MISIA、Rockon Social Clubらが出演!新たなフェス「PEACEFUL PARK」が刻んだ大切な一歩【ライブレポート】

音楽
2023年08月07日
MISIA

8月4日(金)〜6日(日)に「PEACEFUL PARK -Charity for Happy Inclusion 2023-」が、河口湖ステラシアターにて開催。インクルーシブな社会の実現を目指し、平和へのメッセージを発信する、音楽を中心とした複合イベントだ。MISIA、男闘呼組、Rockon Social Club、Little Black Dressなどが出演した本イベントより、8月5日(土)の模様を捉えたオフィシャルレポートを以下に掲載する。

<ライブレポート>

フェス真っ盛りの季節に、音楽を中心とした注目すべき複合イベントが産声をあげた。音楽やアート、食を通じて互いのことや社会のこと、世界のことをともに学び、語り合い、平和へのメッセージを紡ぐ、それが「PEACEFUL PARK」だ。

MISIA、男闘呼組、Rockon Social Club、Little Black Dressなど多彩な顔ぶれのアーティストと3日間合計7000人の観客が集結したこのフェス。自然豊かな河口湖ステラシアターを舞台に、まず出迎えてくれるのが、明石家さんまのハッピーな笑顔が炸裂したモニュメント「生きてるだけでまるもうけベル」だ。大笑いしたように、大きく開けた口の中に鐘があり、それを鳴らすと幸福になれる!? という縁起もの。訪れた多くの人が鳴らすベルの音が人々の心や木々の間、高い空に溶けていく。

「PEACEFUL PARK 2023」

目を移せば「PEACEFUL TABLE」と題された屋外レストランがオープンしている。有名シェフ監修の元、地域の食材を使った食のプロジェクトで、来場者がひとつのテーブルに集って楽しく語り合う幸せな空間が広がっていた。

さらに「PEACEFUL SCHOLARSHIP」という、子どもや若者たちへ新たな学びの機会や違いを楽しむ経験を提供するためのプロジェクトが多くの人の共感を得ていた。ロゴをあしらったドネーションボックスの設置や売上の一部をスカラシップの活動に充てるチャリティグッズの販売など、我々の行動がダイレクトに未来の子どもたちの笑顔につながっていることが実感できる取り組みであり、この「PEACEFUL PARK」を特徴づける根幹の部分だと感じられた。

さて――。いよいよ開演が近づいている。本稿では3日間繰り広げられたライヴの2日目、2500人のオーディエンスが大いに盛り上がった8月5日(土)の模様をレポートする。

QUMANOMI

オープニングアクトで登場したのは、4人組ヴォーカルグループのQUMANOMI。「PEACEFUL PARK」のメッセージが詰まったキャッチコピーに、独自のメロディをつけてアカペラで披露。その後、オリジナルの「あとどれだけ」をパフォーマンスして会場を沸かせた。

オープニングアクトの後の本編トップバッターは、Little Black Dress。ドラムのカウントから歯切れの良いギターカッティングが響くと、オーディエンスから自然とクラップが打ち鳴らされる。1曲目はすでにライヴで披露されて話題となっている「リスキードライブ」。Ryo(Vo&Gt)とMoe(Gt)のステージングは一挙手一投足が美しく、観る者、聴く者を一瞬で虜にする魅力がある。

Little Black Dress

最後に披露したのは「シティポップメドレー」。松原みき「真夜中のドア〜stay with me」、大橋純子「シンプル・ラヴ」、アン・ルイス「恋のブギ・ウギ・トレイン」と3曲をミックス。時代と世代を超えた、音楽の魅力を存分に見せつけたステージだった。

転換中には、ステージ正面のビジョンに“メッセージのリレー”とも呼ぶべきプログラムが映し出された。「PEACEFUL PARK」のキャッチコピーに、テレビなどで活躍する芸人さんや一般の方まで、各々が自由にメロディをつけてアカペラで歌ったり、バンドや打ち込みで演奏したり、朗読したりと、自由な表現でバトンを渡していった。同じ言葉でも人によってこれほど違う表現になるということが、人間の多様性と、だからこそひとつに重なり合うことができるのだということを示していた。

ステージ上では機材トラブルが発生し、スタッフの動きが慌しくなる。そんななか悠然と現れたのは清水ミチコ。「こんなとき使いやすいのが清水ミチコですよ。お任せください!」と言って、オーディエンスの笑いを誘う。「いろいろなトラブルがあっても必ずなんとかできるという人間の力、これをこのステージで見せていこうではありませんか!」

清水ミチコ

実は元ちとせの出演が予定されていたのだが、台風の影響で飛行機が飛ぶことができず、やむなく出演キャンセルとなってしまったという経緯が一方ではあった。しかしこれも――。「安心してください。元ちとせさんに引けを取らない大物アーティストの皆さんを私のなかに呼び込んでありますから」と言って、大きな拍手と歓声に包まれる。桃井かおり、ユーミン、大竹しのぶといった大物が同フェスのキャッチコピーを朗読。さらに「100年使える声の歌」など、ひとりフェス状態で会場を大いに盛り上げた。

ハードなサウンドに乗せてステージに登場したのは、男闘呼組のメンバーを中心に結成されたRockon Social Club。1曲目は、7月21日に配信リリースされた新曲「ザ・ファイター」。ホーン隊が加わった演奏は煌びやかで、ファンク的なハネるビートが新鮮なロックナンバーだ。「50代の新人バンドです、よろしく!」(高橋和也・Ba)

