映画「法廷遊戯」(11月10日(金)公開)の特別授業イベントが10月26日(木)に開催され、深川栄洋監督、原作者の五十嵐律人、専修大学法学部の関正晴教授が登壇、そして主演の永瀬廉(King & Prince)がサプライズ登場した。
原作は五⼗嵐律⼈が第62回メフィスト賞を満場一致で受賞後、現役司法修習生時代に刊行し、「ミステリが読みたい!」2021年版新⼈賞受賞など、ミステリー界の新星として話題となった本格法廷ミステリー小説「法廷遊戯」。「神様のカルテ」「白夜行」の深川栄洋が監督を務め、「総理の夫」『流星ワゴン』の松田沙也が脚本を担当する。
ロースクールに通い、法曹の道を目指す主人公の「セイギ」こと久我清義役を、俳優としても活躍の幅を広げるKing & Princeの永瀬廉、セイギの幼なじみで同じく法律を学ぶ織本美鈴役を杉咲花、「無辜(むこ)ゲーム」と呼ばれる模擬裁判をつかさどる天才、結城馨役を北村匠海が演じる。
裁判ゲームで実際に起こった殺人事件をきっかけに暴かれていく、3人の仮面の裏に隠された真実。二転三転、四転五転する新たな事実、そして最も神聖な場のひとつである“法廷”で待つ、常識を覆す驚がくの結末とは。ノンストップ・トライアングル・ミステリーが今、開廷する。
このたび、映画「法廷遊戯」専修大学特別講義内でティーチインイベントが開催された。校内の「法廷教室」で深川栄洋監督、原作者・五十嵐律人、関正晴教授が登壇する中、観客として出席した学生の前にサプライズで登場した永瀬。歓声を浴びながら裁判長の席に着席すると、司会から「似合いますね!」と絶賛され、「ここの場所に座るのは緊張しますけども… 似合っているということで助かります。(撮影では)こっち側はなかったので、ほんまに全部を見渡せるこの席というのは特別な感覚がありますよね」と笑顔を見せた。
続けて、撮影を振り返り「ちょうど1年前のこの時期で、頑張っていましたねその頃は」としみじみ。「実際に少しだけロースクール生の時代も演じさせていただいて、弁護士になるために並々ならぬ努力をしないと、ということを作品を通して学んだので、皆さんもそういう思いをされていると思うと、少しだけですけどその気持ちが分かるというか。すごく親近感が湧いてます」と。
また、撮影で意識していたことを問われると「シンプルにせりふがめちゃめちゃ難しいので、ごっちゃにならないように、プラスかまないようにってことですかね。こういった法廷のシーンはピリッとした空気感が流れているので、そのプレッシャーを少々感じながら演じていました。そして、セイギが感じたものをどこまで表情やしぐさに出していくのかというのは、本当に監督といっぱい話し合いながらバランスを調整していきました」と語った。
そんな永瀬について、司会から「いい弁護士なれそうですか?」と問われた関教授は「訓練を積んでいけば、なれると思います」とにっこり。永瀬は「えげつないですよ、今からは…!(笑)でも、役作りの一環として人生で初めて裁判の傍聴にも行かせていただいたんですけど、そこで感じた空気感は作品でも出せたんじゃないかなと思います。この作品に携わってなかったら人生で傍聴に行くこともなかったと思うので、僕自身も新しい経験をさせてもらったことが多いなと感じます」と振り返った。
また「無辜ゲーム」を題材とした本作にちなみ、学生たちが実際に体験したことがある裁判に関するゲームを発表するひと幕も。「おとぎ話の『ヘンゼルとグレーテル』を題材に、魔女を殺したことを立証できるのかという模擬裁判をしたことがあります」と紹介されると、「これ裁判長、どうしましょう?」と永瀬は判決を迫られることに。考え込んだ末、「『ヘンゼルとグレーテル』をそこまで知らないんですけど… 殺すのはよくないですね。有罪で」と判決を下した。
学生と質疑応答では、「劇中で美鈴が法律を勉強していましたが、法律を勉強している女性にどのような印象を持っていますか?」という質問が。永瀬ははにかみつつ「ほかの学生の何倍も勉強をして知識をつけていかないといけないと思うので、ある意味過酷な状況でも耐えられる忍耐力があって、強い女性が多いのかなというふうに思います」と。
