神はサイコロを振らないインタビュー「“神サイ”の音楽が光になったらいいな」

特集・インタビュー
2021年03月17日

20207月、デジタルシングル「泡沫花火」でメジャーデビューを遂げた4人組ロックバンド・神はサイコロを振らない、通称“神サイ”。楽曲「夜永唄」がTikTokを中心に広がりを見せ、NON STYLE・井上裕介さんやEXITさんが、自身のYouTubeチャンネルでカバーを公開したことでも話題に。そんな人気ロックバンドが満を持して2021年317日(水)に1stシングル「エーテルの正体」をリリース。インタビューでは、メジャーデビューからこれまでの日々を振り返ってもらった。

1stシングルリリースおめでとうございます! “神サイ”はTV LIFE web初登場ということで、まずは簡単にメンバー紹介をお願いします。

柳田周作(Vo.:ボーカルの柳田周作です。僕はバンドの特攻隊長で暴君です(笑)。ドラムの黒川君は“神サイ”のバランサー。良い時も悪い時も一定で、感情的になることがない人です。根っからのドラマ―気質で、いつも後ろから他のメンバーを見守ってくれています。

黒川亮介(Dr.):みんな個性が強いので、それぞれが良い感じにつながるように間に入ることはいつも意識しているかもしれないです。

柳田:桐木(岳貢)はこの中で一番大人かな。僕たちは学生時代から一緒にやっている仲なんですけど、そのころの1歳差って大きいじゃないですか。実際桐木が一番年上ということもあって、当時から一番冷静に俯瞰で周りを見てくれている気がします。弟気質なのは…。

一同:(柳田、黒川、桐木が吉田を指差して)(笑)。

柳田:吉田(喜一)は弟というより、赤子です(笑)。

桐木岳貢(Ba.:一時期、あだ名が“赤ちゃん”でしたから。

吉田喜一(Gt.:いつも自由にやらせてもらっていますね。実際に3人兄弟の末っ子なので、甘やかされて生きてきました。

一同:(笑)。

柳田:ギタリストとして、その自由さは良いと思うよ(笑)。みんなそれぞれ個性的ですが、良いバランスでやらせていただいています。

◆20年はNON STYLE・井上裕介さんやEXITさんがYouTubeで“神サイ”の「夜永唄」をカバーしていたことが話題となっていました。動画はご覧になりましたか?

柳田:もちろん見ましたよ! 特に井上さんは曲の世界観に入り込んでくださっていて、本当にうれしかったです。

◆20年にメジャーデビューされてから、今回1stシングル「エーテルの正体」をリリースするまでを振り返っていかがですか?

柳田: コロナ禍にメジャーデビューが決まって。ライブができる状況ではないですし、バンドとしての活動ができるか心配だったんですが、いろんな方のお力添えもあってデジタルシングル「泡沫花火」やデジタルEP「文化的特異点」をリリースすることができました。あらためて振り返ると、音楽活動に専念する怒涛の日々だったと思います。

◆これまでデジタルリリースが続いていましたが、今回は初のフィジカル盤なんですよね。

柳田:そうなんです。でも今の10代の子たちって、YouTubeやサブスクで音楽を聴くことがほとんどなんですよね。僕はもろCD世代なので、学生のころは好きなバンドのCDが発売されるたびに特典付きの限定盤を買いに行ったり、付属の歌詞カードを見ながらじっくり聴いたりしていて。特典のポスターはいまだに実家の部屋に貼ってあるくらい、CDには思い入れがあります。

吉田:やっぱり“モノ”として残るっていうのはすごい大きいよね。例えば僕らのCDを聴いている人たちが親になった時に、子供に渡すこともできるし。そういうループがCDでは実現できるので、“モノ”として音楽を残せることはすごくすてきだなと思います。

柳田:今の時代ってさくっと音楽が聴けるし、便利ではあるんだけど、バンドをやっている側としてはもう少しロマンが欲しいんですよね。

黒川:僕は中高生の時、好きな女の子とお互い好きなアーティストのCDを貸し借りしていたんですけど、そういう青春の思い出の中にも、柳田が言うロマンが隠れていると思います。

柳田:今回は、ジャケットや歌詞カード、特典とかも思いっ切りこだわって制作したので、ぜひそこも楽しんでいただきたいです。

◆「エーテルの正体」というタイトル名に込められた思いを教えてください。

黒川:まず「エーテル」って何だろうって思いますよね。僕も最初は意味を知らなかったんですけど、柳田が「エーテル」の物理学的な言葉の意味と神学的な言葉の意味が書かれたサイトを、グループラインに送ってきてくれて。それを見て自分なりに解釈しました。

柳田:「エーテル」には、物理学で光を伝える媒質、神学で永遠に輝き続けるものという意味があるんです。昨年はコロナ禍だったので、無観客の配信でメジャーデビューを発表したんですが、ファンの方から「今まで応援してきて良かったです」「これからも頑張ってください」「“神サイ”の音楽があるから日々頑張れています」などのメッセージを頂いて。その時に、なかなか会えない状況でもいつも応援してくださっている方々のために、僕たちは音楽を作っているんだろうな、僕たちにとっての“光”は“神サイ”の音楽を聴いてくれる方々なんだなとあらためて気づいたんです。逆にその人たちにとっての“光”は、僕たちの音楽にだったらいいなとも思って、光をテーマに「エーテルの正体」というタイトルを付けました。

桐木:作詞・作曲は柳田が担当なんですけど、普段からタイトルや歌詞について説明されることはないんです。今回も「エーテル」の言葉の意味だけ伝えてもらって、あとはそれぞれが歌詞を読んで音を聴いて感じたものを持ち寄ってレコーディングに臨んでねという感じでした。

◆このシングルにも収録されている、アニメ『ワールドトリガー』2ndシーズンの主題歌「未来永劫」のMVも先日公開されました。この楽曲にはどんな思いが込められていますか?

