Little Black Dressが“シティポップ・レジェンド”林哲司らと共に珠玉のナンバーを奏でた特別な一夜【ライブレポート】

音楽
2024年07月22日
Little Black Dress
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2021年10月に初めて開催されて以降、コンスタントに回数を重ねてきたイヴェント「CITY POP NIGHT」。Little Black Dressが愛する珠玉のシティポップナンバーのカバーを豪華なメンバーと共に奏でる人気シリーズだ。梅雨明けも発表された夏本番の入り口で開催された4回目となる今回は、何もかもが特別だった。

まずはなんと言っても、彼女のニューアルバム『SYNCHRONICITY POP』が6月7日(金)にリリースされたばかりで、オリジナルからカバーまで、より深いシティポップ愛を感じられるタイミングだったこと。そしてもうひとつは、今回集結したメンバーの豪華さだ。ゲストボーカル&ギターにシティポップ・レジェンドの林哲司を迎え、バックには島村英二(Dr)、松原秀樹(Ba)、佐橋佳幸(Gt)、中村哲(Sax&Key)、三沢またろう(Perc)、デビン木下(Key&Synth)、渡辺磨裕美(Cho)という贅沢すぎる布陣がそろった。

Little Black Dress
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DJ MUROがフロアをさすがの選曲で盛り上げるなか、最後にスピンした1曲が最高だった。林哲司が1978年から1980年まで組んでいた和製ディスコ・ユニット“イースタン・ギャング”の「CHARLOTTE」。そのクリスタルでディスコティックなサウンドに導かれるようにLittle Black Dressがバンドメンバーと共にステージイン。「北ウイング」(中森明菜)、「シンプル・ラブ」(大橋純子)を続けて披露する。

ここで、彼女がどうしてシティポップを中心としたカバーライヴを開催するに至ったのかのきっかけを話してくれた。

「2019年に開催された『TOKYO MUSIC SHOW』がきっかけでした。そのときゲストで来ていただいた仲本工事さんに、『平成生まれ、令和の歌姫のあなたが昭和の歌を未来に歌い継いでください』っておっしゃっていただきました。その言葉を胸に今日も大好きな歌を歌いたいと思います」

Little Black Dress
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ここからは“サマー・シティポップ・メドレー”と題し、「Sparkle」(山下達郎)〜「モンロー・ウォーク」(南佳孝)〜「君は天然色」(大瀧詠一)と立て続けに披露し、オーディエンスを沸かせる。さらに「夢で逢えたら」(吉田美奈子)に続いてパフォーマンスしたのは、Little Black Dressのオリジナル曲「マロニエの花」。80年代のAORのフレイヴァーをたっぷり詰め込んだ「マロニエの花」は、彼女の表現力豊かなヴォーカルとソングライターとしてのヴィヴィッドな感性が存分に発揮された曲だ。

ここで林哲司をステージに呼び込んだ。デュエット風に2人で歌ったのは林哲司が自身2枚目のソロアルバムに収録した名曲「RAINY SATURDAY & COFFEE BREAK」。オリジナルのレコーディングのコーラスに参加したのが大橋純子で、のちに自身の作品でも歌唱した。しかも林、大橋、Little Black Dressは昨年同じステージに立っており、シティポップの結ぶ不思議で幸福な縁が感じられるセッションとなった。

Little Black Dress
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ここからは、さながら“林哲司の世界”ともいうべきシティポップワールドに突入。「Summer Suspicion」(杉山清貴&オメガトライブ)、「真夜中のドア〜Stay With Me〜」で本編ラストを飾った。特に後者は、シティポップを代表する曲として世界中で聴かれているナンバーだ。今回のイヴェントでBillboard Live Tokyoとコラボレーションしたオリジナルカクテル「Stay with me♪」ももちろんこの楽曲をオマージュしたものだ。軽快なリズムの中にしっとりとした成分を含んだメロディが日本人の感性によって紡がれたものだということがよく分かる。

アンコールも林哲司を招いて、「September」(竹内まりや)、「悲しみが止まらない」(杏里)をパフォーマンスした。ここで林を送り出し、ラストに披露したのは、林哲司がLittle Black Dressに提供した「逆転のレジーナ」。

「シティポップというのは決まった音楽ジャンルではないんです」と言ったLittle Black Dress。それは人それぞれの中にそれぞれのシティポップがあるということ。音楽は自由だ、という根っこの部分が何よりも心を打った。

●text/谷岡正浩

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