廣瀬智紀インタビュー「“ザ・探偵もの”と言える王道の作品」映画「探偵は、今夜も憂鬱な夢を見る。」

特集・インタビュー
2017年03月02日

ひょんなことから抗争事件に巻き込まれてしまう探偵事務所の物語を、どこか懐かしい雰囲気で描く「探偵は、今夜も憂鬱な夢を見る。」が3月4日(土)に公開。ミステリアスな上に“ムチが武器”という異色の探偵を演じる主演・廣瀬智紀さんにインタビュー。

練習場所がない!ムチのマスターにひと苦労しました

廣瀬智紀インタビュー

◆これまで、舞台のほか映画でもたびたび主演を務めてきた廣瀬さんですが、今回は初挑戦となる探偵役での映画主演です。オファーがあったときの感想を教えてください。

探偵役をやらせていただけるのはうれしいですが、やっぱりそれ以上に主演を務めさせていただく喜びのほうが大きいです。僕はこれまでわりと舞台が中心だったんですが、舞台の主演と映画の主演ってちょっと役割が違うんです。舞台の場合は、主演がカンパニーの空気感を作る任務があるんですが、映像の場合は、わりとどーんとそこにいるのが大事だったりもするかなって。こうやって映像に出させていただける機会が増えて現場で緊張することも少なくなってきたので、ゆくゆくは「彼が主演か」と思われるような俳優になれたらうれしいです。

◆探偵事務所2代目所長の紅伊玲二を演じられている廣瀬さんですが、玲二のキャラクターをどのように捉えていますか?

玲二は、ミステリアスでどこか捉えようのない人物。一見クールですが、実は非常にもろい部分も持ち合わせていて、自分の過去を依頼人に投影してしまったりするんです。そういう人って人を惹きつけるというか、例えば相棒の彰二(青木玄徳)に「俺が面倒みてやんなきゃ危なっかしいな」と思わせてしまうような魅力がある。玲二が魅力的に映るように、1つひとつの表情に含みを持たせて大事に演じて、ミステリアスな部分を意識して出すようにしていました。

◆彰二についてのお話もありましたが、クールな玲二と熱血漢の彰二という正反対の2人のコンビネーションが絶妙です。

玲二と彰二はそれぞれにないものを補っていて、お互いに「こいつは必要だな」って思っている、非常にいい関係だと思います。彰二役の青木君とは今回初共演だったんですけど、気持ちがいいぐらいお芝居が好きな方。最初はお互い探り探りでもお芝居では遠慮なくグッと来てくれたので、僕も身を預けやすかったです。そういう意味では、本当の相棒みたいな空気感の中で演じられました。

◆自ら武器を操るなど、武闘派な一面もある玲二。武器は“ブルウィップ”と呼ばれるムチですが、ムチの習得にはご苦労されたのではないですか?

キャラクターを乗せた上でのムチさばきはかなり試行錯誤しました。習うというより個人練習が中心だったんですが、「いつでも練習していいよ」とムチを渡されたものの、ムチって場所を取るので練習スペースが限られるんですよね。一度、家で練習をしたら物にカンカーンと当たって大変なことになりました(笑)。だから神社とか駐車場で練習していたんですが、あるとき突然「来た、コレだ!」という瞬間がやってきて、そこからコツをつかめた気がします。僕はいたって真面目に取り組んでいたつもりだったんですが、あらためて映像で見るとちょっと笑っちゃうシーンもあったりしたので(笑)、そのあたりはぜひお客さんにも劇場で感じていただきたいです。

◆主演のほか、廣瀬さんは主題歌「candy lights」もご担当されています。

正直プレッシャーは感じましたが、「自分が歌うことで少しでも作品にプラスになるなら」と思い、歌わせていただきました。この作品は全体的にレトロな雰囲気が漂っているんですが、それもあってかプロデューサーさんは「昔の映画スターは、主題歌を歌うのが当たり前だったんだよ」とおっしゃっていて。TAMTAMさんが本当にすてきな音楽を作ってくださったので、僕は今の自分にできることを精いっぱいやらせていただいたつもりです。

◆今後も継続的に音楽活動を続けていきたい思いはありますか?

