HYインタビュー「『HANAEMI』を聴いて笑顔になってもらえたらうれしいです」

特集・インタビュー
2021年02月24日
HY
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2020年に記念すべき20周年を迎えたHY。昨今の状況により発売延期となっていた14枚目のオリジナルアルバムが2月24日(水)にリリースされる。インタビューでは「HANAEMI」というタイトルに込めた想いやジャケットのハーバリウムについて、そしてツアーへの意気込みを語ってもらいました。

◆オリジナルアルバム「HANAEMI」の制作のきっかけからお聞かせください。

新里英之:まずメンバーとの話し合いで、「“花”をテーマにしていこう」というところから始まったんです。13枚目のアルバムは20周年目を迎えるタイミングだったので、みんなで作り上げた世界観と景色に虹をかけて、その虹をくぐって出発して行こうという思いを込めて「RAINBOW」にしたんですが、今回は感謝の気持ちを込めて、みんなに花を届けて笑顔になってほしいという想いで決まりました。曲は一発目に、しゅん(名嘉俊)が「ココロホシゾラ」を持ってきてくれて。アップテンポで「ここからスタートできる!」と思える、ハッピーな曲から始めることができたので、14番目のアルバムがどういうふうになっていくのか、制作当初からすごく楽しみな気持ちになりました。

名嘉俊:20周年の節目なので“感謝”の気持ちが強くあって。「ありがとう」を伝えたかったので、その思いを込めた10曲全てを花束のようにひとつにまとめて、今まで応援してくれた方に「ありがとう、これからもよろしくね」と渡すイメージでした。花束って、誰がもらってもうれしいものだと思うんです。このアルバムを聴いた後に、みんなが笑顔になってくれたらいいな、という気持ちが全てです。

◆去年の秋にリリース予定だったアルバムですが、この2月ついにリリースされるお気持ちは?

新里:やっと届けられるなという気持ちです。延期にはなりましたが、収録曲の力で自分たちも「前に前に」と思えていました。

名嘉:このアルバムのおかげでモチベーションが保てていた感じはしたよね。自分たちは等身大の楽曲を作っているということが根本にあって。早く聴いてもらいたい、届けたいという思いがあったので、5か月連続配信でアルバムの中から曲を1曲ずつ届けたりもして。コロナ禍で世界中のアーティストさんが模索した1年だったと思うんですけど、自分たちも勉強になった1年だったし、今回のアルバムについて考えられた月日だったと思います。

新里:全く活動しないというわけではなかったですし、時間があった分、自分と向き合うことができて、曲にも磨きをかけられたと思います。

◆ジャケット写真のハーバリウムは、皆さんで手作りされたとお聞きしました。1曲ごとを象徴するお花が入っているとのことですが、お花選びはスムーズに決まりましたか?

新里:けっこう難しかったよね?

全員:難しかったー!(笑)

新里:曲のイメージと合うお花を選ぶことは、わりとトントン拍子で決まっていったんですけど、いざハーバリウムに入れるとなった時に素材となるドライフラワーがなかったりもして。でも最終的には、その曲に合うお花をうまく見つけることができました。色とかでその曲が持つ世界観を表現したりもしています。

名嘉:ハーバリウム作りは自分たちのように男女のバンドだからこそできることかなと思うんですよ。野郎だけで作ったら大変なことになった気がする。

全員:(笑)。

名嘉:いーず(仲宗根泉)がいて良かった。元々上手だったから、色味やバランスもいい感じに入れてくれたし、ガラス瓶にオイルを入れる時も率先してやってくれて。怖いじゃないですか、オイルを入れる時って。それを迷いなくブワーっと入れてくれたから、助かりました(笑)。

仲宗根泉:ハーバリウムは個人的に好きで作っていたからね。HYはものづくりが好きでよくやっているんですけど、そういう時も私が一番早いですね。悩まないんですよ。コツコツやっていくほうでもないから、けっこう大雑把にやる(笑)。今回のハーバリウムも「私がやっていい?」って言って。もちろん、みんなにも見てもらいつつ、意見を聞きながらでしたけど、バンバン入れていって仕上げました。

新里:作っている時の映像は初回版のDVDに収録されているので、ぜひ見てください!

