THE ALFEE、50周年の秘けつは「“俺が俺が”がいない」母校・明治学院大学で語る

音楽
21時間前
THE ALFEE
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今年デビュー50周年を迎えたTHE ALFEEを特集する2時間の音楽特番の放送が決定(BS-TBS 11月3日(日・祝)午後7時~8時54分)。番組では過去のアーカイブ映像でTHE ALFEEの歴史を振り返るとともに、南こうせつ、研ナオコら彼らをよく知る人物に“50年も続いた理由”“50年目の真実”を分析してもらう。結成の地・明治学院大学での番組収録後、THE ALFEEがそろって取材会に応じた。50年のキャリアを持ちながらも、気さくで朗らかな雰囲気で行われたインタビューの模様をお届けします。

◆収録を終えたばかりですが、今のお気持ちはいかがですか?

坂崎:結構(収録時間が)長かったね(笑)。

高見沢:VTRがたっぷりありましたね。いろんな人の証言もあったし、自分たちのVTRを見ても「こんなことやってたんだ~」って。50年もたつとね、記憶が薄れてる(笑)。

◆たくさんのアーカイブ映像をご覧になったと思いますが、特に印象深かったものはありますか?

高見沢:『ザ・ベストテン』で「星空のディスタンス」が2位になったときの演出で、後ろにマーシャルのアンプがたくさんあって。それが間奏でうわぁ~っと開いて、また別の風景が出てくるっていう。すごいですよ。セットが素晴らしい! 今では考えられないぐらいの予算を使ってるなって(笑)。それが毎週ですからね。上位に上がれば上がるほどセットが豪華になっていたのを感じました。1位になるとプレゼントをくれたしね。「星空のディスタンス」のときは桐ダンス。

坂崎:“星形の桐ダンス”ね(笑)。あとは高見沢が視聴者にプレゼントをするっていうんで、24万通のハガキをステージ上にバーンと置いたときがあって。1つ選んで当たった人に電話をしたら、「この電話は使われておりません」ってアナウンスが流れたのも印象的でした(笑)。

◆THE ALFEEの皆さんはとても仲がいいイメージがあります。50年も続いた秘けつと、THE ALFEE史上最大のピンチを挙げるとしたら何でしょうか?

高見沢:ピンチといったら、デビューでしょう。

坂崎:そうだね。

高見沢:僕はこのバンドに、ギタリストとして誘われたんですよ。それがいざデビューするってなったら、いろんな事情があって僕がリードボーカルになっちゃったんです。しかも「今日から君はギター弾かないでいいから、ハンドマイクで歌ってくれ」と。その曲(「夏しぐれ」)が松本隆さんと筒美京平さんコンビの初期の曲だったんだけど。

坂崎:まだゴールデンコンビになる前のね。

高見沢:ゴールデンコンビが唯一ヒットしなかったのが、僕らの曲(笑)。

坂崎:その後、太田裕美さんで大ヒットしたから(笑)。

高見沢:僕がハンドマイクで歌うっていうのが疑問だったんですけど、さらに悲劇があって。それまでは桜井がボーカルで、ギターを弾いたことがなかったのに「君はギターを弾きなさい」と言われたこと。でも、弾けないから弾きまねをするんだけど、それがすごくうまいの(笑)。

坂崎:元祖エアギター(笑)。

高見沢:やっぱり、このデビューは変だよな(笑)。

桜井:うーん、そうですか?

坂崎:そうですか? じゃないよ(笑)。長嶋茂雄じゃないんだから(笑)。

桜井:でも、変な形でデビューしちゃったから、“これじゃダメだ”って自分たちで気づいたんだよね。

高見沢:気づくまで1年ぐらいたっちゃったけどね。高校、大学と一緒の仲間だったから続いたっていうのもありますし。(VTRの)いろんな方の証言の中でも「売れる前も売れた後も全然変わらなかった」って言う言葉があって、そういう性格的なものもあるのかもしれないですね。“俺が俺が”っていう人がいないから。

