神経質な兄・一路(古舘寛治)と、大ざっぱな弟・二路(滝藤賢一)。正反対な性格だけど、どっちも何かが欠けているコタキ兄弟が繰り広げるちょっぴり変な日常を描いた『コタキ兄弟と四苦八苦』。やむを得ずやることとなった「レンタルおやじ」で、客からのはちゃめちゃな依頼に奮闘する姿がなんとも愛おしいダメなおやじ2人は、なんと古舘さんと滝藤さんが発案したもの。そんな2人がコタキ兄弟の魅力を語ります!
◆「自分たちが主演のドラマを立ち上げよう」と企画してから約3年、ようやく形となり放送に至った感想はいかがですか?
滝藤賢一:もうそんなにたったんだね?
古舘寛治:本当に。ようやくといえばようやくだし、早かったと言えば早かったし。
滝藤:放送に関しては、撮影が昨年末に終わったこともあって“まだ終わってなかったか!”という、驚きに近い感覚かも(笑)。
古舘:終わってないよ。せっかく作ったのに最後まで見てもらわないと、何のために作ったんだってことになるから(笑)。
滝藤:確かに。
古舘:放送が始まったら、あとはもうとにかく最後までたくさんの人に見てもらいたいという気持ちだけですね。
◆制作段階で、どのような形で参加してたんですか?
滝藤:「一緒にやりたいね」から始まり、古舘さんが(脚本の)野木亜紀子さんと懇意にしているということだったから、「野木さんに書いてもらえたらこんなにうれしいことはないよね」って声をかけて。その後すぐにプロデューサーと会ってましたね。
古舘:そこまではかなり早かったです。
滝藤:その段階で既に古舘さんが「顔が似てるから兄弟役でいこう」とは言ってました。設定に限らず、すべてにおいて古舘さんは僕より深く関わってますよね。
古舘:そうですね。滝藤君は忙しいから!
滝藤:いや、制作の打ち合わせにどこまで行っていいのか分からなかったこともあって。古舘さんは打ち合わせにあまりにも来るから「もう来なくていいです」って言われたって聞いたけど(笑)。
古舘:そうそう、最初のころは打ち合わせに全部参加してたから(笑)。脚本が野木さん、監督が山下敦弘さんに決まっていった時なんか感動しましたよ。言ってみるものだなって。
滝藤:すごい方たちですもんね。本当にありがたいです。
古舘:そこが決まるぐらいまでは僕も参加してたんだけど、だんだん「古舘さんはもういなくていいんじゃないの?」みたいになってきて(笑)。やっぱりずっと俳優がいるのもやりづらいだろうね。
滝藤:その時点で“レンタルおやじ”の話は出てたの?
古舘:そのへんは曖昧だけど、基本は野木さんとプロデューサーが意見を出し合ってくれていたかな。そもそも僕は“レンタルおやじ”という仕事があることも知らなかったから。
◆兄・一路、弟・二路、それぞれのキャラクターはどのように決まったのでしょうか?
滝藤:これは、あて書きですから。野木さんの古舘さん愛をすごく感じる脚本です。五十肩とか(笑)。
古舘:五十肩はリアルに上がらないからしょうがないよね(笑)よ。ほら!(と、手を上げる)
滝藤:あ、本当だ! それはすごいね。
古舘:もともと鍛えてたから戻るのも早いんだよ。
滝藤:こんな感じで、お互いに「まんまだよ」「いや、違うよ」って言い合ってたかも。
古舘:僕から見たら、二路は滝藤君のまんまなんですよ。
滝藤:「オレはこんなこと言わない。こんな行動しない」って言うんだけど、「いや、滝藤君だ!」って。
古舘:もちろんドラマなので誇張されている部分はあるんだけど、それでもまんまですよ。それで言ったら僕だって一路はありえないほど真面目すぎるよって思うけど…。
滝藤:いや、まんま古舘さん(笑)。めちゃくちゃ面白かった!
古舘:ね、こんな口から出まかせをを言うあたりが二路なんですよ(笑)。
滝藤:そうやってオレの言うことを1つひとつ直していくあたりがもう一路だから(笑)。
古舘:…2人の意見を合わせると、野木さんの人を見る目はすごいってことですね(笑)。
◆キャラクターがあて書きだとすると、お2人の関係性はどんな感じなんですか?
