『MIU404』綾野剛&星野源インタビュー!「再開できたことに感謝」

特集・インタビュー
2020年06月26日

『MIU404』

綾野剛&星野源が、事件の初動捜査を担当する機動捜査隊のバディを演じる『MIU404』が本日スタート。主演の2人に撮影中断期間を経て満を持してスタートする今作への思いから、『コウノドリ』シリーズから育んだ2人の関係性、作品の魅力までたっぷり聞きました。

中止の可能性もゼロではなかった 再開できたことに「感謝」のひと言(綾野)

撮影中止になった日、帰りの車の中で剛君と電話したよね(星野)

◆2月にクランクインした今作。約2か月ぶりに再始動した今の率直なお気持ちをお聞かせください。

綾野:まずは撮影を再開できたこと、今日まで撮ってきたものをちゃんと皆さんにお届けできることに対して、本当に「感謝」のひと言です。撮影現場も、みんなで対策をしっかり練りながら最高のパフォーマンスができるようにと意識がすごく高まっているし、熱量もすごく高い。当初番組自体が中止になる可能性もゼロではなかった。それでもこうして再開できたことを感謝と共に、より新しい僕たちが今できる最高のパフォーマンスを皆さんに届けるという気持ちでいっぱいです。

星野:とにかくうれしいです。実は自粛前に2話分出来ていて、それを家でじっとしている時に客観的に見られたことがすごく良かった。いかにこの作品が今までにない刑事ドラマになっているか、見ている人たちが楽しみながら、自分たちの生活や社会について考えるきっかけになりうる作品だということを感じられたので。あと、撮影中止になった日の帰りの車の中で剛君と、お互いに違う車ですけど、電話したよね。

綾野:うんうん。

星野:その時に、正直な気持ちを話せたっていうのもすごくよかったなと。まずはこの事態をおさめることが一番大事で、けどやっぱり悔しいよねっていう。2か月ぐらい頑張ってきたものが、あの時は本当に終わる可能性があったんで。僕はそもそも3月末時点で撮影してること自体も正直つらくて。もちろん感染症対策はしてたけど、感染者がどんどん増えてく中で、これはやっていていいものだろうかっていうのを悩みながら毎日現場に行っていました。でも僕はエンターテインメントは人間にとって必要だと思うから毎日撮影に行くんですけど、でもその中で、どうしようもない思いっていうんですかね。やりたい。でも今はやってはいけない。なんかそういうきれいごとではない思いみたいなものを、剛君だけではなくスタッフのみんなとも共有した状態で自粛期間に入れた気がします。

◆撮影中断中にキャストの方々やスタッフの方々とどんな話をしましたか。

綾野:源ちゃんとも連絡を取らせていただいて。お互い新しい台本について。

星野:うん。

綾野:時間が生まれたことで野木(亜紀子)さんも、より容赦のない台本を書いてくださって、それを「読んだ?」っていう話を。「すごいことになってるね」ってことや、1、2話の出来上がったものを見て、「自信を持って出していきたいね」って言うことも話して。俳優部、スタッフの皆さんとも連絡を取り合いながら、コロナに対する対策も話し合いながらでした。あとは緊急事態宣言の前、3月の末に撮影を中断し、2か月以上撮影が止まっていたので、今僕が着ているこのGジャンの衣装とかも、まあまあ暑いんですよ(笑)。なので、この作品の持つ気候、ムードを守りながらやや9月あたりを意識して新しい衣装の展開、みたいなこともスタッフと話しました。だから『MIU404』が再開しないというイメージは僕には全くなかった。誰か1人がポジティブになれば、それは必ず広がっていく。立ち向かう体力をどんどん消耗していく中で、ちゃんとその体力を身に付けながらっていうのは、まず精神からだなと思って。そういう意味ではすごく源ちゃんにも助けてもらいましたし、スタッフのみんなにも助けてもらいました。

星野:今は皆さん、いろんなことが動きだしてそっちに集中しているころだと思うんですが、3月末と4月頭のあの空気っていうのは本当に絶望的なものだったと思うんですよね。その頃一番大事に思っていたのは、「命が一番大切」「これ以上コロナを広げない」こと。監督とも電話で励まし合いながら、頑張ってこの時期を乗り越えて、できる時になったら全力で撮影しようねってしていた記憶があります。

『MIU404』

“機微”のキャッチを互いにできてることが僕たちの柱(綾野)

剛君、めちゃくちゃ“いいね”してくれるんですよ(笑)(星野)

◆事件の初動捜査を担う機動捜査隊の隊員としてバディを組むお2人。あらためてご自身の役柄について教えてください。

綾野:伊吹は“何だかいつもとにかく機嫌がいい人”で切り替えが早くてねちねちしてない。何かが起こったら「しゃーない」「次行こう」っていうメリハリが利いてる人で、自分の“ツレ”みたいな感覚です。

