漫画家・清野とおるが知人から心霊話を聞き、そのスポットにわざわざ出向き飲酒するという実体験を描いた同名漫画が原作のドラマ『東京怪奇酒』(2月19日(金)スタート/テレビ東京ほか)に本人役で主演する杉野遥亮さんにインタビュー。オファーを受けた時「正直躊躇した」という杉野さんが出演を決めた背景や、心境の変化を聞きました。
◆今回、杉野さんは“杉野遥亮”本人役で出演です。
すごく不思議な感覚でした。僕はお芝居をしているのに、“杉野遥亮”本人として認識されるので。普段の役作りは台本を読んで受けたインスピレーションに自分を入れていく感覚なんですけど、本人役は自分に寄せていくイメージで、普段よりも頭で考えながら一つ一つのシーンに臨むことが多かったです。だから今回の現場はすごく勉強になりました。
◆この作品は出演を迷われたそうですね。
そうなんです。そもそも僕は、怪奇現場でお酒を飲むという行為が理解しえないし、これをどう視聴者の方に伝えればいいのか分からなかったんです。今回、“杉野遥亮”本人役での出演だったので、実際に自分自身が受け入れていないことをやるのは皆さんに嘘をついていることになるんじゃないかと。
◆それでも出演を決めたのはなぜですか?
僕は「本人役では、どうしてもできないと思います」というのは何度か伝えていたんですけど、マネージャーさんは「どうしてもやってほしい」と。その繰り返しが続いて(笑)。最終的に、マネージャーさんがそこまで言うことに対して、断る方が苦しくなったのが出演を決めた1つの理由です。迷いながら現場に入って、監督たちと話しながら、この作品を通じて、「霊」といういわば「死」と一番近い存在と向き合うことで「生きる」喜びを感じられたら良いのかなと、いろいろと探りながら関わった作品です。
◆そもそも杉野さんは幽霊を信じていますか?
見えないから幽霊の世界がないなんて誰も決められないと思うし、見える人にとっては存在する世界じゃないですか。だからそういう人の価値観を冒涜したり否定したりすることは、僕はできないと思っています。その上で、この作品をエンタメとしてどのように視聴者の方にお届けできるか、監督さんやプロデューサーさんたちと話を重ねていきました。
◆撮影期間、幽霊にとりつかれるんじゃないかと思ったことはありますか?
ありますよ。それは僕だけじゃなくて周りのスタッフさんにも。僕は主演としてこの場に立たせていただいているので、周りの方がとりつかれないかとても心配でしたね。だからやっぱり怖いことをするのはよした方がいいんじゃないですかって。それよりも笑って楽しんでいただく方が僕の性に合っているんじゃないかなと思いました。
◆完成した作品を見て、心境の変化はありましたか?
監督にも同じことを聞かれました。作品自体はちゃんとコメディになっていると思います。
僕は怪奇酒という行為についての考えは、一切変わらなかったですよ(笑)。今でもやめたほうがいいんじゃないかって思っています(笑)。
◆共演者の“怪談オールスターズ”についてはいかがですか?
“怪談オールスターズ”って何なんですか?(笑)この作品のポスタービジュアル見ましたけど、ちゃんと笑っているのって僕とチャンス大城さんしかいないじゃないですか。みんな怖いです(笑)。
◆怪奇酒体験をやってみようと思う人がいたら?
だめ! やっちゃだめ! 絶対にやっちゃだめ!(笑)だめって言ったら余計やる人はいるんだろうけど、でも本当にやっちゃだめです!
PROFILE
●すぎの・ようすけ…1995年9月18日生まれ。千葉県出身。O型。最近の出演作にドラマ『直ちゃんは小学三年生』『教場II』『ハケンの品格』など。
番組情報
ドラマ25『東京怪奇酒』
テレビ東京ほか
2021年2月19日スタート
毎週(金)深0・52~1・28
出演:杉野遥亮、清野とおる、チャンス大城、松原タニシ、OKAMOTO’S オカモトショウ、R-指定(Creepy Nuts)、大島てる、三上丈晴(「ムー」編集長)、吉田悠軌、ありがとうぁみ、シークエンスはやとも、ヤースー(スマイルシーサー)、ボルサリーノ関、岡山天音
チャンス大城、松原タニシらによる“怪談オールスターズ”によるオンラインイベント決定。詳しくは公式サイトにて。
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/kaikizake/
©「東京怪奇酒」製作委員会
●text/山村千晴 hair&make/Emiy styling/作山直紀 衣装協力/ジャケット・パンツ「ネペンテス」 他スタイリスト私物