滝藤:待ち時間はまさに喫茶店シーンみたいでしたよ。自覚はそれほどなかったけど「本当にあんなだね」ってよく言われたから。
古舘:「あんな」ってどんなだろう? 劇中だと一路と二路は仲良くないから。でも普段は超仲良しですよ。
滝藤:そうね、超仲良しです(笑)。そこは違うけど、会話があんな感じなんだろうね。この作品をやる前もよく食事に行ったりしてたし。
古舘:撮影前も一緒に飲みに行って、台本の読み合わせをして。しまいにはワインを飲み始めたりして(笑)。
古舘:ワインを飲みながらも本読みはしてたんですよ(笑)。
滝藤:大体、本読みだって古舘さんから言い出したことなのに、最終的には自分がセリフを覚えたいからって本読みやってくれなくなって(笑)。
古舘:ははは(笑)。
滝藤:オレは一緒の方が覚えやすいから、すごく助かってたのに。
古舘:とはいえ2人だけのシーンって意外と少ないから、そのシーンばかりになっちゃう。
滝藤:確かにね。あとはこうして一緒の作品をやると時間も合わせやすいけど、別々の作品に入ってるとタイミングを合わせるのも大変だし、入ってない時はお互い家族もあるしでなかなか難しいかもしれないね。今度はうちに食事に来てくださいよ。
古舘:そうね。でもちょっと気を使っちゃうかな。そういうトコあるからオレ。
滝藤:じゃあ、外にしましょうか(笑)。
◆印象的な現場エピソードはありますか?
古舘:今回は企画から参加していることもあって思い入れが強いので、どんなこともより面白がれるし、“やってる”というより“やっていただいてる感”はありますね。
滝藤:本当に。終始「ありがとうございます!」って感覚でした。
古舘:なので、常に感謝の現場でしたよ。
滝藤:まぁ、僕はどんな現場でも常に感謝の気持ちを持ってやってますけど(笑)。
古舘:…ね、滝藤君のこういうところですよ(笑)。
滝藤:そういうのを抜きにしても(笑)、本当に素晴らしいチームでした。
古舘:はい。スタッフはもちろん、芳根京子さんをはじめ出演していただいた方も皆さん素晴らしかったです。
◆コタキ兄弟は劇中で“四苦八苦”していますが(笑)、お二人はどのようなことで苦しいと感じますか?
滝藤:こういうのは軽い話にしなきゃだね。本気のこととなると、書けないレベルになるだろうから(笑)。
古舘:たとえば、どれくらい?
滝藤:僕は奥さんと家事について意見が食い違うことですね。我が家は子供も多いし、時間的な余裕もないので、掃除くらいは定期的に業者に頼んでみたいんです。だって、そういう職業があるんだから。奥さんはそれが嫌らしくて、軽く揉めるんです。家事は奥さんだけがやるものではないから、僕もやらなければいけないんだけど、忙しくてなかなか時間がなくて…。
古舘:奥さんは奥さんなりの考えもあるんだろうけどね。
滝藤:でも、それがあれば奥さんだって楽になると思うんだけど。悩ましいところですね。
古舘:結局、滝藤君がいい人って話じゃん!(笑)
滝藤:古舘さんは?確か以前、京都に住みたいって話してなかった?
古舘:あ、その気持ちはあるね。自分は東京に向いてない気がしていて。人が多すぎるし、広すぎるし、せわしなさすぎるから。僕はそういう街の空気に影響を受けがちなので、ゆったりとした街で暮らしたいなって思ったりしますね。
■PROFILE
●ふるたち・かんじ…1968年3月23日生まれ。大阪府出身。AB型。最近の出演作に大河ドラマ『いだてん~』など。映画「子供はわかってあげない」が6月公開予定。
●たきとう・けんいち…1976年11月2日生まれ。愛知県出身。O型。最近の出演作にドラマ『東京独身男子』『探偵が早すぎるスペシャル』、映画「決算!忠臣蔵」「影踏み」など。
■番組情報
ドラマ24
『コタキ兄弟と四苦八苦』
テレビ東京系
毎週(金)深0・12~0・52
●photo/金井尭子 text/伏見香織