坂崎:“俺が俺が”、ないない。

桜井:“どうぞどうぞ”。

高見沢:リードボーカル、みんな歌いたがらないです。

坂崎:あまりないでしょ、そういうの。実は(バンドに)向いてないのかもしれない(笑)。

高見沢:だから昔は、シングルの場合3人でオーディションやって、曲に一番合う人をリードボーカルにするってやってたんですけど。面倒くさいんで、もう最近は多数決で。

坂崎:「桜井がいい人?」「はい!」

桜井:2対1で。

高見沢:民主主義ですから。何と言おうと。

桜井:これでやってきてます。

◆母校・明治学院での収録にちなんで、青春の思い出を聞かせてください。

高見沢:桜井さんどうですか? 古典の授業の思い出がよみがえったり…。

桜井:うるさいよ(笑)。いらない情報なんだから。やっぱりこうしてチャペルに来ると、明学に来たな~と思いますよね。

高見沢:ここで毎週礼拝をやってたからね。

桜井:ここに集まって聖書を読んで、賛美歌歌って終わるんです。あとはお昼休みになると先生がパイプオルガンを弾いてくれたんだよね。それを時々聴きに来たりしてました。

高見沢:やはりここに来るとすごく懐かしいですよ。校舎は新しくなったけど、この中のイメージは変わってないですから、すごく不思議な感覚ですね。

坂崎:校舎、きれいだよね。

桜井:俺たちのころはこんなんじゃなかった(笑)。男子校だったから。

◆3人がそろって明治学院に来るのはいつ以来ですか?

高見沢:10年ぶりですね。

坂崎:名誉卒業式(2014年)以来。

高見沢:ここでやったんですよ、名誉卒業式を。

坂崎:うれしかったな~。

高見沢:でも、どう考えてもおかしい。僕は8年行ったんですよ(注:高見沢&桜井は明治学院高等学校出身)。こいつ(坂崎)2年しか行ってないんですよ! 学費、僕の方が払ってるのに同じときに卒業っておかしいよな~?

坂崎:桜井も6年行ったよね?

桜井:うん、6年。

高見沢:2年しか行ってないって、短大じゃないんだから!

坂崎:2年生はデビューしちゃったからほとんど行ってない。

桜井:僕も(大学)2年生はほとんど行ってないな。

坂崎:桜井と高校のときに知り合って、僕だけ都立(高校)なんですけど。桜井は「明学にそのまま行く」っていうから、「じゃあ僕も行く」って受けたんです。でも受験日間違えて、行きたい学科は前の日に終わってた(笑)。(次の日に行ったら)席に誰か座ってるから“変だな~”って思って、「すいません」って声かけたら「学科違いますよ」って言われて気づいた(笑)。前の年の「傾向と対策」の本の受験日を見てたんだよね。

高見沢:新しいの買えよ!(笑)

桜井:受験票に書いてあるよ、日にちは。

坂崎:そうだよな。それで2部を受けたんですよ。

高見沢:で、学校来てもね、授業出たことないですよ。

坂崎:一応出てたよ! フランス語とか。先生が「フランス語は世界で一番きれいな言葉だ」って言ったのだけ覚えてる。あとは食堂でギター弾いてましたね。

高見沢:坂崎と「授業行ってくるわ。おまえも行くだろ?」って別れて、授業受けて戻って来ると、まだギター弾いてる。「おまえ、学校に何しに来てんだよ!」って。

坂崎:食堂でギター弾いてると、体育系のクラブの連中から皿とかが飛んでくるんですよ。3人でハモると声がでかいから「うるさい」って。結構危険でしたよ(笑)。

◆学生時代、一番モテたのはどなたですか?

桜井:見りゃ分かるじゃないですか(と高見沢を見る)。

高見沢:そんなことない。

坂崎:でも、モテ方がいろいろなんですよね。文化祭で演奏するじゃないですか。そういうときにモテてたのは桜井。女子高生が桜井の歌声に惹かれていく。で、高見沢はロックのクラスで。

高見沢:(教室を)真っ暗にしちゃったからね。

坂崎:そうすると、敬遠されるんだろうな。だから桜井のグループがモテてたけど。私生活はやっぱり高見沢。

桜井:そりゃそうですよ。

坂崎:高輪台までね、電柱の影に女の子が…。

高見沢:そんなことない!