星野:志摩は推理力と思考力が高く、とても刑事に向いていて優秀な男。言葉遣いも荒かったりして。あまり熱血でもないと見せかけて、捜査となると急にものすごく熱くなったり、すごい推理を発揮したりするのが能力が高いなと演じながらも思います。一方で闇、憂いをずっと背負っているところがあるアンバランスな人間で。なぜ彼がこんなに悲しい顔をするのか、話を重ねていくごとに志摩のいろんな部分が表に出ていくし、その味方をしていくのが伊吹だったり他のキャラクターだったりするので、ぜひそこを見ていただきたいです。

◆2年半ぶりの共演ですが、あらためて感じたお互いの魅力は?

綾野:もう2年半もたったんだなってことにちょっと驚いてます。

星野:そうだね。

綾野:連絡を取り合ってたからっていうひと言では終われない感覚。命を扱う『コウノドリ』という作品で共に戦ってきた戦友という感覚が強いのもありますけど。源ちゃんの、役者、音楽、いろんなエンターテインメントに関わってインプットしてきたものを、こうして新しいドラマにアウトプットできる「能動的な臨機応変さ」には学ぶところが本当に多いです。現場で常に一緒にいたところから、だんだん話を増すごとに一緒にいないシーンも増えてきたんですが、そういう時に「今日の源ちゃんはどんな芝居をしてどんな表情してるんだろう?」とか気になるんですよ。

星野:はははは(笑)。

綾野:会えないからこそよりその人のことを豊かに考えるっていうか。それが僕たちの中では常にあって。源ちゃんと真摯にお互い向き合いながら、成熟している部分と未熟な部分をパテのように埋め合う時もあれば、あえて見せつけた時にそっと寄り添ってくれる源ちゃんっていうのも、僕にとってこのドラマでは必要不可欠な人だし、とても感謝してますね。

星野:『コウノドリ』の時は僕はほとんどしゃべらない役で。今回は二人とも全然違う役。単純に会話が多いので、そういう芝居がたくさんできるのがすごく楽しいな。ここまで『コウノドリ』とふり幅が違うところに二人で行ってるというのも、見て下さる方々に楽しんでもらえる予感があります。現場でも“4機捜”の面々とのアンサンブルっていうんですかね。ちょっと笑っちゃうぐらい凸凹、みんなバラバラなんですよ、4機捜のみんな。被ってる人が一人もいないっていうか。

綾野:うん。

星野:みんな各方面に行き切ってるような人なので、それが多分見てて面白いんじゃないかなっていうのと、単純に演じていてすごく楽しいです。

◆プライベートで印象的なエピソードはありますか?

綾野:何か具体性があるものじゃない気がしてて。ふとした瞬間に連絡を取るんですよね。「今日こういうことがあってねー」とか、「最近何してたの?」っていう何でもない電話を源ちゃんにしたりする中で、何となく“機微”みたいなのがお互いに分かるんですよ。「今日は体調良さそうだな」とか「悪そうだな」とか。その“機微”のキャッチを互いにできてることが、僕たちの柱になってるような気がしてて。僕たちは共演者からスタートした関係ですが、だからこそ、もし源ちゃんがとても喜んでいたら一緒に分かち合いたいと思うし、何か源ちゃんが苦しんでいたら、盾にも剣にもなりたいと思う。何か、そんなことなんじゃないかなって思うんですよね。しょっちゅうご飯に行くから仲がいいとか、そういう次元ではなくて。そんなことを星野源と言う人に対して思う。

星野:そうですね。いわゆる一緒にご飯行ったり飲みに行ったりってことをほとんどしないんですけど、僕のインスタに剛君、めちゃくちゃ“いいね”してくれるんですよ(笑)。僕はいいねをする習慣があまりなかったんですけど、剛君は「そんなに早く!?」ってくらいいち早く。あとは僕が何かを発表した時に直接LINEで感想くれたりするんですよ。そこで自分がやってることに対して、役者でも音楽でも、仕事に対してのリスペクトをしてくれてるんだなっていうのをすごく感じますし、僕も彼の仕事ぶりはいつも見てますから、「飲み行こうぜ!」みたいなのとはまたちょっと違う種類のつながりみたいなのはすごくある気がします。

綾野:変な話、今源ちゃんに二人でご飯行こうって言われたら、もちろん「うんうん」って言うと思うけどすごく恥ずかしい。

星野:ははは、何で恥ずかしいの?