ミュージカルの舞台に出演することもあったので、チャレンジする機会があるならやらせていただきたいですし、そのためにもっと実力をつけたいです。

自分を育ててくれた「舞台」の仕事も大事にしたい

廣瀬智紀インタビュー

◆本作ももちろんですが、出演中のドラマ『男水!』をはじめ、“2.5次元俳優”の方々の注目度がどんどん高まっているように思います。廣瀬さんは、現状をどう捉えていますか?

『男水!』に関しては、そういう機会を与えてくれた、僕たちに目を向けてくれたということにまず感謝したいです。その中に選ばれたというのは、“2.5次元俳優を代表している”というある種の責任感も伴います。本気で挑まなければいけない作品ですし、すごくいいチャンスをいただいたという印象です。

◆廣瀬さんご自身は、今後も映像作品に力を入れていきたいという思いはありますか?

大切なのは、作品を見てくれる方たちを元気にすること。それは同時に僕の生きがいでもあるので、映像に出ることでその幅が広がるのはうれしいです。とはいえ僕は舞台の現場で育てていただいたので、今までどおり舞台も続けながら、映像でもいろんな作品で経験を積んでいきたいという思いが強いです。

◆最後に、ファンの皆さん、そして映画を楽しみにしている方々に向けてメッセージをお願いいたします。

いつも皆さんが応援してくれるおかげでいろんな作品に出演させてもらっているので、今まで演じてみたかった探偵ものに主演できるのも、皆さんの応援のおかげです。この作品は“ザ・探偵もの”と言える王道の作品なので、きっと誰にでも受け入れやすいと思います。その中にどこかおかしかったり、笑えたり、「これはどういう意味なんだろう?」と含みのあるポイントもあるので、より一層興味をそそるんじゃないかなと。…ただ、正直まだまだ探偵し足りない!(笑) だから、まずは本作を楽しんでもらって、続編にも期待してもらえたらうれしいです。

 

■PROFILE

廣瀬智紀インタビュー廣瀬智紀
●ひろせ・ともき…1987年2月14日生まれ。埼玉県出身。A型。ドラマ『男水!』(日本テレビほか 毎週(土)深0・55)に出演中。舞台「男水!」が、5月11日(木)より東京・シアター1010にて上演開始。


■作品情報

「探偵は、今夜も憂鬱な夢を見る。」「探偵は、今夜も憂鬱な夢を見る。」
3月4日(土)よりユナイテッド・シネマ豊洲ほか公開

<スタッフ・キャスト>
監督・脚本:櫻井信太郎
脚本:継田淳
出演:廣瀬智紀、青木玄徳、岸明日香、田中要次、津田寛治、田島令子 ほか

<ストーリー>
紅伊探偵事務所の2代目所長である紅伊玲二(廣瀬)は、相棒の藍彰二(青木)、地下アイドルの沙織(岸明日香)、玲二の祖母で探偵事務所のオーナーである弥生(田島令子)と共に、祖父から引き継いだ探偵事務所で日々ペット探しや浮気調査を行っていた。ある日、レンと名乗る少年が「父親を探してほしい」と探偵事務所を訪れる。最初は相手にしなかった彰二だったが、情にもろい玲二の気まぐれで依頼を引き受けることに。さっそく、レンが最後に父親を目撃したという港に赴く玲二と彰二だが、玲二はそこで出会ったレンの母親の証言に違和感を覚え、祖父に恩があるやくざの桜井(田中要次)に相談。すると、レンの父親の失踪には、桜井と敵対する大文字組組長・大文字(津田寛治)が関与している可能性が浮上する。

公式HP:http://tantei.united-ent.com/

©2017「探偵」製作委員会

 
●photo/関根和弘 text/金沢優里

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