吉岡秀隆×村上虹郎インタビュー!『スーパープレミアム「八つ墓村」』

特集・インタビュー
2019年10月11日

NHKスーパープレミアムの金田一シリーズ「獄門島」「悪魔が来りて笛を吹く」に続く第3弾は、「八つ墓村」をドラマ化。血塗られた伝説を持つ八つ墓村を舞台とした横溝正史原作のミステリー。金田一耕助を演じる吉岡秀隆さんと事件に巻き込まれる井川辰弥(原作では寺田姓)を演じる村上虹郎さんに撮影の裏話を伺いました。

『スーパープレミアム「八つ墓村」』

◆オファーを受けた時の気持ちを教えてください。

吉岡:前回は「金田一きたー!」でしたが、今回は「八つ墓村きたー!」って思いました(笑)。『八つ墓村』は辰弥(村上)と美也子(真木よう子)の愛憎劇があって、その後ろに祟りや迷信があるので、今回、金田一は控え目にしようって思いました。それと、またあの時のスタッフさんたちと謎の中に入っていけるのがうれしくもありましたね。

村上:僕はショーケン(萩原健一)さんが寺田辰弥を演じた映画「八つ墓村」(1977年)を見ていたので、まず「ショーケンさんのやつだ!」と思いました。そこに辰弥の少年時代を演じた吉岡さんや要蔵を演じた山﨑努さんがいらっしゃったというイメージだったので、出演できてうれしいです。

『スーパープレミアム「八つ墓村」』

◆吉岡さんは前作『悪魔が来りて笛を吹く』で初めて金田一を演じましたが、その時の反響はいかがでしたか?

吉岡:皆さん面白いと言ってくれたりもしますが、やっぱり賛否両論はあります。原作のファンの方もいるし、僕の格好にしても、「金田一はもじゃもじゃ頭じゃないといけない」とかいろんな意見を聞けましたし、金田一を演じることは役者の勉強にもなりました。

◆村上さんのお父様・村上淳さんは『悪魔が~』にも出演されていましたが、何かお話はされましたか?

村上:しました。「吉岡さんの金田一シリーズで『八つ墓村』の話が来た」と言ったら「絶対やりなさい」ってひと言だけ強めに言われました(笑)。

『スーパープレミアム「八つ墓村」』

◆普段からそういうお話はされるのですか?

村上:メールでは結構します。あまり会わないんですけど、「あの映画のあれ良かった」とか「あの音楽いいよ」とかやりとりはします。

◆共演するまで、お互いにどのような印象をお持ちでしたか?

吉岡:ドラマに出ているのを見て、独特の色気があるなと思っていました。お父様もすごいんですけど、この一年の間に息子さんとも共演させてもらって。彼なりの辰弥の解釈の仕方が独特で、持っている雰囲気も別格。僕も寺田辰弥役でデビューしているので、なんとなく特別な感じもありますが、お芝居もそうですけど、いいやつです(笑)。

村上:現場では吉岡さんの存在を先輩として見ていました。映画「64-ロクヨン-」の吉岡さんは見たことがあったのですが、映画やドラマの印象で現場に行きたくないので、共演前になるべく出演作を見ないようにしていました。共演した後にはたくさん見るのですが、昨日も吉岡さんが出演されている映画を見てめちゃめちゃ泣きました。

『スーパープレミアム「八つ墓村」』

◆何の作品をご覧になったんですか?

村上:「三丁目の夕日」「男はつらいよ ぼくの伯父さん」「八月の狂詩曲」を3本立てで。その後に今回の『八つ墓村』を見て、今日はショーケンさんの「八つ墓村」を見てきました。僕が言うのもおこがましいのですが、吉岡さんは孤高の存在。他の誰とも違うリズムとトーン、テンポがあるというか。昨日見た作品ではどこか頼りない感じの役が多かったのですが、安心感がないという安心感を絶対的に出されているなと思いました。

◆役作りはどのようにされたのですか?