HY 14thオリジナルアルバム「HANAEMI」限定盤
「HANAEMI」限定盤

◆タイトルもすてきな言葉ですが、どのように決まったのでしょうか?

仲宗根:これは、しゅんが持ってきてくれたんですよ。

名嘉:13枚目までずっと英語のタイトルだったんですけど、4人体制になっての変化というものを逆に楽しもうと思って。心の中にスッと入ってくるようなきれいな日本語をずっと探していました。それでたどり着いたのが「HANAEMI」。花が咲くとか花が笑うという意味の言葉ですが、自分たちも笑いながら、音楽を通して咲いたり笑ったりすればいいなと思って付けましたね。

新里:これまで英語でしかタイトルを付けていなかったこともありますけど、「新しいな」と思って。僕は“開花する”というような英語の単語がないかな? と思って探していたんですけど、しゅんがこの言葉を持ってきた時、すぐに「いいね!」となりました。

名嘉:あらためて日本語っていいなと思いました。かわいいし、あったかい。ネットで検索したら歯医者さんの名前が一番先に出てきたので、リリース後に検索した時は俺たちのアルバムが出てきたらいいなって思います(笑)。

仲宗根:毎回、いろんな表記の文字を並べてから決めているんです。小文字にしたり、ひらがなにしてみたり。今回は「HANAEMI」が一番合っていたなって。

名嘉:うん。見た感じが良かったんだよね。それと「花笑み」と「花咲み」、ふたつの意味があったので、両方の意味を込めたいという気持ちもありました。

◆タイトルの「HANAEMI」にかけて、最近思わず“笑顔”になったことを教えてください。

仲宗根:昨日、歌の収録があったんですけど、朝から一口もご飯を食べなかったんです。夜の8時までずっと! それで「終わったら絶対においしいものを食べるぞー!」って意気込んでいたのに、スーパーに行ったら見事に自分の好きなものが置いていなくて。30分近く練り歩いて探したあと、結局最初に入ったスーパーに戻ってきて、食べたいと思っていなかった焼きそばを買いました。「こんなに楽しみに待っていたのに、焼きそばか……」ってガッカリしながら食べたんですけど、一口食べたらおいしくて。思わず「幸せ~!!」って言いながら笑みがこぼれました。

全員:(爆笑)

名嘉:そんなに探し回っていたの?

仲宗根:うん。どこも苦手なものしか残っていなかったから。コンビニにも何もなかったし。唯一、辛いチキンと普通のチキンが一個ずつだけ置かれていたんだけど、辛いものはダメだから普通のチキンだけ買った。

許田信介:デリバリー、注文しておけば良かったね。

仲宗根:そう! 最初はデリバリーでひつまぶしを食べようと思っていたんですよ。それを楽しみにしていたのに、いざ注文するとなったら「60分かかります」と言われてしまって。「もー!」と思いながら探し回ったから、結局時間は変わらなかった(笑)。でもいいんです、焼きそばとチキンがおいしかったから!

名嘉:僕は実家の畑の一角を借りて、昆虫を育てるスペースを作ったんです。そうしたら無事に卵を産んでくれて。ケースに移し替えておいたら、この間ちゃんとカブトムシになっていたんですよ! うれしかったなぁ。

新里:タイワンカブト?(※ヤシ類の害虫)

名嘉:違うよ(笑)、日本のカブトムシ! 甥っ子や姪っ子だけでなく、近くの小学生にもあげたいなと思っています。

許田:僕はバレンタインデーの時に、スタッフの方やマネージャーさんにチョコレートをもらったことです。最近あんまり外出することもできなかったので、ほっこりしましたね。

仲宗根:普通!

許田:パッと出てこなくて……。

仲宗根:あるよ。最近、料理できるようになったじゃん!