坂崎:この辺は近所に女子校がいっぱいあるでしょ。

桜井:(高見沢は)中学時代も結構モテたんだろうけど、バスケットボールに打ち込んでたからね。どちらかというと体育会系だったんですよ。で、この高校にしてから、急に体育会系から文科系になっちゃった(笑)。

高見沢:みんなそこそこ、誰が一番っていうのはないですね。でも、デビューしてから「夏しぐれ」をずーっと冬まで歌ってたから、「冬まで歌うの、それ?」「冬だぜ、おまえ」ってよく学校で友達に揶揄されてました(笑)。

坂崎:ちょっと恥ずかしかったよな(笑)。ただ、(前身のグループ)コンフィデンスに高見沢が入ってからTHE ALFEEでデビューするまでの間に、何個か女子校の文化祭とか呼ばれて行ってましたよ。

高見沢:人気あったよな? この界隈で。

桜井:結構呼ばれてたよね。東大の五月祭とか慶応の三田祭とか。

高見沢:高校生なのにねぇ。

坂崎:当時、大学生とか社会人が多くてその中でプロになる人もいたし。だけど、高校3年から大学1年ぐらいの中では結構うまかったんだと思うんですよ。白金界隈でも「あいつらいいよね」みたいなのがあったのかもしれない。

桜井:高校のとき、レコード出してたからね。小室(等)さんのプロデュースで。(注:1972年にコンフィデンスとしてレコード「愛よこんにちは」をリリース)

坂崎:セミプロみたいな感じだったんです。

高見沢:コンフィデンスは人気ありましたよね。

◆司会:ほかに質問ある方?

桜井:…好きな色ですか?

取材陣:はははははは!(笑)

高見沢&坂崎:聞いてない、聞いてない(笑)。

◆50年たって、当時と今とでお互いの印象に変化はありますか?

高見沢:変わらないなぁ~。

坂崎:さっきも皆さん(VTRで)おっしゃってたけど、あんまり変わらないですよね。50年前から急に今に来たらね、変わってるかもしれないけど。もしかしたら変わっていても徐々に…だろうから。

高見沢:適度な距離感があるのも変わらないし。

桜井:昔の映像を見ると、(今の自分からすると)見慣れてないからか今の方が若いような気がするよね。

高見沢:昔は偉いとんがってたな~って。

桜井:いや~、おまえ、とんがってたよ。

高見沢:感じ悪いやつだな~って。

桜井:感じ悪いときもあったよ。だけどさ、リーダーとして頭抜けていくにはちょっととんがってないと無理だったのかな。

高見沢:あんな感じでしゃべってたのかってびっくりしちゃったね。

坂崎:でも、基本的には変わらないですよ。人間的な根本というか、性格はそのままですね。

◆今後に向けての目標や、具体的に考えていることはありますか?

高見沢:1つ目標があるんですよ。今、2917本のコンサートができたんです。この秋のツアーもありますけど、やはりバンドとしてまずは3000本を目標に生きていこうと思います。

坂崎:このペースでいくと…。

高見沢:まぁ、来年、再来年ぐらいかな。

坂崎:来年80本やんないといけないや。

高見沢:うん、やるか。…いや、無理だな(笑)。

坂崎:本当はコロナ禍がなかったらね、今年のはずだった。

高見沢:2年間ツアーできなかったんで。予定で行くと今年(3000本)だったんですよ。

坂崎:そうすると、“50周年”“70歳”“3000本”ってめちゃくちゃ多いメモリアルだったんだけど。

高見沢:情報量多いからね(笑)。

坂崎:まぁ、再来年ぐらいに持ち越せて逆によかったかな(笑)。

桜井:そこで話題になってくれれば、また寿命が延びますんで(笑)。

坂崎:今年全部やっちゃったらね。

高見沢:「もうやることなくなっちゃった」「燃え尽きました」みたいになっちゃう(笑)。

◆日ごろからステージに立つために鍛えていることや、ステージに上がるために努力していることを教えてください。

高見沢:僕は一応筋トレとか、トレーニングを週に最低でも2回、多いときは週4でやっています。ただ、昔のようにガチガチに固めるんじゃなく、血流を良くする、体を柔らかくするという形でやっていますね。

坂崎:僕はもう、腹筋、腕立て、1日1回ずつぐらい(笑)。

桜井:スクワットもやってるだろ?

