早乙女太一「僕にとっても、みんなにとっても新しい挑戦」BSスカパー!『密着・早乙女太一~劇団朱雀復活にかける思い~』

特集・インタビュー
2019年11月23日

早乙女太一さんが二代目座長を務める劇団朱雀が5年ぶりに復活する。復活公演に挑む姿に密着した『密着・早乙女太一~劇団朱雀復活にかける思い~』の放送に先立ち、早乙女さんにインタビュー。解散してからの5年間の話や、この作品に懸ける思いを聞きました。

『密着・早乙女太一 ~劇団朱雀復活にかける思い~』

◆なぜ5年だったのでしょうか?

僕の中で、復活までの期間は大体5年くらいかなって、なんとなく決めていたんです。この間に、いろいろ勉強をして、身に付いたらいいなと思って。僕のベースとなるものが舞台なので、わりとこの公演に向けて動いていたかな。だから、劇団公演を見に行きたいなって思ってもらえるように、自分を広めていったりとか、自分の芸を磨いてきた感じですね。でも、この5年間が、あっという間で。自分が思っていた理想に追いついていないから、少し復活まで伸ばそうかなって思ったりもしました。というのも、この舞台の構想を練り始めたのが2年前ぐらいだったので、3年しかたってなかったからより一層、「この間終わったばっかりなのに」って感じだったんです。でも、今、動きだしてみると、5年前より頭が動くようになっているし、引き出しも増えてるし、5年で良かったなって思います。

◆5年前、どうして解散しようと思ったんですか?

解散した時に、ここで終わりにせず、また集まってやりたいという気持ちがあったんです。そもそも解散を決意したきっかけが、僕だけじゃなく、劇団員も外部の舞台にもっと挑戦したほうがいいなと思ったから。僕は劇団をやりながらも、いろいろと外部の舞台をやらせてもらっていたんです。でも、劇団員のみんなはありがたいことなんですけど、劇団があると、どうしても、1年間のほとんどが劇団公演で終わってしまって、なかなか挑戦する機会がなかった。僕は、外でいろんなことを学んで、刺激をもらったから、劇団員のみんなにも、1人の役者として舞台に立つことが、どれだけ大変なことなのか知ってほしいなと思って。それに、僕ももっと外の舞台をやっていきたいなっていう気持ちが出てきたから、それで1度解散をしたんです。

◆新しい挑戦もあるそうですね。

今まで通りの部分もあるんですけど、今回、本を書いてもらいましたし、お芝居の稽古をしてます。今まで稽古せずに、日替わりの演目をぶっつけ本番でやっていたので、僕にとっても、みんなにとっても新しい挑戦ですね。今は迷ったり、悩んだりする暇もないぐらい、すごくみんな突っ走ってます。

◆そんな稽古場の雰囲気はいかがですか?

お芝居のことばかり考えていて、すっかり踊りのことを忘れていたんです。だから、個性のある変なおじさんたちに声を掛けちゃって(苦笑)。その人たちが運動神経いいです!って人たちじゃないから、毎日、踊りの稽古が激しいので、悲鳴を上げながらやってますね。踊りもそうだし、お芝居も殺陣もいっぱいあって、こんなに運動量がある舞台って、なかなかないと思うんです。ずっと毎日汗と悲鳴が上がっているような稽古場ですね。僕が今、ほとんど稽古の時間を演出するほうに使っているから、役者としての成長をいまいち分かってない(笑)。もしかしたら、舞台の幕が開いたら、僕が一番役者としてはできていないかもしれないっていう可能性もあるなって、最近は不安になっています(笑)。

◆出演される木村了さんや喜矢武豊さん、富岡晃一郎さんについて教えてください。

喜矢武さんは大阪からの出演なんで、「今、稽古してもどうせ忘れちゃうから、直前で稽古しましょう」って言ったんですけど、不安になったんでしょうね、ある日の夜中に「俺はいつ行けばいいんだ」って電話がかかってきました。そうしたら、勝手に稽古場へ来て、勝手に稽古してましたね(笑)。了君は、大衆演劇っていうものすごく未知の世界に入っていて、大きな挑戦をしてくれていると思います。お芝居3本に、踊りにと、覚えることがいっぱいあるから、頭がパニックになりながらもやってくれていますね。僕が19歳ぐらいの時に初めて共演した時に、了君も22歳くらいだったんですけど、すごく落ち着いていたし、周りも見れていたから、その時からすごく信頼はしていたんですけど、やっぱりちゃんと向き合ってくれていて、うれしいですね。富岡さんはうちに来たら女役ばっかりしてもらうんですよね。富岡さんと久保田(創)さんは劇団員ではないんですが、自分が演出をしだしたころから、ずっと出てくれている2人なので、劇団のやり方や、僕のこともくんでくれていて、今では、みんなを引っ張るような感じでやってくれているのはすごく心強いです。

