園子温の完全オリジナル脚本、監督の『東京ヴァンパイアホテル』が6月16日(金)よりAmazonプライム・ビデオで全9話独占配信スタート。強大な力を持つKを演じる夏帆さんと、謎の男・山田を演じる満島真之介さんに、撮影のエピソードや作品の見どころについてお話を伺いました。
撮影期間中は夢の中にいるような感覚でしたがこの作品に参加できて本当によかったです(夏帆)
一度深く関わった園さんと役者と監督という立場でもう1度作品を一緒に作ることができて喜びにあふれています(満島)
◆本作のオファーを受けた気持ちを教えてください。
夏帆:以前、『みんな!エスパーだよ!』で園子温監督とご一緒させていただいたんですが、また園さんからお声をかけていただいたことに、まず驚きました。それと同時にすごくうれしかったです。園さんが全編オリジナルの脚本と監督を手掛けるのは今までになかったので、その作品に参加できるというのは「これはやるしかない!」と思い、参加させていただきました。
満島:園さんから「一緒にやりたい作品がある」ということで、直接連絡を頂きました。僕は園さんの助監督をやっていた経験があったので、「まさか」とは思ったんですが、人生で一度深く関わった方ともう1度違う立場でしっかりとした作品を作れるという喜びが本当に大きかったです。
◆それは、感慨深いものがありますね。
満島:とても感慨深いです。役者を始めて6年ぐらいたって、園さんと「いつ一緒に作品を作れるだろうか」「役者になったことに対してどう思っているのか」とか、いろんな意味でもう1度お話ししたかったので…。園さんは、昔からヴァンパイアをテーマにした作品を作りたいと聞いていたので、今このタイミングで作品の中心にいられるのは願ってもかなうものではないので喜びにあふれています。
夏帆:そうなんですね。私も自分自身がちゃんとできるか不安はあったんですけど、この作品は間違いなく面白い作品になるという予感はありました。ふたを開けてみれば現場はすごく大変でしたが、この作品に参加できてよかったなと思います。
◆現場がすごく大変だったとおっしゃっていましたが、実際に演じてみていかがでしたか?
満島:最初に台本をもらった段階では、ベースしかなくて未完成でした。僕が演じた山田も、夏帆ちゃんが演じたKもどこに行きつくんだろうかと。山田は、どこから来たのか、何者なのか…という素性も全く分からない。そんな中、いろいろな可能性を監督と模索していて、髪形を「ドレッドはどうですか」と提案して。そこから衣装や身に着けるアクセサリーなども派生していって決めました。そこでキャラクターの核が出来た気がします。
夏帆:私の演じたKの髪形も何パターンか試しました。最初はロングヘアに赤髪だったのが…最終的には地毛のこの髪形に(笑)。現場で生まれたアイデアを大事にして、その場でキャラクターを作った感じはありましたね。
満島:園さんも僕らの動きや顔つきからインスピレーションを受けて言葉やカットが浮かんできたりしてたもんね。スタッフやキャストが密に参加している力強さがあったよね。
夏帆:そうですね。アクションも何場面かあったんですけど、特に山田(満島)との対決が大変でした。ある種、このドラマのクライマックスの1つでもあるし、すごく大事にしたいシーンではあったんですけど、撮影と同時進行でアクションの練習をしていたので、練習する時間もなくて…。
満島:そもそも対決があることも知らなかったよね!
夏帆:台本にはひと言「Kと山田戦う」のみでした(笑)。
満島:そうだった! だから、お互いにどんな戦いになるかも分からなかった。
夏帆:台本からどんな戦いになるかくみ取れないので、現場で何が起こるのか、この先どうなるのかも分からないときもあって。ラストシーンは何回か変わりましたよね。
満島:日々、いろいろと変更があります。どんな状況であろうとスタッフとキャストが1つになって乗り越えていくのが、園さん現場では当たり前のこと。自分の役も、相手のことも、作品全体も愛しているからこそ現場では常にアンテナをフル稼働させて取り組んでいました。
夏帆:ほとんどセットでの撮影だったので、今何時なのか、自分がどこにいて何をしているのか分からなくなっていって…なんだか不思議な感じでしたね(笑)。
◆すごい現場ですね。作品を拝見しましたが、映像がすごく美しくて映画を見ているように感じました。
満島:監督は映画のつもりで撮っています。とても充実感があった現場だなって思います。
夏帆:でも当時は正直言ってつらかったです…。アクションも刀を使って、銃を使って…と今までに見たことのない独特なアクションの動きをしなきゃいけないし、時間もないし…で、監督もスタッフもキャストもみんなギリギリの状態で撮影していたので、現場も異様な感じでしたよね。
満島:何かが切れたら全部が崩れそうな感じがしたね。
夏帆:そんな綱渡りの状態で撮影は進んでいきましたけど、だからこそ出来上がった作品だと思います。今思えば、あの撮影期間中は夢だったんじゃないかって(笑)。
満島:魔法の中にいるような感じ。
夏帆:でも出来上がった作品を見てびっくりしましたよね。現場が大変でも作品が素晴らしいとすべて忘れてしまうんですよ(笑)。
満島:こんな画が撮れていたんだとか、映っているのが自分ではないような。命を吹き込んでくれた監督に感謝です。
◆最後に作品の見どころを教えてください。
満島:映像を誰でも作られる時代になり、皆さんもあふれんばかりの情報から選択して映像と触れている中で、この作品はどのカテゴリーにも入らない、日本の新しいエンターテインメント作品になっていると思います。
夏帆:確かに、誰も見たことがない作品になっていますよね。1話から勢いがありますけど、後半からはさらにいろんな人が絡み合ってくるので、怒涛の展開が待っています。
満島:まず見てほしいよね。
夏帆:私たちが説明するより見ていただいたほうがいいと思いますので、とにかく1話見てください!
■PROFILE
●かほ…1991年6月30日生まれ。東京都出身。2003年よりCMに出演しデビュー。その後も数多くのドラマ、映画作品に出演している。現在公開中の映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」に岸美晴役として出演中。また、ドラマ『架空OL日記』に出演中。
公式サイト:http://official.stardust.co.jp/kaho/
●みつしま・しんのすけ…1989年5月30日生まれ。沖縄県出身。2010年、舞台「おそるべき親たち」で俳優デビュー。その後も俳優として多数の作品に出演しており、映画「忍びの国」、「三度目の殺人」の公開が控えている。現在、ドラマ『ボク、運命の人です。』に定岡光圀役で出演中。
公式サイト:http://www.humanite.co.jp/actor.html?id=14
■作品情報
Amazonオリジナル
東京ヴァンパイアホテル
6月16日(金)よりAmazonプライム・ビデオで独占配信
総監督・脚本:園子温
出演:夏帆、満島真之介、冨手麻妙、神楽坂恵、安達祐実ほか
<ストーリー>
22歳の誕生日を迎えるマナミ(冨手麻妙)。彼女を付け狙う謎の吸血鬼たちから、強大な力を持つK(夏帆)はマナミを怒涛の戦いで守ろうとする。また、謎の男・山田(満島真之介)と奇妙な女帝(安達祐実)とエリザベート・バートリ(神楽坂恵)が取り仕切っているホテルでは、若い男女が集められ自分たちの餌になるように命令するが…。かくして、人類そして吸血鬼たちの存亡をかけた戦いが始まり、人類は生き残り続けることができるのか。なぜマナミは狙われているのか、そしてKの運命は――。
©2017NIKKATSU
●photo/金井尭子 text/宮西由加 styling/望月 唯(SUN’S&RAINBOW)(満島)衣装協力/ロエベ(夏帆)