この後の男闘呼組カバー曲でも、成田昭次(Gt)と岡本健一(Gt)のハーモニーに引き込まれる「自分勝手」、高橋和也のスラップベースと前田耕陽のキーボードが絡み合う「PARTY」など、各プレイヤーの個性がバチバチにぶつかりひとつのサウンドになっていく。

Rockon Social Club

「BACK IN THE CITY」では、ソロを各パートで1小節ずつまわしていくと、青山英樹のドラムソロへ。高速ダブルペダルの轟音に熱狂が加速していく。ドラムソロ明け、カウントもなくサビから演奏が同時に始まる。曲終わり、岡本と高橋が言葉を交わしハイタッチをしている姿が印象的だった。

「目で見ちゃだめさ」の演奏中には、それまで分厚い雲に隠れていた富士山がその姿を現した。ものすごい光景に思わず身体を揺らしながら指を差すオーディエンスの姿も。未来の子どもたちへ向けたメッセージソング「遙か未来の君へ」の曲間で、高橋がこう呼び掛けた。「今、世界では戦争が続いています。でもこの日本は音楽を通じて幸せを実感できる環境にあります。だからこそ今ここから世界に向けて“平和になりますように”という祈りを込めて一緒に歌ってください」

QUMANOMIも加わって、オーディエンスとともにラララの歌声が響いた。「誰かを愛する気持ちだったり、生きていく喜びを未来の誰かに届けたい。僕たちRockon Social Clubは音楽で未来に種を蒔きたいと思っています」とプロデューサーの寺岡呼人がメッセージを伝えると、最後はアカペラで「ただいま」を披露してステージを終えた。

成田昭次&寺岡呼人

いよいよ最後のMISIAのステージを残すのみとなった「PEACEFUL PARK」。ステージには成田&寺岡という、成田商事の中心メンバー2人がフォークデュオとして登場。フェスのキャッチコピーにメロディをつけて披露した。

スムースなグルーヴが夕闇の中に溶け出すと、会場にはクラップが鳴り響き、そのなかをMISIAが登場した。1曲目は「陽のあたる場所」。さらにホイッスルボイスに導かれて「つつみ込むように…」へ。今回は盟友とも言えるジャズトランペッターの黒田卓也をニューヨークから招き、スペシャルなバンドで彩あふれる音楽を紡いでいくと、曲終わりにはコール&レスポンスで一体感を高めていった。こんなふうな当たり前の光景がほんの少し前までは当たり前ではなかったんだということを思えば、今ここで起こっているすべてのことが愛おしく感じられる。

MISIA

「ロックもジャズもソウルもさまざまなジャンルを飛び越えてアーティストさんが集結して、そして芸人さんやいろんな方がピースフルなメッセージを発信してくれて、一緒になってエンタテインメントを共有できる幸せっていうのは、やっぱり平和で争いがないからできるんですよね。そんなピースフルな世界の素晴らしさをみんなで一緒に伝え合うことができて幸せです。どんなに時代が変わろうとも、こうして音楽を共に感じあえる喜びに満ちた平和な時間の尊さというものは変わらないと思います」

黒田卓也がライヴアレンジした「BELIEVE」は、一言で最高だった。アフロジャズ風に解釈されたサウンドは、それぞれのパートが自由に演奏しながら同じ方向を向いて歩んでいるような、音楽の本来持つプリミティヴなパワーと自由さに満ち、まさに「PEACEFUL PARK」が伝えようとしているメッセージが音そのもののなかにあった。この演奏に身を任せながら、大切なことは全部音楽に教えられてきたという幸せな実感に包まれた。

MISIA&黒田卓也

続いて、「PEACEFUL PARK」のキャッチコピーに黒田がメロディをつけたMISIAバージョンが披露された。「人をすごく好きになったり、誰かを大切にしたいと思ったり、そういう素直な気持ちを伝え合っていつしかお互いにその想いに“ありがとう”って言い合えることって、ピースフルな世界を目指すうえでの基盤になることだなと思います」と言って披露したのは、9月1日(金)に配信リリースされる新曲「愛をありがとう」だ。親密で優しい言葉とメロディが心に染み入るバラードだ。

ラストは「アイノカタチ」。MISIAがMCで触れたとおり、ここまで実にバラエティ豊かなジャンルのアーティストがパフォーマンスをし、さらに音楽だけではなく食やアートなどを通じてひとつの空間を作ってきた。そこにはあらゆるカテゴリーを超えた素直な心の発露というべきものがあった。すごい! とか、かっこいい! とか、すてき! とか。それを何と言っていいか分からないから私たちは人に伝えたくなる。ただただ良いメロディ、歌、演奏の「アイノカタチ」を聴きながら、そんなことを思った。

アンコールには、9月1日(金)にリリースされるMISIAとRockon Social Clubがコラボレーションした、NHKラグビーワールドカップのテーマソングとなっている「傷だらけの王者」をライヴ初披露した。「平和の次の最高のステージにみんなで行きましょう!」(MISIA)。その想いは確実に誰かに伝わっていく。新しいフェスが素晴らしい一歩を刻んだ。

MISIA & Rockon Social Club

公演概要

「PEACEFUL PARK -Charity for Happy Inclusion 2023-」
2023年8月4日(金)河口湖ステラシアター ※富士河口湖町制20周年
2023年8月5日(土)河口湖ステラシアター ※富士河口湖町制20周年
2023年8月6日(日)河口湖ステラシアター ※富士河口湖町制20周年

出演者:
MISIA
男闘呼組
Rockon Social Club
ADDICT OF THE TRIP MINDS
MOUNTAIN MAN
清水ミチコ
黒田卓也
Little Black Dress
QUMANOMI(Opening Act)

公式サイト:https://peacefulpark.jp

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