岡田結実さんが、テレビ朝日系『私のおじさん~WATAOJI~』((金)後11・15ほか)で連続ドラマ初主演を務めている。演じるのは、過酷なロケバラエティ番組の新人ポンコツAD・一ノ瀬ひかり。ほかの人には見えない自称「妖精」のおじさん(遠藤憲一)の毒舌に感化されながら仕事に奮闘する異色のコメディだ。18歳にして、既に芸歴は17年。昨年から本格的に女優の道へ進め始めた岡田さんにインタビュー。
誰かしら1人にでも感情を届けられる人になりたい
◆昨年は、3月に『静おばあちゃんにおまかせ』でドラマ初出演にして初主演。7月クールには『ヒモメン』があり、お芝居と向き合う時間が多かった1年だったんじゃないですか?
そうですね。『静おばあちゃん』の撮影は2月から始まって1か月くらいだったんですけど、演技ってこんなに楽しいんだなとあらためて思って。でも、こういう機会ってあまりないんだろうなと思っていたら、その後に『ヒモメン』、そして今回『私のおじさん』でこうしてまた主演をさせていただけることになって、本当にありがたいです。
◆お芝居の面白さを再確認できたんですね。
1つの仕事を続けていると、どうしても悩むことって少なくなってくるじゃないですか。けど、役者の仕事ってずっと悩み続けるんです。常に台本と向き合ったり、自分の役と向き合ったりして。少なくとも私が今までやってきた中ではそういう時間が一番多かったので、新鮮でした。
◆やはり撮影中には悩んで、壁にぶつかることもありますか?
もちろんです。自分の未熟さに枕を濡らす日々とかもありました(笑)。
◆そういう時間って苦しいんじゃないですか?
苦しいですね。でも、考えることをやめたら人間終わりだと思うので。それに最後、クランクアップを迎えるとやっぱり寂しいんですよ。それで、悩むのってすごくぜいたくなことで、泣いて枕を濡らす日々もすごくありがたい環境にいるからこそできることなんだなと気づかされるんですよね。
◆そういった中で得た経験は、『私のおじさん』にも生きていますか?
それはありますね。今回、主演でプレッシャーもあるんですけど、『静おばあちゃんにおまかせ』『ヒモメン』の2作でたくさんの人と関わってきたことで、みんなと一緒にこの作品を作り上げていこうという思いがより一層強くなりました。
小さいころから芸能界には入ってみたかったんですけど、役者さんではなく、モデルさんに興味があったんです。一度、役者さんもいいなって時もあったんですけど、結局その思いは眠ってしまって。で、その後、タレント活動を始めて、もちろんその仕事もとても楽しいんですけど、やっぱり役者さんもやってみたいなという思いが芽生えてきて、今に至っています。
◆最初に女優もいいなと思ったきっかけは、何だったんですか?
兄の学芸会です。兄は主役ではなかったんですけど、その作品のキーとなる男の子の役で、泣くシーンがあったんです。私当時まだ小学生だったんですけど、その兄の姿を見て感極まって号泣しちゃって。演技ってこんなに感情を届けられるんだって、そう思ったのがきっかけでした。
◆その思いが、この世界に入って再燃したわけですね。
はい。いろんな作品や役者さんを見る中でまた芽生えてきました。
◆今回演じるひかりはロケバラエティ番組のADですが、岡田さんにとっては身近な存在でしょうし、周りにヒントがたくさん転がっているんじゃないですか?
ADさんは一番身近に接する存在で、どの現場にも必ずいらっしゃるので、やっぱりこの作品が決まってからはカンペの出し方とか、立ち居振る舞いとかをすごく意識して見るようになりました。まずはカメラ横での座り方から真似してみようと思って(笑)。
◆職場の人間関係に悩んだり、言いたいことを我慢したりしてしまうひかりのようなタイプの人は、たくさんいると思います。そういう意味では、共感できる部分もあったんじゃないですか?
