放送中の連ドラ『コウノドリ』で俳優デビューを飾った宮沢氷魚さんにインタビュー。演じるのは産婦人科医の父を持ち、星野源演じる産婦人科医・四宮から“ジュニア”と呼ばれてしまうちょっと未熟な研修医・吾郎。自身も元THE BOOMの宮沢和史を父に持つ“ジュニア”として、共感することもあるようで…。
「楽しい!」と感じられている自分にびっくりしました。
◆今作が俳優デビュー。初めてのことばかりだと思いますが、吾郎役を演じてみていかがですか?
始まるまではすごく緊張していて、クランクインの日は、行きの電車でもうガチガチでした。しかも最初に撮ったのが、志田未来さん演じる耳の聞こえない妊婦さんが買い物中に破水して、僕がたまたま通りかかって救急車を呼んでっていう、結構緊張感のあるシーンで。でも逆に“緊張感”を演じるのでなく、自分のリアルな緊張感のままで演じられたので、そういう面ではやりやすかったと、今となっては思えます。スタッフさんもすごく場を盛り上げてくださったので、いつのまにか緊張もどっかに吹っ飛んで「やばい、楽しい!」と感じられている自分にびっくりしました。
◆吾郎に共感する部分はありますか?
すごくあります。吾郎のお父さんも産婦人科の先生で“ジュニア”なんですが、僕もジュニアはジュニアですし。親の仕事とか、プレッシャーに対する嫌な気持ちとかは吾郎も多分感じてるはずだし、それは僕も個人的に感じて来たこと。だから役で悩んだ時は、自分ならどう考えるかな、どう行動するかなと考えます。共通点が多いので、僕のまま演じれば吾郎っぽくなる気もしていて。プラス吾郎はザ・ゆとり世代の医者で、知らないことが多いし、思ったことをすぐ口にしてしまうような子。僕は教育的にはゆとりではないですが、世代でいうと同じぐらいなので、少しはその気持ちも分かるかなと思います。
◆撮影にあたり、お父様と何かお話はされましたか?
父も一時期俳優業をしていたので、クランクインの前に、自分が初めてドラマに出た時の話をしてくれました。初めてで分からないこともあってミスもたくさんしたし、せりふが飛んで、初シーンではNGを出しまくったらしいんです。でもその時は周りの方々が「大丈夫ですから」とサポートしてくれたみたいで。だから僕にも「初めてだからミスを恐れず、持ってるものを全部出して。みなさんベテランだから、カバーしてくれるから」と言ってくれましたね。僕と同じような緊張感やプレッシャーを感じた人のアドバイスというのは、すごくスッと入ってくるというか。気持ち的にとても助かりましたね。
星野さんとのシーンでは、基本怒られてます(笑)
◆撮影現場はどんな雰囲気ですか?
綾野剛さんには、ものすごくかわいがって頂いています。『オールスター感謝祭』のマラソンを走ることになった時には、ランニングシューズはどれがいいかとか、合間に携帯でずっと探してくれたり。「あ、これいい! 氷魚ちょっと来て」って感じで一緒に見たりとか、ホントにすっごく優しい先輩です。1話のマナ(志田)の出産シーンで、吾郎がボードでメッセージを出していたんですが、そこはほとんど素の自分でものすごく真剣にやってたんです。そしたらそれを見た綾野さんが「この吾郎最高!」って言ってくれて。「必死にやってる氷魚が、まさに吾郎にぴったりだから、そのまま行っちゃえ」って言ってくれたんです。綾野さんはご本人が出てないシーンも常にモニターを見て、アドバイスを下さるので、それにいつも救われています。
◆吾郎に厳しく接している四宮役の星野源さんとはいかがですか?
特に1話では「邪魔はするなよ、ジュニアくん」なんて言われたり、基本的に星野さんとのシーンでは怒られてますね(笑)。この間、撮影中に星野さんが「慣れてきた? 現場」と声をかけてくれて、「ごめんね」って謝られたんですよ。「何でですか!?」って言ったら「オレ、ずっと吾郎に怒ってばっかりだから、あんまりいいイメージないでしょ」って気にしてくれていて。見ている方も、四宮先生の吾郎への対応がちょっと理不尽だと思うかもしれませんが、3、4話(10/27、11/3放送)でその理由が分かってくるはず。そこでの出来事を経て、吾郎は産科医としても人としても成長していきます。吾郎としての成長もですし、僕自身としても成長できる回だと思うので、ぜひ多くの人に見て頂きたいです。
■PROFILE
宮沢氷魚
●みやざわ・ひお…1994年4月24日生まれ。雑誌「MEN’S NON-NO」専属モデル。『金曜日くらい褒められたい ワタシ、アップデート』(BS朝日)でレギュラーMCを務める。本作で俳優デビュー。
■番組情報
『コウノドリ』
TBS系
毎週(金)後10・00~10・54
●photo/干川修 text/寺田渓音