吉岡:この作品は愛がテーマにあって、もう1つ僕の中では「お前の仕事は人に生きる理由を見つけてやることだ」って前作で女将さん(倍賞美津子)に言われたことがずっと根本にある。それによって難事件の中で苦悩していた金田一がようやく笑顔になれたというところが僕の中で1つの救いでもあったので、そこを忘れないようにしていました。

村上:今回はシーン数が多くて必死でした。前作の『悪魔が~』が本当に見応えがあって映画を見ているような感覚でしたが、ジョン・レノンの「mother」など映画で使えないような曲がたくさんかかっていて。日本の伝統的な作品にイケイケの洋楽がかかったものを見たことがなかったので、BSではそれができる感動がありました。

『スーパープレミアム「八つ墓村」』

◆吉岡さんは歴代でさまざまな人物が演じられてきた金田一を演じる上で意識したことはありますか?

吉岡:その人の気持ちに立ってあげることのできる金田一にしようと思いました。事件が解決して終わりではなくて、その事件によって金田一も傷つくというのはほかではなかったかなと。誰かを救えなかったことで苦悩していく金田一というのは僕っぽくて、お客さんもまた違う角度で見られるのかなと思いました。

◆前作から変化した部分はありますか?

吉岡:それは全くないです。同じスタッフさんたちと僕がどうこうしようというよりも、新しい事件にみんなで挑むぞっていう思いの中に僕は居た感じですね。あとは彼(村上)に任せたみたいな(笑)。今回は辰弥が事件に巻き込まれていく話ですから、僕はどこか傍から見ている感じもあります。

『スーパープレミアム「八つ墓村」』

◆今回の事件の発端を作る要蔵を音尾琢真さんが演じました。

吉岡:僕の要蔵のイメージは、映画「八つ墓村」(1977年)で山﨑努さんが演じた、桜吹雪の中で日本刀とショットガンを持っている怖い姿を音楽と一緒に強烈に覚えています。今回の要蔵はそれと違って、ずっと村人に責められながら、悲しくてどこか泣けてくる。人間臭さがあるのは音尾さんならではだと思いましたし、令和の要蔵だと思います。

村上:僕はTEAM NACSの方とお仕事するのがほとんど初めてだったので、いろんなことをお聞きしました。聞きすぎて何を聞いたのかは覚えてないんですけど(笑)。以前、親父の家に住んでいた時に安田(顕)さんと最寄りのコンビニでよくすれ違っていました。でも共演したことがなくて話しかけられなくて…。

吉岡:ずっと見ていたの?(笑)

村上:はい。不審者みたいですね(笑)。

◆吉岡さんはあらためて金田一に選ばれた理由はどこにあると思いますか?

吉岡:どうなんでしょう? 僕はデビューが「八つ墓村」だったので、そこに戻してもらっている感覚ですかね。でもシェイクスピアのお芝居のようにいろんな方が演じてらっしゃいますから、その時の感覚はこうだったのかなと考えたり、原作を読んで彼の生い立ちなどを考えると、とても勉強になる作品です。金田一は役者さんにとって特殊な存在で、自分からは選べない。まだまだ令和にも金田一が生きていて、次は誰にしようかなって言っているような気がします。

■PROFILE

●よしおか・ひでたか…1970年8月12日生まれ。埼玉県出身。出演するドラマ『小さな神たちの祭り』(東北放送)が11月20日(水)放送、映画「男はつらいよ お帰り 寅さん」が12月27日(金)公開予定。

●むらかみ・にじろう…1997年3月17日生まれ。東京都出身。主演映画「ソワレ」が2020年公開予定。出演する映画「楽園」が10月18日(金)、「“隠れビッチ”やってました。」が2019年12月6日(金)公開予定。

■ドラマ情報

『スーパープレミアム「八つ墓村」』

『スーパープレミアム「八つ墓村」』
BSプレミアム
10月12日(土)後9・00~10・59

原作:横溝正史「八つ墓村」
脚本:喜安浩平・吉田照幸
演出:吉田照幸
制作統括:村松秀(NHK)、西村崇(NHKエンタープライズ)、大谷直哉(ザロック)

出演:吉岡秀隆、村上虹郎、真木よう子、蓮佛美沙子、佐藤玲、小柳友、宮沢氷魚、佐津川愛美、竜のり子、樋井明日香、馬場徹、久保酎吉、田中しげ美、OKI、山口馬木也、山下容莉枝、酒向芳、不破万作、やべきょうすけ、音尾琢真、木内みどり、小市慢太郎、津嘉山正種、國村隼

©NHK・ザロック

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