新垣結衣×瑛太インタビュー「本番ではいろいろ仕掛けてみました(瑛太)」映画「ミックス。」

特集・インタビュー
2017年10月20日

恋と卓球に情熱を注ぐ、異色ロマンティックコメディ「ミックス。」。今作でW主演を務めた新垣結衣さんと瑛太さんは、何とこれが初共演。しかし、そんなことを微塵も感じさせない息の合ったお2人に、作品の魅力、撮影中のエピソードをたっぷりと伺いました!

瑛太さんが演じる心の優しいハギに、私もどんどん引き込まれていきました(新垣)
ガッキーのいろんな魅力を引き出したくて、本番ではいろいろ仕掛けてみました(瑛太)

「ミックス。」

◆『ミックス。』は卓球で混合ダブルスを組むスポーツものに恋愛要素が組み合わさった、熱血かつハートフルな作品です。設定を聞いた時はいかがでしたか?

新垣:純粋に面白いなと思いました。混合ペアも男女の息が合っていないとうまくいきませんし、そこにラブストーリーが絡むことで、多満子とハギ(萩原)の関係性も普通の恋愛映画とは違った描き方がなされている。そこが新鮮ですてきだなって。

瑛太:“卓球”という、あまり映画の題材として取り上げられることのないスポーツを描いているところも面白いですよね。ただ僕自身は、あまり真剣に卓球をした経験がなく、それでいてサウスポーという設定でしたので、最初はどうしたらいいんだろうと悩みました。

新垣:確かに、卓球のシーンは大変でした。私が演じた多満子も元天才卓球少女という役柄でしたので、動きがプロっぽくないといけなくて。試合シーンのボールは主にCGなんですけど、動きがうそにならないように、みんなで撮影の前から練習をして。

瑛太:1か月ぐらい練習したよね。

新垣:おかげで筋肉痛になりました(笑)。

瑛太:でも、実際にやってみるとすごく楽しいんです。僕は用意してくださった練習の場とは別に、個人的に近所の卓球クラブにも通って。それだけはまっていたこともあって、完成した映画を見ると、「あ~、体の重心が少し後ろにいっているかな」とか、細かいところがすごく気になってしまいました。

◆映画は、それぞれ人生のどん底にいる2人が偶然出会うところから始まります。実際お2人はこの作品が初共演だったそうですが、撮影をしながら少しずつお互いの関係性を築いていったのでしょうか?

新垣:いえ、実はそこは瑛太さんのおかげで、すぐに距離感を近づけることができました。

瑛太:そうなんです。というのも、2人での最初の撮影が、電車の中で多満子とハギが出会うシーンだったんですね。他に共演者もいなくて、せっかく2人きりだったので、この機会にいろいろ知ろうと思って、空き時間にガッキーを質問攻めにして(笑)。

新垣:いろいろ探られましたね(苦笑)。

瑛太:同時に、僕のことも知ってもらおうと、僕が普段どんな気持ちで役者の仕事をしているのかといったことも、気持ち悪いぐらいに力説したんです(笑)。そしたらガッキーに、「これって、打ち上げの二次会とかで話すような内容ですね」って言われて。

新垣:びっくりしましたね。お酒を飲んで気持ちがほぐれた時に話すようなことを、シラフで、しかも撮影の初日に電車の中でされたので。

「ミックス。」

◆質問攻めというのは、どんなことを聞かれたんですか?

新垣:たわいもないことばかりでしたよ。休みの日はどんな過ごし方をしているのか…とか。
瑛太:結局、全部うまくかわされましたけどね(笑)。

新垣:かわしてないです!(笑) でも、こうした経験って今までなかったので、すごく新鮮でした。それに瑛太さんがこの作品に懸ける熱量も伝わってきましたし、私もそれに応えようという気持ちになれたので、あの時にお話しできたことは本当によかったなと思いました。

◆では、お互いの役の印象についても教えてください。

瑛太:ハギの目線で言えば、最初は多満子がどんな女性なのか分からないまま物語が展開していくので、ずっと探っているような感じでした。多満子はたまに感情的になる時もあるので、そんな彼女を見て、“今はどういう気持ちなんだろう”とずっと考えているような。その一方で、多満子の真っすぐさに惹かれるところもあって。瀬戸(康史)君演じる江島との恋の話を聞いた時も、“しっかり決着つけなきゃダメだよ”って仲間として背中を押しつつ、実はそのころからハギは多満子に気持ちが動いていたような気がします。ただ、多満子は卓球クラブのみんなと試合に向けて頑張ろうって言ってる席で、江島との恋愛のことに頭がいってしまうんです。そこは、“多満子ってダメだなぁ”って思いましたね(笑)。

新垣:多満子にも彼女なりの気持ちがあるんですよ(笑)。いろんな複雑な思いが。

瑛太:だと思う。だから僕も、“きっと男には分からない気持ちがあるんだろなぁ”と思って映画を見てた(笑)。

◆(笑)。そんな多満子から見たハギはどう映りましたか?

