『デジモンアドベンチャー』テレビ放送開始から15周年を記念して、シリーズ最新作であり、初代『デジモンアドベンチャー』の続編となる新シリーズ『デジモンアドベンチャー tri.』(全6章)の第5章「共生」が9月30日(土)より劇場上映される。この第5章で物語の中心となる八神ヒカリ役のM・A・Oさん、テイルモン役の徳光由禾さん、望月芽心役の荒川美穂さん、メイクーモン役の森下由樹子さんにインタビュー。「デジモン」への思いとともに、最終章を前にさらに怒とうの展開を見せる第5章の見どころを語ってもらいました。
◆テレビシリーズからテイルモンを演じている徳光さんは、「tri.」で「デジモンアドベンチャー」が10数年ぶりに復活することを知ったときはどんな気持ちでしたか?
徳光:とてもうれしかったんですけど、当時テイルモンは私にとって挑戦の役で、すごく難しい役だったんです。なので、時間がたってもう一度テイルモンを演じられるかということはすごく不安に思いました。でも、やろうと決めてからは、「デジモン」が始まることのほうが大きなことなので、ただ一生懸命やろう!と思いました。
◆どんなところに難しさを感じていたのですか?
徳光:クールで強くてかっこいいテイルモンという設定だったので、自分がそれまで演じてきた役とまったくかけ離れているし、自分自身ともまったくかけ離れている役なので(笑)、かっこいいってどういうふうに演じるの?というところが本当に難しかったです。
◆「tri.」で再び演じるに当たって、スッと役に戻れましたか?
徳光:ずっとヒカリの名前を呼び続けてきたので、やっぱりヒカリという名前を呼ぶとテイルモンになるというか、自然に自分の中にいるという感じはしました。パートナーの名前を呼ぶことが、大きなスイッチになっている感じですね。
◆M・A・Oさん、荒川さん、森下さんは「tri.」から参加されましたが、出演が決まったときの気持ちを教えてください。
M・A・O:ヒカリ役に決まったという連絡をいただいたときは喜びと同時に、私がヒカリ役で「大丈夫かな」という不安もありました。ですが、「デジフェス」などでファンの皆さんと直接お会いしたときに温かく迎え入れてくださって、本当に嬉しかったです。
荒川:芽心役に決まったという連絡をいただいた時点では、新しいキャラクターだという情報しか聞いていませんでした。
「デジモンアドベンチャー」という子供のころすごく好きだった作品に携わらせていただく喜びはあったんですけど、どうなっていくんだろうと、最初は実感が湧かずにいました。
実際に台本をいただいたり、お話が進んでいくにつれて、“選ばれし子どもたち”の1人で新しいキャラクターということで、そこからまた緊張感が増してきました。
でも、M・A・Oさんもおっしゃっていたように、昨年初めて「デジフェス」に参加させていただいたときに、新しいキャラクターである芽心、メイクーモンの私たちもファンの方々が温かく迎えてくださったので、とてもありがたかったです。
森下:私もオーディションを受けさせていただいたときは“選ばれし子どもたち”の1人で受けさせていただいたんです。そのときは芽心とメイクーモンというキャラクターがいることを知りませんでした。私も「デジモンアドベンチャー」を見ていたので、メイクーモンに決まったときに、デジモン!?私が?と思って、とてもウキウキしたりしながら観返していました。
◆新しいキャラクターとして参加するに当たって、役作りに関して意識したこと、大切にした部分はありますか?
M・A・O:ヒカリに対しては、はかなさがありつつも、しっかりとした芯を持っているという印象だったので、そこを崩さないように大事にして演じさせていただこうと思いました。
◆ヒカリは大変ですよね。乗っ取られたりして。
M・A・O:ホメオスタシスさんが降りてこられて…。
全員:(笑)
M・A・O:あのシーンもいろいろなテイクがありまして、ヒカリじゃない声でも収録させていただいたんです。降りてくる(乗っ取られる)ときの無感情なところなど、注意して演じさせていただきました。
荒川:芽心は第1章の時点では私自身も分からないところがあったんです。でも、彼女も強さを持っていることが少しずつ見えてきました。それから、彼女の抱えているものが重く、どうしても暗くなりがちだったので、あまり暗くならないようにと意識して演じているんですけど、難しいです。
鳥取弁ということもあったので、そちらも指導していただきながら一生懸命練習をして役に向かっています。
森下:メイクーモンは謎が多く、トラブルメーカーでもあるのですが、本人は気持ちは赤ちゃんみたいに純真無垢なので、芽心に母親のように依存していて、ママに甘える幼子という感じを意識していました。
◆メイクーモンは第5章まできても謎が多いですが、演じるのは難しいのでは?
