一同は完成披露試写会前の舞台あいさつにも登壇し、観客を前に映画の魅力をアピールした。
作品情報
映画「アイスクリームフィーバー」
2023年7月14日(金)TOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほかにて全国ロードショー
<出演>
吉岡里帆
モトーラ世理奈、詩羽(水曜日のカンパネラ)
安達祐実、南琴奈、後藤淳平(ジャルジャル)、はっとり(マカロニえんぴつ)、コムアイ
新井郁、もも(チャラン・ポ・ランタン)、藤原麻里菜、ナツ・サマー
MEGUMI、片桐はいり/松本まりか
監督:千原徹也
原案:川上未映子「アイスクリーム熱」(『愛の夢とか』講談社文庫)
主題歌:吉澤嘉代子「氷菓子」
脚本:清水匡 音楽:田中知之
エグゼクティブプロデューサー:千原徹也、山本正典、木滝和幸
プロデューサー:勝俣円、塚原元彦
宣伝プロデューサー:小口心平
撮影:今城純
制作:れもんらいふ
制作協力:DASH doors
配給:パルコ
公式サイト:https://icecreamfever-movie.com/
公式SNS:@icecreamfever_m
©2023「アイスクリームフィーバー」製作委員会