柳田:『ワールドトリガー』の登場人物である、修、遊真、千佳の仲良し3人組の人間模様に焦点を当てて書いてみようというところから着手しました。僕自身、中高6年間ずっと一緒に過ごしてきた親友2人がいるんですけど、出会ってから10年、それぞれ環境が変わった今でも仲良しなのは何も変わらなくて。「未来永劫」には、この絆がこのまま永遠に続いたらいいなという気持ちも、3人の登場人物に当てはめて書きました。

吉田:楽曲を聴いた時は、すごくノスタルジックな光景が広がりましたね。

桐木:柳田君は自分自身のことを書いたと言っていますが、バンドのことを書いているようにも解釈できるんです。家族を当てはめてもしっくりくる。聴いてくださる方は何に置き換えても心に刺さるんじゃないかなと思います。

柳田MVでは、ラスサビの前にメンバーそれぞれが暗闇から光が差す方へ歩いて行って、最後に4人そろって広大な大地で演奏するシーンがあるんです。監督は、人は1人では生きていけない、メンバー4人が合わさって初めて世界が切り開けるんだという世界観を描きたかったんじゃないのかなと思いました。

吉田:でも撮影は本当に大変だったんですよ。茨城県にある、砂利だらけのところに行って…。

桐木:めちゃくちゃ寒い中、朝早くから深夜3時ごろまで撮影しました。

柳田1月の上旬だったからすごい寒かったよね。

桐木:僕らはともかく、スタッフさんたちは一日中カメラを回したり準備してくださったりしていたので、本当に感謝しかないですね。ドローンの撮影もあったんですけど、風が強すぎて難航していましたし…。でもその苦労の分、とても良い作品に仕上がっていると思います。

◆そんな中での撮影で特に記憶に残っている出来事はありますか。

吉田:何だろう。寒すぎてカイロを貼りまくって、衣装の下が防弾チョッキみたいになってたこととか?

一同:(笑)。

柳田:スタッフさんがたくさんカイロを準備してくださっていたんですけど、僕はマイカイロを持って行っていきました(笑)。

吉田:エモーショナルな楽曲の撮影で、カッコいい衣装も着ているんですけどね。“あの衣装の下には防弾チョッキを着てるんだ”と思いながら楽しんでもらえたらうれしいです(笑)。

◆では最後に、514日(金)から始まる『Live Tour 2021「エーテルの正体」』への意気込みを。

黒川:来てくださったお客さんたちに、死ぬ前にあの時“神サイ”のライブに行って良かったなと思ってもらえるような、そんなライブにしたいです!

桐木:両親に発表会を見せる感覚です。久しぶりのライブなので、皆さんに会わなかった間にどれだけ僕たちが進化できたか見てもらえるのが楽しみです。

吉田:お客さんはもみくちゃになれないし声も出せないライブになってしまい消化不良感はあるかもしれませんが、そこは楽しさでカバーしたいと思います。

柳田:いつも応援してくださっているファンの皆さんのためにも、このような状況下でも一緒にツアーをやろうと協力してくださる関係者の皆さんのためにも、5月までにさらにパフォーマンスを磨いて音にもこだわって、当日は最高に良いものを届けたいと思います!

PROFILE

神はサイコロを振らない

●かみはさいころをふらない…柳田周作(Vo.)、吉田喜一(Gt.)、桐木岳貢(Ba.)、黒川亮介(Dr.)による福岡発の4人組ロックバンド。2015年に結成。以降ライブハウスシーンで活動を続け、2019年5月にMini Album「ラムダに対する見解」、2020年2月にMini Album「理 -kotowari-」をリリース。激しさと静けさの両極を呼応させるような楽曲とライブが特徴。全作詞・作曲はボーカルの柳田が手掛ける。

公式サイト:https://kamisai.jp/

公式Twitterhttps://twitter.com/kami_sai

公式Instagramhttps://www.instagram.com/kami_sai_official/

公式YouTubehttps://www.youtube.com/c/kamisai

 

リリース情報

1st Sg「エーテルの正体」

2021317日(水) リリース

▼初回限定LIVE盤(CD+DVD) 価格:¥2,182+税

▼初回限定アニメ盤(CD+描き下ろしデザイン仕様スリーブケース & ステッカーシート) 価格:¥1,364+税

▼通常盤(CD) 価格:¥1,364+税

●photo/中村圭吾 text/山村千晴

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