坂崎:スクワットも1日1回(笑)。

高見沢:やってないも同然だよ。

坂崎:たまに忘れる(笑)。

桜井:トイレに行くだけでふわっとやってるんだって。座って立つんだから(笑)。

坂崎:(笑)。桜井は栄養ドリンクでしょ?

桜井:僕はやっぱり、血行を良くするために芋のジュースを…。

高見沢:ジュースじゃないな(笑)。

桜井:ジュースにちょっと、アルコールが入ってる…(笑)。

坂崎:それを週に5回。

桜井:お医者さんから言われてるんで、「週5回にしてください」って。

坂崎:でもちゃんと2日休んでるところが偉い。

桜井:休肝日はちゃんと。もう10年以上続けてます。

坂崎:健康にいいんですか? それは。

桜井:いいですよ、適量ならね。

坂崎:でもね、ツアーが始まると、みんなそれぞれ“こうしなきゃ”っていうのがある。

桜井:“コンサートに向けて”じゃなくて、本番をやることなんですよ。で、本番をやるうちに「ここがキツいな」って分かれば、そこを補うし。実際にこれだけの本数をやってると、それが自分の体力を作ってるようなもんなんです。だからコロナ禍のころは、おまえ、「調子が悪い」って言ってたもんね。

坂崎:そうそう。2020年の最初のころはツアーがなかったので、体調が悪かったです。やっぱりツアーやらないと調子狂っちゃう。

桜井:歌うってことは、健康じゃないとダメなんだよね。

坂崎:人前でね、緊張して歌うってことが健康につながってるんじゃないですかね。

◆司会:そろそろラストの質問を…。

坂崎:大丈夫ですか?

桜井:皆さん、良く知ってますからね(笑)。

坂崎:この間さ、インタビューのときにこんなふうに終わったじゃん? そうしたら高見沢がこれ(スマホのレコーダー)を止めようとしてたんですよ(笑)。

取材陣:はははははは!(笑)

坂崎:「おまえ、何やってんの?」って。

高見沢:自分のとね、間違えた(笑)。

坂崎:インタビュアーのiPhoneを取って(笑)。

高見沢:メールチェックしようかなと思って(笑)。

桜井:「あいつ、何やってんだ?」って(笑)。本人(インタビュアー)はもっと驚いてたよ。「それ、僕のです!」って。

高見沢:「ごめん、ごめん!」って(笑)。

桜井:危ないですよ、今日は暑いですからね(笑)。

坂崎:今日はかなりきてますからね(笑)。

◆司会:以上で大丈夫でしょうか?

取材陣:(うなずく)。

坂崎:ありがとうございます。

桜井:(立ち上がりながら)外、暑そうだな~。

高見沢:ありがとうございます。

桜井:ありがとうございました~。

●THE ALFEE略歴

1973年、明治学院大学キャンパスにて出会い、グループを結成。翌1974年8月25日シングル「夏しぐれ」でデビュー。1983年、デビュー9年目にしてシングル「メリーアン」が大ヒット。以降、現在に至るまで日本の音楽シーンを代表するバンドとして活躍している。コンサートツアー、イベントと精力的な活動を続けており、海外公演は1998年のアメリカ・ニューヨーク、翌1999年にはドイツ・ベルリンにて成功をおさめている。ライブ通算本数は2900本を超え、2024年8月25日にデビュー50周年を迎えた。

番組情報

『THE ALFEE 50周年記念特番(仮)』
BS-TBS
2024年11月3日(日・祝)午後7時~8時54分

出演:THE ALFEE(桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦)
THE ALFEEをよく知る人物:中野信子、南こうせつ、研ナオコ、大野真澄(元ガロ)

番組HP:https://bs.tbs.co.jp/music/alfee50/