みずたまことのアウトロー漫画を、平埜生成&ユナク(超新星)のW主演で実写化した、BSスカパー!オリジナル連続ドラマ『バウンサー』(毎週(金)後9・00)が放送中。柿根陽介(大東駿介)の弟子でドラマオリジナルキャラクターの浜崎達男を演じる佐野和真さんに、第6話(5/26(金)放送)での蜂野(ユナク)とのアクションシーンの裏話から、お芝居に対する価値観の変化まで、たっぷりお話をうかがいました!
“自分が答え”という意識で自由に演じられた気がします
◆BSスカパー!のドラマは、『破門(疫病神シリーズ)』(15年)、『螻蛄(疫病神シリーズ)』(16年)に続いて3作目の出演となります。出演が決まったときはいかがでしたか?
プロデューサーさんも熊澤(尚人)監督も以前にご一緒させていただいたので、期待に応えたいというプレッシャーはありました。作品に入ってからは、自分の変わらないといけない部分、変わらなくていい部分、プラスすべき部分、というのを意識して、負荷をかけて演じていた気がします。この作品はドラマでありながら撮り方が映画調というか、ゆっくりじっくり撮っていくぜいたくな作品。すごく濃密な撮影期間を送れました。
◆今回佐野さんが演じる浜崎は、獅子戸(平埜)や蜂野(ユナク)が所属する民間警備会社・東京フィストを敵視する暴力団幹部・柿根の側近という役どころです。
浜崎は、真っすぐで熱く、戦闘力の高い男。オリジナルキャラクターなので、作品の雰囲気を邪魔しないように、現場の空気も大事にしながらいいスパイスになれればと思って演じました。浜崎にはかわいい部分があるので、僕のパートは見ている方が血の気の多いところから少し休憩できるようになれたらいいなと。ただ、やりすぎるとコメディになってしまうので、加減しつつも“ちょっとかわいいやつ”に見えるように心がけました。特に気をつけたのは、目線やせりふの言い回し。そこはオリジナルキャラクターを演じる難しさでもありますが、むしろ“自分が答え”という意識で自由に演じられた気がします。
◆『螻蛄』では、役に「彼女が出来た」という裏設定を作って演じられていたとうかがいましたが、今回も浜崎に裏設定を作ったのですか?
やりましたやりました(笑)。浜崎は、実は実家がお金持ちで、それが嫌で非行に走り、柿根の目に留まって一緒に行動しだした、というエピソードを自分で勝手に作ったんです。青の革ジャンに青の革靴というおしゃれな衣装も、お金持ちのイメージに結びついたポイント。きっと毎日美容院で髪をセットしてもらったり岩盤浴に行ったりして、自分にお金をかけてるんじゃないかなと(笑)。別に誰と答え合わせをするわけでもないんですけど、打ち上げで監督にこの話をしたら、「雰囲気出てた!」とおっしゃってくださったんです。ほかにも監督は「編集作業のときに浜崎が出てくると安心する」とおっしゃってくださってうれしかったです。
◆共演経験のある大東さんとは今回2人芝居が多いですが、コンビネーションはいかがですか?
バッチリです。もしかしたら大東君はやりづらいと思ってるかもしれないですけど(笑)。大東君とは僕が10代のころに初めて会ったので、お互い役者を続けて別の現場で共演できてうれしいです。僕にとって大東君はお兄ちゃんのような存在で、大東君の前だと僕も素でいられますし、まさに柿根と浜崎のような関係性。5話で、浜崎が柿根から「バカ正直なところだけが取り柄だな」とほめられるシーンがありましたが、そこは僕のお気に入りのシーンです。2人の人間味が感じられる唯一のシーンですし、精密機械みたいな柿根が一瞬だけ別の顔を見せる姿がカッコいいんです。大東君ともディスカッションして、すごく楽しく演じられました。
ユナクさんから“地獄の蹴り”を受けました(笑)
◆第6話(5/26)では、ユナク(超新星)さん演じる蜂野との一対一のアクションシーンがありますが、浜崎はナイフを持ちながら戦うとうかがいました。練習や撮影はご苦労されたのではないですか?
ナイフを扱う練習をして、殺陣師の方と話し合いしながら動きをつけていきました。あとは撮影が真冬だったので、ひたすら寒さとの戦いでしたね。ただ、ロケで出てくる豚汁がすごくおいしかったので、それを楽しみに…。いや、それじゃ豚汁のために撮影してる役者になっちゃうな(笑)。それが楽しみの“1つ”でした(笑)。
◆(笑)。ユナクさんとのアクションはいかがでしたか?