「法律に関する作品で演じていて大変だったことは」という質問には「いや〜大変でしたよ。『第13条』といったような数字もありますし、発音とかも含め、弁護士の役をやらせていただいているのでスラスラと言わないといけなくて。一回、法廷のシーンでかんでしまったことがあって、そのときは長回しだったというのもあって申し訳ないなという思いを抱えながら2回目をやったんですよ。そうしたら2回はもっとかんで…。1回そういうスイッチが入ってしまうとなかなか取り戻しづらい空気感だったのは大変でした」と明かした。
深川監督も「常に一つじゃなくて二つ三つを同時進行に、表情や感情の表現を体の向きや声色で表現しなければいけなくて、(流れがあるため)それを自由にやらせてあげられなかったんです。『気持ちよくしゃべっちゃいけない』ということを伝えながら、ここは一つ息遣いを乱していこうかとか、すごく細かいことを注文されながら演じていたので、これはかむよなと思いながら…(笑)。『頑張って』としか言えないような感じで」と。
そんな話を受け、永瀬は「そういった難しい部分があるから、より“じゃあ頑張るぜ”と、前向きな気持ちになってやっていました」と振り返り、そんなセイギの姿について五十嵐は「“なりたての頃の弁護士”ということもあり、専門家だけどまだまだ分からないところがあるという役でしたが、その頃の不安みたいなものや悩んでいる姿、法律家であっても完璧でないところをうまく表現されていて。すてきだなと思っていました」と絶賛した。
さらに、主題歌「愛し生きること」の好きな歌詞を問われた永瀬は「綺麗な嘘で抱きしめるから」をチョイス。「この楽曲はこの映画のために作られたもので、本当にバシッとはまったなという感覚があって。中でもこの部分はセイギの2人(美鈴、馨)に対する思いに通ずるところがあるなと思っていて。この『愛し生きること』という楽曲の中で好きなところです。どこかこの歌に救われた自分もおるというか」と語った。
最後に、関教授は「学生たちは刑事裁判のかなり本物に近いものを映像で見ることができましたので、これをきっかけに民事裁判、刑事裁判、それから法律にもっと関心を持って勉学を深めてもらえたらと思います」と学生にメッセージを。深川監督は「法律というものがタイトルも含めて前に出てくるんですけど、その法律では解決できない、こぼれ落ちてしまうものがあって。それが一体何なのかということが、この映画を見終わったときに何か残るといいなと思っています。それは人間であり感情であり尊厳であり…そういったもののために法律を大事にしなくてはいけないんだということが浮かび上がってくるといいなと思います」。
五十嵐は「原作を書いたときに思っていたのは、やっぱり黒と白の間にある灰色を描きたいなと。正解は特にない映画であり原作となっています。なので、自分の中に残るものがあって、それを考えていただけたらうれしいなと思っています」と。
そして、永瀬は「それぞれ自分の中の正義があると思いますが、その正義感、信念を突き通すことの苦しさやつらさ、難しさというものも含めて、この映画はしっかりと描いています。あまり法律が近い存在でない方にも物語の部分で楽しんでいただけますし、この映画をきっかけに法律に興味を持ってくださる方もいるんじゃないかな。余白を残して、見てくださった方に考えていただくところも多々ありますので、感想を話し合ってもらって、それぞれの意見を交換しあったら面白いのかなとも思います。ぜひ皆さん、お友達と一緒に広めていただけると幸いです」と語り、イベントを締めくくった。
作品情報
「法廷遊戯」
2023年11月10日(金)全国公開
出演:永瀬廉、杉咲花、北村匠海
戸塚純貴、黒沢あすか、倉野章子、やべけんじ、タモト清嵐
/柄本明、生瀬勝久/筒井道隆、大森南朋
原作:五十嵐律人「法廷遊戯」(講談社文庫)
監督:深川栄洋
脚本:松田沙也
音楽:安川午朗
プロデューサー:橋本恵一、本郷達也
主題歌:King & Prince「愛し生きること」(UNIVERSAL MUSIC)
制作:MMJ
製作幹事:東映
配給:東映
公式HP:https://houteiyugi-movie.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/houteiyugi_mv
公式Instagram:https://www.instagram.com/houteiyugi_mv/
©五十嵐律人/講談社 ©2023「法廷遊戯」製作委員会作品情報