◆脚本を手掛けた中島かずきさんと横内謙介さんについても教えてください。

出演者もそうなんですけど、本を誰に書いてもらおうかなって考えた時、自分とご縁がある人がいいなと思っていました。かずきさんも、横内さん、2人とも時代劇がものすごく詳しいし、大衆演劇のテイストに合うんじゃないかなと思って、お話させてもらったら、快く受けてくださいました。打ち合わせしながら、自分たちがやってきたことだったり、大衆演劇にある芝居の演目だったり、流れをお話しました。今回も、定番の時代劇のお話を題材にしたかったので、「昔、こういうドラマがありました」って話もしました。かずきさんは、僕が「ねずみ小僧をやりたい」とか、「火消しの話をやりたいです」って言ったら、「じゃあ、ねずみ小僧と火消しのめ組の話を合わせちゃおう」って言ってくださって。横内さんの本は、のちに「忠臣蔵」の赤穂浪士のひとりになる中山安兵衛が主人公の「高田馬場の決闘」を元にしたお話を題材に作ってもらいました。大枠と、大衆演劇の色に寄せるために、とくにかずきさんには、脚本が出来てからも、ちょっと書き直してもらいましたね。大衆演劇は、お芝居の中で踊ったりとか、昔のテレビ時代劇みたいなテーマソングが掛かったりっていうのがあるので、ちゃんと大衆演劇っぽくしたいなと思ったので、そういうのを取り入れたいから、演出しやすいように、話の流れを作ってもらいましたね。もしかしたら、一番かずきさんの本が大衆演劇っぽく、一番近いものになったんじゃないかなって思いますね。今回、東京では3本やる予定なんですけど、3本とも全く色も違うし、だいぶ違うものがそろったなと思いますね。

◆脚本はありますが、アドリブも?

今回、稽古をするに当たって、どれくらい作り込もうかなって、考えてます。作ることは作るんですけど、自分が思う大衆演劇って、その場で作り上げていくっていう空気感があって。なので、役者だけで作り上げていくんじゃなくて、お客さんを含めて、その劇場にいる人たちでひとつのものを作るっていうような感覚。だから、あまり稽古で固めすぎずに、そこにいる人たちで作っていくっていうようなことを大事にしていきたいと思っているので、アドリブは入れようと考えてますね。

◆お仕事をやっていて、一番やりがいを感じるのは?

裏方の方が好きです。演出もそうですし、演出するに当たってお芝居で使う音楽を決めるのもそうですし、振付を付けるのもそうだし、照明を考えるのもそうだし、そういうことをやっているときの方が楽しい。この人はどうやったら輝くかなとか、面白いかなとかを作っていくほうが好きです。でも、今は、自分の好きな人たちだからこそ、楽しいのかもしれないですけどね。

◆5年間で、印象的な出会いはありましたか?

赤堀(雅秋)さんですね。コクーンでやらせてもらった舞台『世界』という作品。この作品でうれしかったことが、普段、僕、着飾る舞台が多いので、そういった要素がないところで呼んでもらえたこと。やっていてすごく楽しかったから、印象深いし、刺激的でした。ものすごく勉強にもなりました。

◆最後に視聴者の方にメッセージをお願いします。

「何もできなくても、自分の命をかけてやれば、何かしらができる」っていうことが、昔からテーマであって。でも、おじさんたちが何もできないんですよ、本当に。死ぬんじゃないかなってくらい稽古ですごく頑張るんですね。そうすると、滑稽な姿にも笑えるし、何か感動があるんですよ。だから、そういった意味ではそういった醜い部分が流れると思うので、おじさんたちが本番でいかにどれくらい輝いているのかっていうのを見てもらえるとうれしいなって思います。そして、こんなダメな人たちでも、これだけ頑張ればできるんだなって、見ている人に勇気を与えられたらと思います。

■PROFILE

早乙女太一
●さおとめ・たいち…1991年9月24日生まれ。福岡県出身。本公演で総合プロデュース・演出・振付・脚本を手掛け出演もする早乙女太一が二代目座長を務める劇団朱雀が5年ぶりに復活。11月26日(火)~12月15日(日)東京・紀伊國屋サザンシアター、12月19日(木)~12月30日(月曜)岐阜・ぎふ葵劇場、2020年1月4日(土)~1月7日(火)大阪・サンケイホールブリーゼ、1月18日(土)北海道・道新ホールで上演中。

■番組情報

『密着・早乙女太一 ~劇団朱雀復活にかける思い~』
日テレプラス
11月23日(土)後5・30~6・00

BSスカパー!
11月24日(日)後5・30~6・00

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