最初は2人とも気を遣っていたんですが、途中からは“戦友”のような感じでした。不思議なことに、殺陣を一緒にやるとお互いのことを意識し合うのですぐに仲良くなれるんです。ただ……ユナクさんは強い(笑)。ユナクさんからの蹴りは地獄の蹴りだと思っています(笑)。多分、今までで一番強い蹴りだったんじゃないかな。ちょうどそのとき見学に来てた大東君も、僕の耳元で「大丈夫だった?」ってめちゃくちゃ心配してたぐらいですから(笑)。ユナクさんはすごく優しい方なのでカットがかかったら「ごめんごめん!」と気遣ってくださったんですが、僕は証拠を残すためにメイキングのカメラマンに「今撮って!」と必死にアピールしていました(笑)。そんな感じでアクションシーンもわりと和気あいあいとしていたので楽しかったです。
もう一度恋愛ものを演じてみたいです
◆佐野さんは中学生で役者デビューし、現在28歳。純愛ドラマから今回のようなアウトロー作品まであらゆるジャンルの役に挑戦してこられましたが、ご自身の芸能活動を振り返ってみていかがですか?
気づけばデビューから13年経ってた、みたいな感覚です。すごくあっという間でしたが、お芝居に対する価値観がこの13年でかなり変わりました。僕は15歳で役者のお仕事を始めたので、最初は仕事とプライベートの境目がなかったんです。お芝居が部活のような感覚のときもあったぐらいで。そこからお芝居を仕事と捉えるまでは自分の中ですごく大変でした。同時に今自分がこうして役者を続けられるのは1人でできることじゃないということにも気づきましたし、自分の作品を見てくださった方から「感動したよ」「笑ったよ」と言っていただくと、役者としてももちろんですが、1人の人間としてすごくうれしいし、こんなすてきな仕事はほかにないんじゃないかなって思うんです。だから、これからも役者を続けていくためにも、もっとお芝居を研究して成長し続けたいです。
◆今後挑戦したい役などはありますか?
何にでも挑戦したいという姿勢は昔から変わりませんが、最初は恋愛ものが多く今は悪い役も増えてきたので、最近はまた恋愛ものをやりたいと思うようになりました。きっと同じ恋愛ものでも、今と昔じゃ表現の仕方も全然違うと思うんですよね。ただ、逆に今のほうが演じるのは難しいと思います。昔は分からないことだらけでただ言われたことをやるだけだったんですが、今は自分の中での選択肢も増えて、どう見せるべきかきっと悩むはず。でも、それはそれで楽しそうですし、ステップアップのチャンスですよね。
◆では、最後に、ドラマを楽しみにしている視聴者の方に向けてメッセージをお願いします。
『バウンサー』はアクションをすごく楽しめる作品です。物語後半は浜崎のアクションの見せ場も増えますし、アクションだけではなく浜崎の繊細な部分も感じていただけたらうれしいです。スピード感のある物語なので、ぜひ最後までその波に乗って楽しんでください!
■PROFILE
佐野和真
●さの・かずま…1989年4月28日生まれ。神奈川県出身。A型。
俳優として、ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。これまでの出演作は、ドラマ『砂時計』(07年)、映画「ガチバン」シリーズ、「近キョリ恋愛」(14年)、「全開の唄」(15年)ほか多数。
公式ブログ:http://ameblo.jp/kazuma-sd/
■作品情報
BSスカパー!オリジナル連続ドラマ『バウンサー』
BSスカパー!にて毎週(金)後9・00放送<全10話>
※OA情報は変更になる場合があります。
公式サイト:https://www.bs-sptv.com/bouncer/
ドラマ公式ツイッターアカウント:@sptv_bouncer
<出演>
平埜生成、ユナク(超新星)/大東駿介、テイ龍進、駒木根隆介、TAK∴、佐野和真/寺脇康文/村上淳 ほか
<スタッフ>
原作:みずたまこと(秋田書店刊「別冊ヤングチャンピオン」連載中)
総監督:熊澤尚人(映画「ユリゴコロ」「近キョリ恋愛」「君に届け」「おと・な・り」ほか)
脚本:まなべゆきこ(映画「オオカミ少女と黒王子」「近キョリ恋愛」ほか)
制作:スタジオブルー
公式HP:https://www.bs-sptv.com/bouncer/
©みずたまこと(別冊ヤングチャンピオン)2015/スカパー!・スタジオブルー
●photo/中村圭吾 text/金沢優里