綾野:分かんない。何話したらいいのかなって。源ちゃんはすごくしっかりしてるんですけど、ポヤっともしてる。かわいいでしょ? 源ちゃんって。全く鋭利な部分がないというか、鋭さを隠すじゃないけど、人に向き合うってことをとても大切に考えてる人だから、すごく恥ずかしくなっちゃいそうで。想像つかないですね。

『MIU404』

野木さんの脚本は映像化した時に完結する脚本(綾野)

“表現への姿勢”が好き 書ききる時点で血が混じってる感じ(星野)

◆映像を見て感じる、野木亜紀子さんの脚本の魅力は?

綾野:脚本が面白いことは当然なんですけど、脚本より映像化した時の方が面白くなるように作られてるのかなってぐらい、映像化した時に完結する脚本。そこに野木さんの心理が働いているのか、天然な状態でそれをやられてるのかどっちもあると思うんですけど「あとは現場に任せたよ」って感じがする。脚本が持つエンジンが完成するのは、この脚本と映像が最終的に合体した時。活字の情報から何か飛び越えるっていうよりは、“合体する”っていう感覚ですかね。源ちゃんも言ってたけど、野木さんの脚本は「もうないでしょこの後」のその後が3個も4個も出てくるっていうところは僕たち演者としては心揺さぶられます。

星野:野木さんの作品は3作目ですが、僕はこんなにもいろんなことに対して責任を持ちながら、伝えたいことを脚本に織り込む方を他にあんまり見たことがなくて。野木さんという人間がすごく好きなんです。こういう業界で仕事をする人を見る時に“表現への姿勢”みたいなものが自分がその人のことを好きかどうかを見るポイントなんですけど、野木さんってエンターテインメントの根底にしっかりと伝えたいものがある。「今この物語を世の中に放つと、いろんないいことがあるんじゃないかな」とか、そこまで言語化しているわけじゃないけど、すごく深いメッセージを込めた脚本を書かれるんですよね。特に『アンナチュラル』『MIU404』はオリジナル作品なので、その色が濃い気がしています。だから1話完結ではあるけど、二人のキャラクターの会話や、起こる事件のアンサンブルで、メッセージを1クール通してエンターテインメントとして伝えていく、その底にちゃんと責任を持って、書ききる時点で血が混じってる感じ。それが脚本の中にものすごく刻み込まれていて、読んでいるだけでわくわくドキドキするんです。

◆今作は1話完結でありながら、全体としてつながるテーマもありますね。

綾野:一話完結の物語と共に、もう一つのストーリーが裏軸でずっと走ってるんです。1話完結のゲストさんと、もう一つのストーリーの方の…ゲスト、じゃないですけど。皆さんが相当驚くような方々が出てきます。その中には役者じゃないタイプの方も。「え?まじでこの人出るの?」っていう。

星野:1話の冒頭が第4機捜ができて志摩がそこに入るところからスタートするんですが、その前に彼はまた別の場所にいて、そこから4機捜に来ているというストーリーがあるんです。なぜ彼がそうなったかと言うバックボーンがこの『MIU404』の根底に流れるストーリーにもつながっていて。犯罪というものを唯一、起こる前に抑えられるかもしれないのが機捜であり、楽しく見ている中でふと我に返った時に、ものすごく大事なことを言われた気がするっていうような、そういうストーリーにもなっていると思いますね。

◆そんな『MIU404』、あらためて楽しみにしてくれている方々へメッセージをお願いします。

星野:僕らは本当に楽しんで作っていて、いわゆるコメディの要素もあるし、シリアスな社会問題も含んでいる中で、二人のバディの面白さというもので物語を引っ張りつつ、驚くようなアイデアが毎回詰め込まれているドラマなので、ぜひ1回目から最低でも3回目までは見てほしい。1話見てすごく面白いと思ってもらえる自信はもちろんあるんですけど、3話目以降も、もっと深まるのか!まだ深まるのか!って言うのが体験できると思うので、ぜひ見ていただきたいです。

綾野:みんな待たせてごめんね、でも待っててくれてありがとう、愛ですね。

『MIU404』

プロフィール

綾野剛
●あやの・ごう…1982年1月26日生まれ。岐阜県出身。A型。ドラマ『ハゲタカ』『フランケンシュタインの恋』、映画「影裏」「閉鎖病棟 -それぞれの朝-」などに出演。映画「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」が11月公開予定。

星野源
●ほしの・げん…1981年1月28日生まれ。埼玉県出身。AB型。ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』『逃げるは恥だが役に立つ』、映画「引越し大名!」「地獄でなぜ悪い」などに出演。映画「罪の声」が2020年公開予定。

番組情報

『MIU404』
TBS系
2020年6月26日スタート
毎週(金)後10・00~10・54
※初回は、後10・00~11・09の拡大版

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