森下:私も先の内容などやメイクーモンの詳しいことは、ほとんど教えて貰っていないんです(笑)。
全員:(笑)
森下:自分がどういう感じなのかはメイクーモン自身も分かっていないので、気になるんですけど我慢して聞かないようにしています。
演じるに当たっては、芽心がメイクーモンの中でカギになっていて、常に心に芽心の存在を感じながら…というのは心がけています。
◆パートナー同士の絆の強さを感じますが、初めて2人でアフレコしたときはいかがでしたか?
徳光:M・A・Oちゃんを見た時に、かわいらしい子でキラキラしたオーラがあって、マイクの前に立った姿がすごくきれいでした。
そこに1つの芯がスッと通っている。この子はいったい何歳なんだろう?っていうくらい落ち着いていて、安心できる人だなと感じました。
◆M・A・Oさんはいかがですか?
M・A・O:「ヒカリ」と名前を呼んでいただくことに感動しました。章を経ていくごとにアフレコを通じてだんだん距離が縮まっていくような感じがして、すごくうれしかったです。
荒川:私たちは身長が20センチ違って、見てのとおり凸凹コンビなんですけど(笑)、読み合わせで初めてあいさつをしてから段々と、結束が深まってきていると思います。各章の試写の上映のときも、タイミングを合わせて一緒に行ったり、プライベートでも遊んでいて、すごく話しやすいので、「デジモン」のことはよく相談する仲です。
お芝居しているときは、最初のメイクーモンはすごくかわいい感じなのに、メイクラックモンになって…
森下:ゴジラになる(笑)
全員:(笑)
荒川:そうなんです(笑)。あのビジュアルは、たしかに女性的なかたちではあるんですけど、すごくかっこいい迫力のある声が出るギャップがすごいなって思っています。
森下:最初にお会いしたとき、荒川さんは見た目どおりの上品で清楚な印象でした。第1章の収録後に、その時はまだお互いに敬語で、待ち合わせて一緒に行きますか?みたいな感じで「デジフェス」を見に行ったんです。その帰りに、私、趣味ゲームなんだ~って言ったら、ミホティ(荒川)が、え!じゃあこれからゲームセンターに行かない?って言ってくれて!
全員:(笑)
森下:ええ!?ぜひ行こう!ってゲームセンターに行って意気投合しました(笑)
荒川:一緒に行きましたね(笑)
森下:現場でもハンカチを貸してくれたり、なにかとお世話をしてくれるので、もうお母さんだと思っています(笑)。
◆まさに芽心とメイクーモンのようですね(笑)。徳光さんは成長した“選ばれし子どもたち”をご覧になったときはどんな印象を持ちましたか?
徳光:本当に何だかお母さんみたいな気持ちですけど、大きくなったねえって(笑)。
全員:(笑)
徳光:でも、それぞれあの頃の面影が残っていて、特にヒカリちゃんの声を聞いたときは、あのころのヒカリが残っているように感じて、懐かしくなったのと、お姉ちゃんになったと思いました。
◆森下さんは「tri.」で唯一のデジモン新キャストですが、いかがでしたか?