そうですね。クランクインの撮影が、仕事で怒られたひかりがトイレに閉じこもったらそこに遠藤(憲一)さん演じる妖精のおじさんがいるというシーンだったんです。ひかりは諦めやすい女の子で、仕事も辞めようとするんですけど、その気持ちをおじさんに見透かされて「君はどこの職場に行っても同じだよ」って言われてしまって。そのセリフが、胸にグサッと突き刺さったんです。きっと私自身の中にも、ひかりと似た節があったからなんですよね。遠藤さんのセリフで、それじゃダメなんだと気づかされました。そういうセリフがこのドラマには結構あるので、ひかりを演じながら毎日すごくヘコんだりしています(笑)。
◆自分自身に言われているような感覚に?(笑)
はい。ひかりだけでなく、私自身も妖精のおじさんに見透かされているんじゃないかと思って(笑)。
◆その中で、ひかりのどんな部分を大切に演じていますか?
私が想像するに、ひかりはきっと今までも友達にも言いたいことを言えずに愛想笑いして、傷つかないように過ごしてきたんだろうなと思うんです。でも、バラエティ番組のADになって、妖精のおじさんから毒舌を浴び、同僚の人たちからは冷たいことを言われ、傷つきながらもその裏にあるいろんな思いや理由を知って、人と関わるということがどういうことなのかを学んでいく。ひかりのそういう新しい発見は大切に演じたいと思っています。
◆妖精のおじさんが自分にもいてくれたらいいなと思いますか?
めっちゃ思います! 毒舌はイヤですけど(笑)、自分がやっていることに対して意見してくれたり、一緒に向き合ってくれたりする人ってなかなかいないじゃないですか。そういう存在が隣にいるひかりが、私はすごくうらやましいです。ひかりはまだその素晴らしさに気づいていないみたいですけど(笑)。
◆今後、ひかりが妖精のおじさんの影響を受けてどう成長していくのか楽しみです。
ひかりを演じていて、私自身も人間として一緒に成長しているなと感じるんです。視聴者の皆さんもきっと共感できる部分があると思うので、ぜひ自分と重ね合わせながらひかりの今後を見守ってほしいです。あと、妖精のおじさんを演じる遠藤さんのかわいさがあふれ出ているので、仕事の疲れをいっぱい癒やされてほしいです!
◆岡田さんは1歳で子役モデルとしてデビューして、既に17年の仕事のキャリアがありますよね。そんな岡田さんにとって「仕事」とは何ですか?
今回のドラマの台本を頂いた時にまさにそれを考えたんですけど…私は生きるために仕事をしているわけではなく、好きなこと、やりたいことを仕事にできている人間で。そういう人ってそんなに多くないし、本当に幸せなことだと思っているんです。この世界で働いていなかったらどうなっていたんだろうと考えると、怖くなっちゃうくらい。もちろん幸せだけど、苦しいこともあって、楽しいけど、悩むこともあって。心の支えでもあるけど、心を折られてしまうこともある。でも、そういうことも全部含めて、すごく難しいけどひと言で表すなら「生きがい」ですかね。
◆その生きがいに向き合う上で大切にしていることは何ですか?
この仕事は、映像を通していろんな方に見ていただける。だから、誰かしら1人にでも感情を届けられる人になりたいとずっと思っていて。そのためにも、誰よりも楽しむということを一番心がけています。バラエティでもドラマでもそれは変わらないんですけど、特に今回の『私のおじさん』はコメディなので、よりそういう気持ちでいようと。誰よりも楽しんで吸収して帰ってやるぜ!という感じ(笑)。そんな私の姿がどんな形でもいいので、見てくださる方に届いたらいいなと思っています。
■PROFILE
おかだ・ゆい…2000年4月15日生まれ。大阪府出身。B型。
2017年に映画『傷だらけの悪魔』で女優デビュー。2018年はドラマ『静おばあちゃんにおまかせ』『ヒモメン』に出演。今年1月にスタートした『私のおじさん~WATAOJI~』が連続ドラマ初主演となる。『オスカル!はなきんリサーチ』では1月から小芝風花、籠谷さくらと共にMCを務めるなど、バラエティでも活躍中。
■ドラマ情報
『私のおじさん~WATAOJI~』
テレビ朝日系
毎週(金)後11・15~深0・15
(※一部地域を除く)
脚本:岸本鮎佳 モラル
監督:竹園元、Yuki Saito、小松隆志
出演:岡田結実、城田優、小手伸也、戸塚純貴・田辺誠一・青木さやか、遠藤憲一ほか
●photo/木川将史 hair&make/TAKACO styling/八杉直美