【コラム】なーはるのすっぱレビュー『天国と地獄~サイコな2人~』推理ドラマの「推理の近道」で犯人推理の無駄を省こう

特集・インタビュー
なーはるのすっぱレビュー
2021年03月06日

「なーはるのすっぱレビュー」

ドラマフリークのコラムニスト&イラストレーター・柳澤なーはるが、注目ドラマに愛あるツッコミを入れる「なーはるのすっぱレビュー」。第2回は、綾瀬はるか&高橋一生の『天国と地獄~サイコな2人~』(TBS系 毎週(日)後9時~9時54分)。

『天国と地獄 ~サイコな2人~』~イラスト・綾瀬はるか~

捜査一課の刑事・望月彩子(綾瀬はるか)は連続猟奇殺人事件の容疑者・日高陽斗(高橋一生)と魂が入れ替わってしまう…。

このドラマ、日曜劇場にしては攻めてる猟奇殺人や、綾瀬はるかと高橋一生の2大演技派による男女入れ替わりが話題となり、犯人の推理がネットで炸裂している。けど、日曜日は次の日に仕事があるんだから、推理にエネルギーを使ってる場合じゃない。みなさん、もっと省エネで推理しませんか? そこで、ドラマウォッチ歴うん十年の私が「推理の近道」を披露しましょう。※以下ネタバレあり

■推理ドラマの推理の近道~『天国と地獄~サイコな2人~』編

私の分類によると、犯人役は次の5つです。

(1)ベテラン大物女優俳優

(2)2番手、3番手の役者

(3)演技力がある4番手~6番手くらいの役者

(4)? ←いったん伏せます

(番外)意外性を狙った新人女優俳優や若手芸人

このドラマには(1)と(番外)は出ていない。また、有名なミステリーの法則「ヴァン・ダインの二十則」の中の「探偵自身や捜査官の1人が実は犯人でしたってのはダメ」という法則により、(2)に該当する刑事役の北村一輝や溝端淳平の犯人説はなし。よって、犯人役は(3)の4番手~6番手くらいの役者で決まりです。

え? その(3)の人が大勢いるから困ってるって? 大丈夫。やはり有名なミステリーの法則「ノックスの十戒」はこう言っている。「犯人は序盤に登場していなければならない」。ほら、これで犯人候補はしぼられた。

しかし、ここで問題がある。

推理ドラマの最後には必ず、犯人が殺人の動機をぶちまける告白タイムがあるが、そこで(3)の4番手~6番手の演技を見たいだろうか?

私の記憶によれば、(3)の犯人役で成功したドラマは、だいぶ前の月9の保険金殺人のドラマだけだ。元子役の女優さんが犯人役だったが、鬼気迫る告白で場をさらい、完全に主役を食っていた(それもどうかとは思うが)。

となると、このドラマの場合は、ラストで視聴者を満足させるためには、“入れ替わり”によって(3)の殺人犯の魂が“別の人物”の中に入るのがベストでしょう。その別の人物の姿を借りて殺人犯が現れ、迫真の告白をしてくれたら面白い。

しかも、このドラマには、その人物を演じるのにふさわしい演技力の高い役者がそろっている。今、天然ボケでいい人役の柄本佑などはその殺人犯乗り移りレースのトップに踊り出そうだ。そして、もしそうなっても、このドラマの主演・共演の2人は演技派なので食われる心配はないわけだ。

けど、殺人犯としての演技を一番見てみたいのは誰かといえば、やっぱりその2大演技派のひとり、高橋一生かな。もしそうなら、上記の犯人役の分類の(4)はこうなる。

(4)共演(1.5番手)またはW主演の片方(1番手)

というわけで、みなさん、推理はほどほどにして、余った時間でもっとドラマそのものについて考えませんか。その話はまた今度!

『天国と地獄~サイコな2人~』
TBS系
毎週日曜 後9・00~9・54

文・イラスト/柳澤なーはる

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