森下:「デジモンアドベンチャー」を見て育ったので光栄でしたが、大丈夫だろうか?ってドキドキしていたんです。でも、最初にスタジオで皆さんにお会いしたとき、よろしくねー!一緒にやっていこうね!と仰ってくださって。先輩たちが胸を貸してくださったので、すごく嬉しかったです。
第1章が始まる前までが一番ドキドキしていたような気がしますね。素敵な現場です。
◆最終章を前に物語も佳境のはずが、第5章でもまた怒とうの展開となりました。最初に台本を読んだ時の感想を教えてください。
徳光:あまりに衝撃的な結末で、理解するまでに時間がかかりました。もうどこにも落としどころがないし、悲しすぎるって思いました。
M・A・O:後半にかけて怒とうのようにいろいろなことが起こっていく中で、ヒカリ個人として一番やわらかいところをグサリと刺されたようなところがあったので、とても切ない気持ちになりました。
荒川:芽心の衝撃的なセリフが出てきて…。そのセリフにどのように気持ちを持っていったらいいのかというのは、台本を読みながらすごく考えました。でも、考えただけでは分からないというか、きっと収録のときには皆さんのお芝居に影響を受けて変わる部分もあるかなと思いながら読んでいったんですけど、芽心自身もそのセリフにすぐにたどり着けるはずはないと思っているので、やっぱり迷いました。
ちょっと乗り越えたかなと思ったらつまずいて、という感情のゆらぎというのがとても多い章になったなと思っています。
でも、彼女なりには悲しいだけじゃない、決意のようなものを私は感じたので、逃げられないなと思いました。
森下:芽心のことが心配になってしまいましたね。つらいだろうなと思いました。メイクーモン自体はもう意識があったりなかったりで、グルグルッと苦しんでいる感じなんですけど、仲間だって思ってくれている“選ばれし子どもたち”も戦うのはつらいだろうし。そのあとの展開も衝撃でした。
◆これまでの「tri.」には語りたくなる名シーンがたくさんありましたが、好きなシーンを教えてください。
徳光:私がヒカリちゃんとグッと近づいたかなと思うのは第3章です。それまでのテイルモンは、自分がヒカリを守らなきゃって思っていたんですけど、「tri.」に関してはすごくたくさんテイルモンのかわいらしい姿が描かれていて。その中でも、やっぱりショッピングに行ったり、アイスを食べたり、写真を撮ろう、とテイルモンからヒカリに言うなんてっていう(笑)。そこでM・A・Oちゃんともグッと気持ちが近くなったので、あのシーンが忘れられないし、それぞれのパートナーもすごくきれいに描かれているので、思い出に残っています。
M・A・O:私も第3章のテイルモンとのシーンは本当に思い出深いです。リブートをすると覚悟を決めて、みんながそれぞれのパートナーと思い出を作って行く中で、徐々に感染が進んでいってしまう悲しさがありました。
そのあと、第4章で、またデジモンたちにデジタルワールドまで会いに行って、ニャロモンがホイッスルと同じ安心するにおいがする~と言った時は、よかった、覚えていなくても何か感じてくれるものはあるんだという嬉しさがありました。第3章、4章はすごく印象に残るシーンが多いです。
荒川:芽心の視点で観ていると、感染したパタモンとタケルくんのやりとりで、やっつけて、というセリフがのちにすごい響いてくるなと思いました。あと、リブート後のガブモンがヤマトさんのことをヤマト…くん…と言うのがかわいすぎて(笑)
全員:かわいかった!
荒川:あのセリフよかったですよね。芽心とメイクーモンのやりとりだと、第4章でメイちゃんがいい子だったから好きだったんじゃない、どんなメイちゃんでも好きだということを言ってぶつかり合うシーンがすごく好きです。
森下:私も第4章の芽心とのぶつかり合いのシーンは思い出深いですです。監督からも、母と子のけんかだと思って演じてくださいと言われて。だだっ子とそれを叱る母さんっていう親子げんかみたいな。あの芽心とメイクーモンの絆からのこの第5章なのでつらいんですけど…。
◆第5章の見どころはどんなところになりますか?
M・A・O:第5章まできた“選ばれし子どもたち”が揺れている芽心ちゃんの気持ちを理解して、はげまそうとするシーンはとてもすてきだなと思いました。ここまで歩んできたからこそ、というシーンだと思います。
徳光:太一と芽心、芽心とアグモン、アグモンと太一のシーンは本当に泣いてしまいました。第5章は今までで一番つらい内容でしたけど、見どころはそこなんですよね。
荒川:各章を通じて“選ばれし子どもたち”がそれぞれ壁にぶつかって、それを乗り越えて成長してきて、俯いてしまう芽心に手をさしのべてくれたので、彼女はその都度前を向くことができたのだと思います。第5章で本当に追い詰められたときに、太一さんが太一さんらしく引っ張っていってくれる、リーダーシップみたいなところが見えるシーンは恰好良くて印象的です。
あとはデジモンたちのバトルシーンも迫力があって、目が離せないです!後半は特にすごいですよね。
森下:デジモンたちがかっこいいですよね。全力でのバトルのシーンがすごくかっこよくてキュンキュンしました。
◆それでは第6章に向けての意気込みをお願いします。
徳光:必ず仲間を救えると信じているし、皆さんには幸せな未来を走っていってほしいなと思うので、ハッピーエンドを信じています!
