オンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下、FFXIV)のオフィシャルバンド、THE PRIMALS(ザ・プライマルズ)のライブ「THE PRIMALS Live in Japan – Darkest Before Dawn」が、2024年9月21日・22日に横浜アリーナで開催された。本稿では、22日の模様をレポートする。
開演時間が迫ると、会場に駆けつけた光の戦士(『FFXIV』プレイヤーの愛称)たちが、白・ピンク・黄色・赤と次々にペンライトの色を変えていく。今か今かとメンバーの登場を待ち、期待で熱を帯びていく会場に、アルバート(CV.諏訪部順一)のアナウンスが流れ始める。アルバートによる貴重な観劇中の注意事項の読み上げや、「こんな広い会場であのおっさんたち、無謀過ぎる」というユーモアあふれるナレーションに、会場は大いに沸いた。
その後、アルバートの「俺たちは、どこへだって冒険できる」という言葉と共に、ライブはスタート。開幕の一曲に選ばれたのは、「Open Sky – The Theme from Dawntrail」だ。ステージ上にTHE PRIMALSの姿はなく、『FFXIV』の映像がステージ全面に映し出されているなか、メンバーの演奏と歌声だけが会場に鳴り響く。しかし、表情やパフォーマンスは見えずとも、ライブが始まった喜びと楽しさが、奏でる音楽からにじみ出ていた。
演奏後、映像を映していた紗幕スクリーンが開く。するとステージ上には、THE PRIMALSのメンバーの姿が。大歓声が巻き起こるなか、ギターの「どこどこどこ」サウンドが印象的な「エスケープ 〜次元の狭間オメガ:アルファ編~」を披露した。
曲終わりのMCでは、リーダーの祖堅正慶が、「ようこそ、THE PRIMALSのステージへ!」とあいさつ。続けて、「ロックのライブなので、大いに盛り上がっていただければと思いますが、無理はせず。でも火力は必要だから!」と光の戦士たちを煽る。それに応えて光の戦士たちは、声援という大火力をTHE PRIMALSへ浴びせた。
そんなMC中のやり取りでボルテージが高まるなか演奏されたのは、「此処に獅子あり ~万魔殿パンデモニウム:辺獄編~」。祖堅は、フェンダー創立75周年の特別企画としてフェンダーと『FFXIV』チームが共同で開発したコラボギターをかき鳴らす。情熱的な演奏に呼応して、光の戦士たちは曲中で「パンデモニウム!」と会場を揺らすほどにコールをした。
続く「Scream ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~」では、イワイエイキチによるベースとたちばなテツヤのドラムの重低音、そしてマイケル・クリストファー・コージ・フォックスのシャウトが、光の戦士たちに激しい戦いの日々を思い出させる。終盤では、たちばなのスティックまわしも見事に決まっていた。曲終わりには「カッコいい―!」という声が会場に響いたが、気持ちはみんな一緒だっただろう。
MCを挟んだあとに披露されたのは、曲中の「An, An」のコール部分を「all right」に変えるなど、THE PRIMALSバージョンにロックアレンジされた「Bee My Honey」。もともとかわいらしい雰囲気の本曲。演奏前に祖堅は「おっさんたちがこの曲を、しかもハートの背景と共に歌うのは……」と戸惑っている様子を見せていたが、舞台上にはTHE PRIMALSというアイドルが確かに降臨しており、「かわいい!」という声も一部で飛び交っていた。
続く「Give it All ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~」では、火柱が上がるなか、ゲストシンガーのアマンダ(Amanda Achen)が颯爽と登場。高音部分まで無理なく聞こえる美しい歌声を会場の後ろまで届けた。
7曲目の「月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~」では、ヴァイオリニスト・伊藤友馬がゲストとして参戦。リズミカルなヴァイオリンの旋律とギターなどのロックサウンドが調和して、心地よいサウンドとなって昇華される。演奏後のMCでは、ヴァイオリンで奏でるには難しいリズムだったにも関わらず、伊藤がリクエスト通りに応えてくれたという楽曲制作時の裏話も披露され、会場を驚かせた。
「忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~」では、ギター担当・GUNNのボーカルが光の戦士たちの心をグッとつかむ。また、曲終わりには、会場に駆けつけていたプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹が、観覧席からマイクを通さずに光の戦士たちへあいさつするという一幕も。「お前らもっといけんだろー!」という魂の叫びに、会場中は大きな歓声で応えた。
ライブが中盤に差し掛かったところで、舞台上に姿を現したのは朱雀(南條愛乃)。映像の演出と合わせて「千年の暁 〜朱雀征魂戦〜」を歌唱した。アーティストとしても活動し、声優業界のなかでも歌唱力に定評のある南條の歌声が、横浜アリーナに響き渡る。会場中が彼女のパフォーマンスに釘づけとなった。
一方のMCでは、「こんにちは。テンゼン(光の戦士)たち。南條愛乃です」「正気でいますか?」と、光の戦士なら「にやっ」としてしまう茶目っ気のあるあいさつ・トークを展開。彼女は『FFXIV』プレイヤーとしても有名で、最新拡張パッケージもプレイ済みとのこと。「めちゃくちゃ面白かったです!」とステージ上でアピールしていた。
そんな南條は、続く「月下彼岸花 〜蛮神ツクヨミ討滅戦〜」で光の戦士たちに、会場の左右でペンライトの光を白と青に分けてほしいとリクエスト。その要望に応えて広がった白と青の光の景色はとても美しく、会場を鮮やかに彩った。
