映画「怪物の木こり」(12月1日(金)公開)の完成報告会が10月31日(火)に開催され、亀梨和也、菜々緒、吉岡里帆、染谷将太、三池崇史監督が登壇した。
原作は、2019年・第17回「このミステリーがすごい!大賞」を受賞した同名小説(倉井眉介/宝島社文庫)だ。凶器の斧で脳を奪い去る連続猟奇殺人事件が発生。次のターゲットとして狙われたのは、弁護士・二宮彰。しかし二宮は、犯人をも上回る狂気のサイコパスだった。
犯人を追う警察と、返り討ちを狙う二宮。追う者と追われる者がどんどん入れ替わっていく先読み不可能なストーリー、その驚がくの結末とは。ぶっ飛んだ設定と意表を突く展開が連続する衝撃作を“超刺激サスペンス”として映画化する。
監督を務めるのは、世界中に熱狂的ファンを持つ鬼才・三池崇史。そして、目的のためには手段を選ばず、殺人すらいとわない狂気のサイコパス弁護士・二宮彰を亀梨和也が演じる。
この度開催された完成報告会に亀梨、菜々緒、吉岡里帆、染谷将太、三池崇史監督が登壇。まず、亀梨が「ハッピーハロウィン。皆さまにいろいろなものを共有していただき、発信していただけることを願っています。今日はどうぞよろしくお願いいたします」とあいさつ。
一同はさっそく、同日にジャパンプレミアを控え、ついに日本で初お披露目を迎えようとしている本作の仕上がりについて語っていく。三池監督は「本作はサイコパスとシリアルキラーの対決という形の作品ですが、自分としては近い将来、皆さんがそれに立ち向かわなきゃいけないという事態におそらくなるだろう、そういうふうに思っています。サイコサスペンスやバイオレンスという枠を超えた、近い将来の人間が体験することだと思っている作品、自分としてはちゃんと作れたなと。皆さんにもそれを感じていただければ」と。
亀梨は「本当にメッセージが深いというか、どのように受けとるか、どのように見るかによって表情を変えてくれる映画に監督が仕上げてくださったなと。なので、見終わった後に話していただけると、いろんな解釈が生まれる作品になったと思います。僕らの時代は、時に血の通っていないものであったり、体温が感じられないものも含めて読み取りながら、その世界の中での立ち位置や思考を構築していかなければならなくて。そういったところで本当の自分、人のぬくもりってなんだろうなと、考えさせられる映画だなと感じています。表面的にとても強い“サイコパス”“連続殺人鬼”“怪物”というワードの奥にあるものをキャッチしていただけたらうれしいなと思います」と語った。
菜々緒も「怪物のビジュアルやサイコパス、サスペンスの要素から気負いする方も多分たくさんいらっしゃると思うんですけど、人間ってなんだろうとか、自分の育った環境によってどんなものにでもなれるんだ、というのをすごく感じる作品でもあるので、議論していただけるような仕上がりになっていると思いますし、いろんな目線から見ていただけると思います」と。
吉岡は「本作は本当に裏切りが多い作品だなと思っています。何度も何度も裏切られて、出尽くしていそうなのにこんなに新しい映画ができるんだということに私も驚いたので、ぜひそれを体感していただきたいです。そして、今日はハロウィンですが、いろんな仮装をして楽しんでいらっしゃる方がいると思うんですけど、人間なんて普通に生きているだけでみんな心に仮装をしている…という、そんなことにもはっと気づくような。今日に本当にぴったりだなと思います」と。
そして、染谷は「サスペンスとしてもハラハラドキドキして見て、その後にまさかの感動が来るという。自分もそこにはすごくびっくりしたというか…切ないですよね。まさかサイコパスに泣かされるとは、と本当にグッときちゃって。サイコパスという切り口で描いている人間ドラマでもあると思っているので、いろんな楽しみ方ができる映画だと思います」と太鼓判を押した。
また、二宮にちなみ“サイコパス”に関するトークも。三池監督は「割と身近にいらっしゃって、先生によると少なくとも100人に1人いる」と解説。すると、亀梨は「芸能界の方たちって、基本そうということですよね…? 何かを言ってみんなが理解してくれるだけなら、言ってしまえば誰でもいいわけじゃないですか。でも、“ん?”と思ったものをちょっと時間が経って“それめちゃくちゃいい”と共感させるわけで…ということはみんなサイコパスでよろしいでしょうか(笑)?」とニヤリ。
「この中で一番のサイコパスは?」と質問されると、菜々緒は亀梨を選び「私の役にはサイコパスを特徴づけたせりふがあるんですけど、全部当てはまる(笑)」と。すかさず亀梨は「ぜひ皆さん劇場でご覧ください」とアピールし、菜々緒は「二宮のことを言っているせりふですが、ちょっと亀梨さんにも当てはまるなって思いながら言っていました」と明かした。
一方、亀梨は染谷を選び「僕は願望も乗っかっていて…そうであってほしいなって。あれだけご自身の空気感やリズムを持ちながらちゃんと染まっていて、あの感じでいるのに、残された形が本当にくっきりと残るというか。うらやましいですね…!」と絶賛。
三池監督を選んだ吉岡は「監督がサイコパスでないと、こんなにもサイコパスを魅力的に描くことはできないはずだと思っています。歴代の作品を見ていても、そういう要素や人たちを愛していて、むしろそういった部分がないと…。だって皆さん、二宮を絶対に嫌いになれないですもん。“これは悪だ”と言えないところまでキャラクターを作り上げてしまっているんです」。
染谷も「こんな面白い映画を作れるってサイコパスですよね」とつぶやく。「本当にたくさんの人を動かしますし、それをやれるということで、良い形で出ている“映画サイコパス”です」と。そんな話を受けて、三池は「結局、みんなサイコパスっていうこと(笑)。ここに集まっていただいた皆さんにもそういう面があるし、誰のところにも共感能力を持たない部分が眠っているんだと思うんです。ただ、ずっと穏やかに、集団でうまく生きていくために忘れ、しまい込んでいる。今のような世界になっていないと生き残れないのでね」と。
続けて「実際は、何かが起こったときにそういった一面が覚醒するようなシームレスな感じであって、特別な悪魔がいるわけではない。みんなの心の中にきっかけがあって、それが(サイコパスに)つながっていくのだと思います。この作品も多分どこかに共感してもらえるし、それはサイコパス的何かを持っているから共感できるんですよね。そのように見てもらえるとうれしいなと思います」と伝えた。
最後に、亀梨が「今日は初めて日本のお客さんに見ていただけるということで、非常にワクワクしています。感じ取っていただいたものを、良くも悪くもいろいろとお話してもらえる作品になっていると思います。そういったところでさまざまな角度から楽しんでいただけたらうれしいなと。公開に向けて自分自身もこのチームとしてたくさんの方に届くように時間を過ごしたいと思います」とあいさつし、イベントを締めくくった。
作品情報
「怪物の木こり」
2023年12月1日(金)劇場公開
出演:亀梨和也、菜々緒、吉岡里帆、柚希礼音、みのすけ、堀部圭亮、渋川清彦、染谷将太、中村獅童
原作:倉井眉介「怪物の木こり」(宝島社文庫)
監督:三池崇史
脚本:小岩井宏悦
音楽:遠藤浩二
主題歌:SEKAI NO OWARI「深海魚」(ユニバーサル ミュージック)
製作・配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:kaibutsunokikori.jp
公式Twitter:@kaibutsukikori
©2023「怪物の木こり」製作委員会