M・A・O:小さいころからいろいろな壁をみんなで乗り越えて強くなってきた方たちなので、今回の第5章もみんなで一つになって乗り越えて、あのころはあんなこともあったよねと話せるように明るく終わってほしいです。
森下:第5章は本当に辛いことがたくさんあるのですが、みんななら乗り越えていけると信じています!敵も本当に強くてもう、はらはらします……。最終章である第6章がどうなるのかとても楽しみです。
荒川:私自身はもう全力でぶつかるのみと思っているのですが、どんな結末であれ、この“選ばれし子どもたち”の皆さんならきっと力を合わせて乗り越えられると思っています。すごくつらいんですけど、絶対に得るものがあるというか。作品を通じていろいろ感じるところがあって、きっと何か皆さんの心に残る答えが待っていると思うので、楽しみです。
■映画情報
『デジモンアドベンチャー tri. 第5章「共生」』
3週間限定劇場上映/劇場限定版Blu-ray 先行発売/先行有料配信
9月30日(土)同時スタート
上映館:札幌シネマフロンティア、MOVIX 仙台、新宿バルト9、渋谷TOEI、T・ジョイPRINCE 品川、横浜ブルク13、MOVIX さいたま、T・ジョイ蘇我、シネシティザート、TOHO シネマズ 浜松、109シネマズ名古屋、梅田ブルク7、T・ジョイ京都、広島バルト11、T・ジョイ博多、鹿児島ミッテ10
一般販売版Blu-ray&DVD 11月2日(木)発売
<ストーリー>
パートナーである望月芽心がゲンナイの姿をした謎の男に傷つけられるのを見て、
メイクーモンは再び暴走をはじめる。
「お前は生まれてきてはいけなかった…」
現実世界へ消えたメイクーモンこそ、歪みそのもの。あまりに大きな力を持ち過ぎた、世界を壊す鍵―
西島大吾と望月教授のもとに現れたハックモンが、真相を明らかにしていく。
世界の調和を保とうとするホメオスタシス自身が、今や強大すぎる存在となったメイクーモンを危険とみなし、切り捨てようとしているのだと。
暴走するメイクーモンの出現により、現実世界崩壊へのカウントダウンがはじまる。
いたる所で次々と異変が発生。歪みを通して現れたデジモンたちは、その時が来るのを待ちうける―
選ばれし子どもたちは、変調をきたしたデジタルワールドから疎外され、現実世界に戻ってきてからも、
パートナーデジモンと共にいるがゆえに人々に追われる。一同が孤立無援となりながらも必死に打開策を探る中、ひとり思い悩み続ける芽心。
あまりにも大きな荷を負い、打ちひしがれる彼女には、仲間やデジモンたちの声も届かない…
そして、過酷な運命は、誰よりも真っすぐで繊細な魂を持つ八神ヒカリのもとにも迫っていた―
今、再び 冒険が進化する―
<キャスト>
八神太一:花江 夏樹 アグモン:坂本 千夏
武之内空:三森 すずこ ピヨモン:重松 花鳥
石田ヤマト:細谷 佳正 ガブモン:山口 眞弓
泉光子郎:田村 睦心 テントモン:櫻井 孝宏
太刀川ミミ:吉田 仁美 パルモン:山田 きのこ
高石タケル:榎木 淳弥 パタモン:松本 美和
城戸丈:池田 純矢 ゴマモン:竹内 順子
八神ヒカリ:M・A・O テイルモン:徳光 由禾
望月芽心:荒川 美穂 メイクーモン:森下 由樹子
西島大吾:浪川 大輔
姫川マキ:甲斐田 裕子 ほか
<スタッフ>
監督:元永慶太郎
シリーズ構成:柿原優子
キャラクターデザイン:宇木敦哉
公式サイト:http://digimon-adventure.net/
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