新垣:ハギはとにかく優しいですね。2人の出会い方は本当に最悪でしたけど(笑)、私も彼のことを知るほどに、人間的な魅力に引き込まれていきました。先ほど瑛太さんが話してくださった江島との恋の決着にも付き合ってくれて、バカにされた多満子をかばってくれたりもする。そうした言動の1つひとつから優しさが感じられましたね。

「ミックス。」

◆この映画はドラマ『リーガルハイ』シリーズの石川淳一監督と脚本家・古沢良太さんによる作品となっています。実際に出演されてみていかがでしたか?

瑛太:いい意味で余白のある台本だなと感じました。いくらでもやりようがあるというか、役者の力量を試されてるようなところがあって。それだけに、現場でも冒険のしがいがありました。

新垣:確かにそうですね。私がお2人の作品に出るのは『リーガルハイ』以来になるんですが、『リーガルハイ』の時は、台本を読むとすぐに役やシーンのイメージが頭に浮かんできたんです。でも今回は、撮影現場に入って初めて気づかされることやいろんなアイデアがわくことが多かったですね。

◆“冒険”というと、アドリブも多かったのでしょうか?

瑛太:ト書きにないことをしたという意味ではアドリブに近いかもしれません。ただ、事前に仕掛けを考えていくということはなく、そのときどきで生まれる感情を素直に出していったんです。2人の会話のシーンにもいろんな動きを入れてみたり。

新垣:腕をつかんできたり、時には顔をわしづかみされることもありましたが(笑)、でも瑛太さんが考える動きにはすべてに意味があるんですよね。それに、瑛太さんはそうした行動を、遠慮のような距離感を作らずに演じてくださるんです。ですから、私も多満子として自然に対応することができました。

◆そうした台本にない動きは、撮影の最初のころから自然と生まれていったものなんですか?

瑛太:そうですね。ガッキーって作品ごとにいろんな表情を見せてくれる女優さんなので、僕も初めて共演するにあたって、今までみたことのない演技を引き出してみたいなって、最初から思っていたんです。あとは……監督が撮影中、ガッキーのことしか見てないから、その横で僕は自由にできたというのもあります(苦笑)。

新垣:そんなことないですって(笑)。瑛太さんを自由にしていたのは、それだけ監督が信頼していたという証拠ですよ。

瑛太:そうなのかなぁ。そうだといいですね(笑)。

◆では最後に、映画をご覧になった感想を教えてください。

新垣:見終わった後に、とても気持ちよくなれる作品だなと感じました。撮影中も、見たほうが元気になったり、少し背中を押してあげられるような作品になればいいなと思っていたのですが、まさにそうした内容になっていたので、うれしかったですね。

瑛太:僕は、自分より先にガッキーが見ていたので、関係者の方にどんな感想だったかを尋ねてみたんです。そしたら「私は好きな映画です」と言っていたと聞いて。そのコメントが本当にすてきだなって思ったんですよね。僕も大好きな映画だなと素直に感じましたし。それに、台本を読んだ時にも思ったことですが、最後のガッキーのモノローグが本当に素晴らしくて。完成した映画を見ても、思わず涙が出るほどでしたので、皆さんも期待してご覧いただければと思います。

 

■PROFILE

新垣結衣
●あらがき・ゆい…1988年6月11日生まれ。沖縄県出身。A型。
映画「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」が2018年公開予定。最近の話題作に『逃げるは恥だが役に立つ』など。

瑛太
●えいた…1982年12月13日生まれ。東京都出身。B型。
映画「光」が11月25日(土)より公開予定。2018年の大河ドラマ『西郷どん』に大久保利通役で出演。18年5月に主演映画「友罪」が公開。

 

■映画情報

「ミックス。」
10月21日(土)より全国東宝系にて公開

<STAFF&CAST>
監督:石川淳一
脚本:古沢良太
出演:新垣結衣、瑛太、広末涼子、瀬戸康史、永野芽郁、佐野勇斗、田中美佐子、遠藤憲一ほか

<STORY>
イケメン彼氏を若い女に取られ、逃げるように実家の田舎に戻って来た、かつての天才卓球少女・多満子(新垣)。自分の青春をささげた卓球クラブに再び足を踏み入れた彼女は、そこで出会った萩原(瑛太)と共にミックスを組むことに…。

©2017『ミックス。』製作委員会
 
●photo/干川 修 text/倉田モトキ hair&make/藤尾明日香(kichi inc.)(新垣)、KENICHI(eight peace)(瑛太) styling/道券芳恵(新垣)、猪塚慶太(瑛太)

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