映画「BAD LANDS バッド・ランズ」の完成披露試写会が8月24日(木)に開催され、安藤サクラ、山田涼介(Hey! Say! JUMP)、宇崎竜童、生瀬勝久、吉原光夫、天童よしみ、サリngROCK、原田眞人監督が登壇した。
第151回直木賞を受賞した「破門」や、「後妻業」などで人間を突き動かす欲望を描いてきた作家・黒川博行による重厚な傑作小説「勁草」(読み方:けいそう)を、「検察側の罪人」や「関ケ原」など数々の話題作を手掛けてきた名匠・原田眞人監督が映画化した本作。
主演は、「ある男」で第46回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞した安藤サクラ。原田監督作品は本作で初参加となる安藤が、本作では特殊詐欺を生業とする橋岡煉梨(ネリ)を怪演。そして、ネリの弟・矢代穣(ジョー)役には、「燃えよ剣」以来2度目の原田監督作品の参加となる山田涼介。満を持して、安藤との初共演を果たす。
さらに宇崎竜童、生瀬勝久、吉原光夫、江口のりこ、天童よしみ、大場泰正、淵上泰史、サリngROCKらも共演。日本映画界を牽引するキャストとスタッフが贈る、予測不可能なクライムサスペンスエンターテインメントとなっている。
そんな本作の完成披露試写会で、上映後の舞台あいさつに安藤、山田、宇崎、生瀬、吉原、天童、サリngROCK、原田監督が登壇。まず、安藤が「今日は1日ずっと山ちゃん(山田)と取材にお応えしてきて、インタビューを受ければ受けるほど、なんてすてきな現場だったんだろうとかみ締めています。今、先輩方と再会しまして、こんなに大勢の皆様と共に今日を迎えられることがすごくうれしいなと、心から感じております。原田監督、すてきな作品に出逢わせていただきまして本当にありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします」とあいさつ。
続けて、山田も「原田監督とご一緒できたのが2度目ということでうれしく思っていますし、本当に毎日が刺激的な日々でした。安藤さんをはじめ、すてきなキャストの皆さんと一緒にお芝居をできたことが、これからの僕の力になるなと思っております。たくさんの方々にこの映画を見ていただきたいです」と。
いっぽう、宇崎は「毎日がとても幸せなロケーションでした。安藤さんは元気が良くて、その元気をいつもいただいて。山田くんからも元気をいただいておりました。ただ、一つだけ山田くんに。2人で走るシーンがあったのですが、ものすごく速くて…年寄りに対しての忖度が全くありません(山田「すみませんでした!」)。でもすごく楽しく撮影をやり終えました(笑)。皆さんもお友達やご家族に感想を伝えてください」と笑顔で呼びかけた。
さらに、生瀬は「ずっと琵琶湖のほとりで撮影をしていたんです。合間にいろんな美味しいものを食べて。もし知りたかったら後でお答えします(笑)」、吉原は「熱い、泥臭い作品になっていると思います。また見に来てください」、天童は「自分で言うのもなんですが、可愛いイメージの私をとんでもない悪役に…か細い体がキューっと締まってしまうぐらい緊張しました」、サリngROCKは「普段は関西の劇場で、コンビで演劇をやっているのですが、こんなところに出させてもらう人生になるなんて。めちゃめちゃびっくりしています」と思い思いに語っていく。
そんなキャスト陣、そして会場を見た原田監督は「ステージに上がってきたら“これうちのキャスト…?”というぐらいみんなイメージが違ったので、やはり役者だなと。一番うれしいのは、マスクがほとんどない観客を前に完成披露をさせていただけていること。これは感無量です。皆さんも一緒になって応援していただけたらと思います」と感謝を伝えた。
ついに完成披露の日を迎え、安藤は「皆さんにご覧いただいたことによってより一層、もっともっと多くの皆さんに見ていただきたいなと言う気持ちが湧き上がっています」と素直な心境を明かす。山田も「本当にようやく皆さまにお届けできる日が来たんだなと思います。ものすごく寒い時期に撮影していたので、自分としては今の時期に公開されるのが不思議な感覚です。この作品は闇の世界の住人たちの話ではありますが、その人たちなりの考えだったり生き方があって。肯定するわけではないですけれど、こういう生き方でしか生きられないんだというのを出演してすごく感じました」と振り返った。
また、自身が演じた役柄について問われると、安藤は「ネリは主人公ではあるけれど、印象を消す人。だけど見終わった後、どこかに存在が残るような役にできたらいいなと思いながら現場に入りました。監督が、すごく緻密に描かれているこの世界と役柄を、現場で私自身の要素とすごく軽やかにつなげてくださって。難しいなと思いながらも楽しい現場になりました」と。
山田は「ポスターのジョーの険しい顔を見るとクールなやつかなと思うんですけど、僕はただのアホなやつだと思っていて。クールに演じてしまうとつまらないやつという印象になってしまうなと思ったので、どこか憎めない、愛くるしい弟像みたいなものがうまく出せないかなと。四苦八苦しつつ、安藤さんに引っ張っていただきながら演じました」。