許田:それまたイジってくる~? 擦られ過ぎてる!(笑)

仲宗根:スイーツも作れるようになったんですよ。

許田:まあ、エサくらいは……。あ、自分のご飯のことなんですけど。

全員:エサって!!

仲宗根:何を言い出してんの(笑)。

許田:でも内容聞いたらエサだと思うよ。鳥の胸肉、ブロッコリー、玉ねぎ、大豆とホール缶のトマトを炒めて混ぜて、豆腐をくずして乗せて、それにチーズをまぶしてオーブンに入れるだけ。

名嘉:おいしそうじゃん。

許田:でもあんまり味がしなかったから、エサみたいな感じになった。

仲宗根:前まで家の近所にあるお弁当のチェーン店に通い詰めて、そこの店員さんを「お母さん」って呼ぶくらいだったから、すごい変化だと思うよ(笑)。

新里:僕は車庫のシャッターのリモコンを直せたこと。2個あったんですけど、どっちも調子が悪くて。昔、ファミコンのABボタンが動かなかった時に自分で直したこともあったので、ちょっとやってみようと思って、リモコンを開けて、消耗したゴムに手を加えて調整してみたら見事に直りました。修理に出すと1個1万円するので、2万円浮きました(笑)。

仲宗根:えー! ウチのリモコン、修理に出しちゃったばっかり!

新里:俺に言えば良かったのに~!

全員:(笑)

◆それぞれの“笑顔”エピソード、ありがとうございます! 「HY HANAEMI TOUR 2021」が予定されていますが、どんなライブになりそうですか?

新里:構成や会場の雰囲気についてとか、アイデアはたくさん出ています。全部実現できるかどうかは分からないけど、たとえば「お花の香りが漂っているような会場にしたいよね」とか。そこから匂いや曲を感じ取ってもらえたら、景色もより鮮明に見えるだろうなと。この状況下で、歌ってすごく大事で勇気付けられるものだとあらためて思ったので、自分たちがゼロから作り出す音楽の大切さを真剣にお客さんの心に届けたいです。

名嘉:これまでとは違ったライブにはなるだろうと思います。人数や掛け声の制限もあるでしょうし。でもいーずがよく「こういう時だからこそ楽しめる部分があると思う」って言うんです。瞬間、瞬間で楽しめるところがきっとあると思いますし、自分も逆に楽しみたいと思います。全国で40本近くやるので遊びに来て欲しいですね。「HANAEMI」はもちろん、旧譜の曲も織り交ぜていけたらと考えています。

新里:ライブで自分たちがいつも心に置いてやっているのが“距離感”。お互いを近くに感じられるアットホームなライブを心がけているので、一人で来ても寂しくならない、誰も置いていかないライブになると思います。この20年一緒にやってきたメンバーとの絆もにじみ出る内容になるはず。沖縄生まれ、沖縄育ちであるHYにしか出せない“沖縄の風”を感じられると思いますし、子どもたちに大人気の「いーずーコーナー」とか、家族で笑い合える雰囲気もあります。アルバムには新しいチャレンジも入れているので、その辺りも感じていただけたら。「僕たちも前に進んでいるよ、でも変わらないものもあるよ」と伝えながらパワー交換をして、お互いに前向きになれるライブにしていきたいと思います。

◆2021年、バンドとしての目標を教えてください。

名嘉:メンバー4人とも面白いものが大好きなので、より自分たちがカッコいいと思えるものを追求しながら、「HYってこういうバンドなんだ」ということをもっともっと届けたいですね。まずはやっぱり音楽を届けることが自分たちの一番やりたいこと。だから早くツアーをやりたいです。

新里:ライブ配信をした時は、曲が終わった後に「シーン」ってなるのがすごく変な感覚でしたね。

名嘉:自分たちで拍手してみたりしてね(笑)。

新里:ライブってみんなと一緒に作り上げていくものなんだなって、あらためて思いました。

仲宗根:コメントも画面を覗かないと見られないから、レスポンスがどうしても難しかったよね。でも、だからといって「やらない」という選択肢はなくて。どんな形であれ音楽は届けていきたいと思っていたのでやってよかったです。厳しい期間の中で得られたものはあったと思うので、今回はそれも生かしながら良いライブをしていければと思います。

◆ちなみに、皆さんが好きなテレビ番組は?