アルバートのナレーションを挟んで演奏された「Shadowbringers」では、ゲストボーカルのジェイソン(Jason Charles Miller)が登場。ゾクゾクするような歌声と盛り上がりに緩急のある演奏が、光の戦士たちの心に訴えかける。
その流れからの「To the Edge」、そしてアマンダを迎えて届けた「Flow Together」では、演奏と歌声を聞きながら涙する光の戦士たちの姿も見られた。その様子について祖堅は「それだけ、真剣にゲームしてくれたから!」とMCで一言。どこまでも光の戦士たちのゲーム体験、そして『FFXIV』そのものを大切にしてくれる祖堅が振り絞ったメッセージに、会場中は感動の渦に包まれた。
ライブもいよいよ終盤。「メタル 〜機工城アレキサンダー:起動編〜」に続いてメンバー紹介、そして「魔神 ~魔神セフィロト討滅戦~」「過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~」と、火力の高い楽曲を立て続けに披露。メンバー紹介ではGUNNの恒例となった「家」コールも行われて、光の戦士たちのボルテージはさらに高まっていく。
続く「ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~」は、ダンサーと共にパフォーマンス。始まりから終わりまで、さまざまな見せ方で楽しませてくれるのが、THE PRIMALSのライブなのだ。そして「Endwalker – Footfalls」をジェイソンとアマンダ、ヴァイオリニスト・伊藤と共に、THE PRIMALSが熱を込めて演奏・歌唱し、本編を締めくくった。
鳴り止まないアンコールに応えて登場したTHE PRIMALSが、光の戦士たちに届けたのは「メタル:ブルートジャスティスモード」。祖堅はトランペットを吹きながら随所で歌唱をするなどのパフォーマンスで、会場をさらに沸かせる。
続く「ライズ 〜機工城アレキサンダー:天動編〜」では、曲中の「RISE UP」のコール&レスポンスが、会場中に轟く。また、本曲ではゲームのギミックに合わせて、曲中に光の戦士たちが一斉に動きを止めるというのが恒例となっているのだが、楽曲の該当部分になると、本当に時間が停止したかのように全員がピタッと動きを止めていた。会場全員がライブを成功させるために協力するあの一体感は、圧巻の一言。観客自らが演出に加わるライブならではのパフォーマンスに、鳥肌が立った。
本ライブのオーラス曲に選ばれたのは「ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~」。最後は出演者全員がステージに登場し、祖堅が「これからもゲームを遊んでね!」と言葉を残して、ライブは大団円を迎えた。
メンバー紹介時のMCでGUNNは「好きなものに誇りを持てるってすごいこと」と言葉にしていた。音楽もゲームも、ひとつのエンターテインメント。もしかすると、生物が生きていくために必要なものではないのかもしれない。しかし、エンターテインメントは、明日を生きる活力になると私は信じている。
今回のTHE PRIMALSの演奏は間違いなく、光の戦士それぞれの魂に刻まれたことだろう。多くの人の心に火を灯してくれるTHE PRIMALS。アルバートは「無謀過ぎる」なんて言っていたが、こんなにカッコいいおっさんたちは、そうそういないだろう。THE PRIMALSを誇りに思う。
公演情報
「THE PRIMALS Live in Japan – Darkest Before Dawn」
2024年9月21日(土)・9月22日(日)横浜アリーナ
※2日間完売
【SET LIST】
1. Open Sky – The Theme from Dawntrail
2. エスケープ 〜次元の狭間オメガ:アルファ編~
3. 此処に獅子あり ~万魔殿パンデモニウム:辺獄編~
4. Scream ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~
5. Bee My Honey ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~
6. Give it All ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~
7. 月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~
8. 忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~
9. 千年の暁 〜朱雀征魂戦〜
10. 月下彼岸花 〜蛮神ツクヨミ討滅戦〜
11. Shadowbringers
12. To the Edge
13. Flow Together
14. メタル 〜機工城アレキサンダー:起動編〜
15. 魔神 ~魔神セフィロト討滅戦~
16. 過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~
17. ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~
18. Endwalker – Footfalls
-アンコール-
19. メタル:ブルートジャスティスモード
20. ライズ 〜機工城アレキサンダー:天動編〜
21. ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~
ライブストリーミング情報
配信日時:2024年9月21日(土)
料金:4,400円(税込)
チケット販売期間:2024年9月9日(月)18:00~10月7日(月)20:00
アーカイブ視聴可能期限:2024年9月22日(日・祝)18:00~10月7日(月)23:59
販売先:https://cdn.tixplus.jp/feature/theprimals_stpass_202409/
●photo/西槇太一 / 上石千聖 text/M.TOKU
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