宇崎は「ちょっとまだらボケが始まっている老人の役でしたが、私は監督から、もしせりふが出てこなくても“ごめんなさいって言わないでね”と言われていたのに、毎回『ごめんなさい』と言ってビデオを止めておりました(笑)。ただ、毎日がすごく幸せでした。関西弁には節があるので、それを楽しみながら、歌を覚えるようにせりふを言っていましたね」と。
生瀬は「2年前に顔合わせと読み合わせ、ちょっとしたリハーサルがあったんです。原田監督作品に参加するのは初めてですし、安藤さんともほとんど初めましてで緊張していたんですけど、読み合わせで監督から非常に厳しくかまされて、“えらいとこきたな…”と。しかも、その休憩時間に安藤さんが奇声を発したんです。安藤さん、もう終わったんだなと思いました(笑)。後から聞くと、発声をしたりリラックスをするためにやっていたそうなんですけど、今から声出しますって言えよ!と(笑)。でも、こんなにかっこいい作品に出れたことを幸せに思います」と貴重なエピソードを披露。
吉原は「関西人の刑事役なので、そこをクリアしなければと思い、無駄にその地区によく行きましたね。歩いて、泊まって。それが役作りになりました。ちょっと危ないこともあったんですけど、持ち前の威圧感でなんとかなりました(笑)」、天童は「私は和歌山県で生まれて大阪の八尾育ちなので、会話をするときにものすごく早口になるんです。でも、早口とテンポというのは全然違って。しっかりはっきりと伝える大阪弁はすごく勉強になりました」。サリngROCKも「ヤクザのボスなのでめちゃめちゃ怖くしないとと、工夫をしていたんですけど、監督に『普段の感じでいいから』と言われました(笑)。でもとにかく監督に言われたことは全部やろうと思って、頑張りました」と語った。
また、本作でネリ&ジョーの姉弟を演じた安藤と山田。安藤は「山田くんとご一緒できる、しかもバディで、この作品でと聞いた時、すごく楽しみになりまして。きっと自分も知らない、自分のお芝居に出会えるんじゃないかなという期待を持って共演に挑みました。そうしたら、まあなんとジョーの魅力的なことでしょう」と明かす。
一方の山田も「安藤サクラさんと一緒にお芝居ができる現場、そんな楽しい現場はないだろうと第一に思いました。簡単な言葉で言うと“超良い人”なんです。変に飾ることもなく自分のペースがあって、原田監督も安藤さんといると安藤さんの空気になるほど、安藤さんワールドがあるんですよ。原田監督は自由にやらせてくださるので、本当に楽しかったです」と。そんな山田の言葉を受けて、安藤も「楽しかったね」とうなずいた。
さらに、作品に関して“天国/地獄な瞬間”を問われると、安藤は撮影期間に大雪に見舞われたことを挙げ、「現場にもなかなかたどり着けないし、大変なことが多かったんですけど、こんな大雪は見る機会がないな、この景色の中で撮影ができないのはすごく悔しいなと思って。でも、それをもったいないと言っていたら、“撮ろうか”となって。そのとき撮影したシーンが新たに増えたと思うとすてきだなって。地獄であり、天国でもあったと思います」と。
また、山田は「(自身が出演した)『燃えよ剣』で使っていた池田屋のセットで『なんか懐かしい感じがする』と言えた時は、監督の遊び心と愛をすごく感じて。僕はあのせりふをあの場で言えたことがすごくうれしくて、天国だなと思いました」と明かした。
最後に、安藤が「私にとって、この役、この作品は久しぶりに心が震える出会いでした。そうそうない心、全身が震える感じ。近くで見ても作品を見ても、山田涼介とジョーの出会いは映画の歴史に残る出会いだったんじゃないかなと思ったり。原田監督が描くいろんな味わいがあるエンターテインメントをたくさんの方に見てもらいたいなという気持ちがあります。なにより、ここにいる皆さんが演じた役柄の生きざまを、より多くの方に届けたいなと思っております。よろしくお願いいたします」とあいさつをし、イベントを締めくくった。
作品情報
「BAD LANDS バッド・ランズ」
2023年9月29日(金)全国ロードショー
出演:安藤サクラ 山田涼介
生瀬勝久 吉原光夫 大場泰正 淵上泰史 縄田カノン 前田航基
鴨鈴女 山村憲之介 田原靖子 山田蟲男 伊藤公一 福重友 齋賀正和 杉林健生 永島知洋
サリngROCK 天童よしみ / 江口のりこ / 宇崎竜童
監督・脚本・プロデュース:原田眞人
原作:黒川博行『勁草』(徳間文庫刊)
音楽:土屋玲子
配給:東映/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
映画公式HP:https://bad-lands-movie.jp/
映画公式Twitter:@bad_lands_movie
映画公式Instagram:@bad_lands_movie
©2023「BAD LANDS」製作委員会