仲宗根:『千鳥のクセがスゴいネタGP』とか、『家、ついて行ってイイですか?』とか。

新里:あれは毎回感動するね!

名嘉:僕は所ジョージさんが大好きだから、『ポツンと一軒家』を見ながら飯食うのが好き。

新里:僕は『探偵!ナイトスクープ』と『開運!なんでも鑑定団』かな。

仲宗根:あと『水曜日のダウンタウン』『月曜から夜ふかし』も好き。あと『セブンルール』とかドキュメンタリー系も見ますね。勉強になる。

新里:ドキュメンタリーといえば、大間のマグロ。

全員:『マグロに賭けた男たち』!!

名嘉:ご当地グッズがあるらしいから、早くツアーで行って買いたい!

仲宗根:でもInstagramをチェックしているんだけど、グッズってお金が本人に渡るシステムなのかな? 応援したい人だから、ちゃんと渡るなら買いたい。

名嘉:待て待て、それここで話すことかな?

全員:(笑)

仲宗根:だって貧しいエピソードを見ていると、「お米を送ったりする方が良いのかな?」って考えちゃうし!

◆思い入れの強さが表れていますね(笑)。皆さん、共通の番組をご覧になるのですね。

仲宗根:そうですね。お笑いとかもみんな好きなので。

名嘉:昔からみんなで「これ面白いよ」って教え合ったりしています。見てほしい動画を4人のLINEグループに送っておいたり。自分にとっては、テレビ番組は癒やしであり、リラックスできるものですね。

◆最後にファンの方に向けてメッセージをお願いします。

新里:14枚目のアルバム「HANAEMI」は、14枚目だからこそ作り上げきれた世界観です。みんなが作ってくる歌詞が前向きで、これからのHYがすごく楽しみだなと思えるものになりました。個人個人が成長して、やりたいことや遊び心をしっかり形にしていている。枠にはまらず伸びやかに世界観を表現できたアルバムになっているので、聴いてくれたみんなが自分の今や未来、あるいは過去を振り返るキッカケを生み出してくれるんじゃないかなと思います。自分たちが大切に作り上げた楽曲をじっくりと聴いていただければと思います!

仲宗根:いろいろと話しましたが、聴かないと分からない部分もあると思うので、まず聴いてください! そして答え合わせをしてみてください。

許田:このアルバムをもってツアーにも行きます。ぜひ笑顔をもらいに来てください。よろしくお願いします。

名嘉:みんなでワイワイしながら作りました。アッパーな楽曲から、ファンク、ビート、そしてバラードまで今回もHYらしい楽曲が出来たので、ぜひ聴いてみてほしいです。そして思いっきりゲラゲラ笑いたい方はツアーに来てほしい。自分たちは両手を広げてお待ちしています!

PROFILE

HY
●えいちわい…新里英之(Vo&Gt)、名嘉俊(Dr)、許田信介(Ba)、仲宗根泉(Key&Vo)の4人組バンド。沖縄県うるま市出身。グループ名の「HY」は、彼らの地元・東屋慶名(Higashi Yakena)の地名が由来。2003年に2ndアルバム「Street Story」をリリースすると、インディーズとしては史上初のオリコンチャート初登場&4週連続1位という偉業を達成し、ミリオンセラーに。以来、13枚のアルバムをリリースし、累計で600万枚に到達している。

リリース情報

HY 14thオリジナルアルバム「HANAEMI」通常盤
「HANAEMI」通常盤

HY
14thオリジナルアルバム「HANAEMI」
2021年2月24日(水)発売

●text/片桐ユウ

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