野木さんの脚本は映像化した時に完結する脚本(綾野)
“表現への姿勢”が好き 書ききる時点で血が混じってる感じ(星野)
◆映像を見て感じる、野木亜紀子さんの脚本の魅力は?
綾野:脚本が面白いことは当然なんですけど、脚本より映像化した時の方が面白くなるように作られてるのかなってぐらい、映像化した時に完結する脚本。そこに野木さんの心理が働いているのか、天然な状態でそれをやられてるのかどっちもあると思うんですけど「あとは現場に任せたよ」って感じがする。脚本が持つエンジンが完成するのは、この脚本と映像が最終的に合体した時。活字の情報から何か飛び越えるっていうよりは、“合体する”っていう感覚ですかね。源ちゃんも言ってたけど、野木さんの脚本は「もうないでしょこの後」のその後が3個も4個も出てくるっていうところは僕たち演者としては心揺さぶられます。
星野:野木さんの作品は3作目ですが、僕はこんなにもいろんなことに対して責任を持ちながら、伝えたいことを脚本に織り込む方を他にあんまり見たことがなくて。野木さんという人間がすごく好きなんです。こういう業界で仕事をする人を見る時に“表現への姿勢”みたいなものが自分がその人のことを好きかどうかを見るポイントなんですけど、野木さんってエンターテインメントの根底にしっかりと伝えたいものがある。「今この物語を世の中に放つと、いろんないいことがあるんじゃないかな」とか、そこまで言語化しているわけじゃないけど、すごく深いメッセージを込めた脚本を書かれるんですよね。特に『アンナチュラル』『MIU404』はオリジナル作品なので、その色が濃い気がしています。だから1話完結ではあるけど、二人のキャラクターの会話や、起こる事件のアンサンブルで、メッセージを1クール通してエンターテインメントとして伝えていく、その底にちゃんと責任を持って、書ききる時点で血が混じってる感じ。それが脚本の中にものすごく刻み込まれていて、読んでいるだけでわくわくドキドキするんです。
◆今作は1話完結でありながら、全体としてつながるテーマもありますね。
綾野:一話完結の物語と共に、もう一つのストーリーが裏軸でずっと走ってるんです。1話完結のゲストさんと、もう一つのストーリーの方の…ゲスト、じゃないですけど。皆さんが相当驚くような方々が出てきます。その中には役者じゃないタイプの方も。「え?まじでこの人出るの?」っていう。
星野:1話の冒頭が第4機捜ができて志摩がそこに入るところからスタートするんですが、その前に彼はまた別の場所にいて、そこから4機捜に来ているというストーリーがあるんです。なぜ彼がそうなったかと言うバックボーンがこの『MIU404』の根底に流れるストーリーにもつながっていて。犯罪というものを唯一、起こる前に抑えられるかもしれないのが機捜であり、楽しく見ている中でふと我に返った時に、ものすごく大事なことを言われた気がするっていうような、そういうストーリーにもなっていると思いますね。
◆そんな『MIU404』、あらためて楽しみにしてくれている方々へメッセージをお願いします。
星野:僕らは本当に楽しんで作っていて、いわゆるコメディの要素もあるし、シリアスな社会問題も含んでいる中で、二人のバディの面白さというもので物語を引っ張りつつ、驚くようなアイデアが毎回詰め込まれているドラマなので、ぜひ1回目から最低でも3回目までは見てほしい。1話見てすごく面白いと思ってもらえる自信はもちろんあるんですけど、3話目以降も、もっと深まるのか!まだ深まるのか!って言うのが体験できると思うので、ぜひ見ていただきたいです。
綾野:みんな待たせてごめんね、でも待っててくれてありがとう、愛ですね。
プロフィール
綾野剛
●あやの・ごう…1982年1月26日生まれ。岐阜県出身。A型。ドラマ『ハゲタカ』『フランケンシュタインの恋』、映画「影裏」「閉鎖病棟 -それぞれの朝-」などに出演。映画「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」が11月公開予定。
星野源
●ほしの・げん…1981年1月28日生まれ。埼玉県出身。AB型。ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』『逃げるは恥だが役に立つ』、映画「引越し大名!」「地獄でなぜ悪い」などに出演。映画「罪の声」が2020年公開予定。
番組情報
『MIU404』
TBS系
2020年6月26日スタート
毎週(金)後10・00~10・54
※初回は、後10・00~11・09の拡大版